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NEC、IP電話の音質を向上させるミドルウェアを開発-総合的な高音質化対策を実施


 日本電気株式会社(以下、NEC)は6月23日、音声コーデック、音響処理、通信処理といった技術を結集して、高品質な音声コミュニケーションを可能にする「VoIPミドルウェア」を開発したと発表した。

 従来の手法では、VoIPの音質向上のための通信処理や音響処理、互換性のない特殊な専用音声コーデックなど、個々に音質向上を図ってきたが、総合的な音質向上対策がなされておらず、パケットロスが多い環境などでは十分な効果が上がっていなかったという。

 そこで今回は、これらの要素技術をVoIPミドルウェアとして統合し、通話品質を改善できることを立証した。NECでは、次世代ネットワーク(NGN)を活用したさまざまな高品位サービスを実現するための基盤技術に位置付けており、「世界最高品質のIPベースの音声コミュニケーションを実現できる」(同社)としている

 具体的には、短い遅延時間でパケットロスを回復して、音切れや無音による音声劣化を防ぐVoIP用エラー訂正技術を開発し、パケットロスの影響を約1/10へ低減することに成功。これによって、パケットロスが10%ある場合でも、音質への影響をほとんど与えないですむという。

 また音声コーデックは、相手の声色まで伝送し、長時間通話でも疲れにくい音声品質を実現する広帯域コーデック技術など、ITU-Tや3GPP標準の音声コーデックを複数採用。ネットワーク環境や品質に応じて選択できるようにした。

 さらに、負荷の高いアプリケーションがPC上で動作していても音切れがおきにくいジッタバッファ制御技術、オフィスでの生活騒音やハンズフリー会議時のエコーなどを除去して聞きやすい音声にする、エコーキャンセラーやノイズサプレッサなどの音響処理技術を取り入れている。

 これらの技術では、UDPを用いた音声コミュニケーションの高品質化が実現可能になっている。NECは今後、ファイアウォールなどの影響でUDPが利用できない環境でも、高品質な音声コミュニケーションを行えるように、同社の中央研究所で開発した「TCPを用いたストリーミング品質向上技術」を利用して、VoIPミドルウェアの開発を進めていく予定としている。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0606/2302.html


( 石井 一志 )
2006/06/23 18:38

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