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英Symbianのナイジェル・クリフォードCEO
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シンビアン株式会社は7月12日、携帯電話向けオペレーティングシステム「Symbian OS」最新バージョン9.3の発表にあわせ、英本社のナイジェル・クリフォードCEOによる来日記者説明会を開催した。説明会でクリフォードCEOは、Symbian OS搭載携帯電話の世界的な市場動向、および日本市場の現状と今後の展望などを語った。
まずクリフォードCEOは、「全世界でスマートフォン市場は伸び続けており、2006年第1四半期は1650万台が出荷され、前年同期の900万台を大きく上回る市場規模となった。そのなかでSymbian OSは70%のマーケットシェアを確保している。Symbian OSを搭載した携帯電話の出荷台数を見ても、2006年第1四半期は前年比73.34%増の1170万台に達し、2004年の年間出荷台数1438万台に迫るものになった」と世界市場での好調さをアピール。
機種数についても、2006年第1四半期は11機種を発表し、累計で100機種を突破した。100機種目となった「ノキア3250」は、3月の発売以来、すでに100万台を出荷しているという。
2006年第1四半期における地域別の出荷率は、「ヨーロッパ・中東・アフリカ地域が43%と、依然最も大きいシェアをもっているが、日本市場が世界のなかで最も急成長し、これに次ぐ26%のシェアに達している。また、日本に続いて成長しているのが中国市場で、今後大きく拡大する可能性がある」としている。
日本市場の急成長については、「日本は携帯電話市場のイノベーションの中心であり、すでに携帯電話のほとんどがスマートフォンになっている。20年前は、まず米国を見て世界市場の動向を把握していたが、これからは日本の動きが最も注目されることになるだろう。市場の細分化やセキュリティ認証、コード認識、おサイフケータイなどの技術が、今後世界の携帯電話市場に大きな影響を与えていくはず」と述べた。
また、クリフォードCEOは、今日発表となった最新OS「Symbian OS v9.3」にも触れ、携帯電話のパフォーマンス向上、市場導入時間の短縮、開発費・維持費の削減、新たなハードウェアのサポート、主要ネットワーク事業者のサービスおよび要件のサポートなど、最新バージョンの機能強化ポイントが紹介された。
クリフォードCEOの発表後には、シンビアン日本法人の久晴彦社長が日本市場の最新動向について説明を行った。久社長によると、「日本では7月12日現在、主要携帯端末メーカー6社から35機種のSymbian OS搭載携帯電話が出荷されている。今年3月に世界市場で累計100機種に達したが、そのうち28機種が日本向け機種であり、これはいかに日本市場が重視されているかを示すものだ」という。さらに、出荷台数についても、「今年5月末時点で累計1000万台を突破し、急速にビジネスが成長している。2006年第1四半期の出荷台数は前年同期比で300%増に達した」としている。
急成長の要因としては、日本で高機能の3G携帯電話の市場が大きく発展した点、NTTドコモがSymbian OSを3G FOMA携帯電話用ソフトウェアプラットフォームに採用した点、携帯電話に特化したオープンOSであるため、メーカーにとって開発から市場投入までの時間が短縮できる点などを挙げている。
久社長は、「急成長を続けるためには、今後も日本ならではの高度なサービスやアプリケーションへの要求に確実に応えていくことが重要。そのために、携帯電話機メーカーやネットワークオペレーターが3カ月に1回集まってディスカッションする場を設けている。メーカー同士は競合関係にあるが、日本向けの携帯電話をどう作っていくかという点については同じ課題を抱えているはず。また、シンビアン1社だけでは優れた携帯電話をつくり出すことはできない。国内のパートナー31社との協力体制をさらに強化するとともに、技術者や開発者の育成・増加にも力を注いでいく」考えを示した。
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国内のSymbian OS搭載携帯電話ラインアップ
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日本市場でのビジネス成長率
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2006年第一四半期の地域別出荷台数
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なお、説明会の最後には、英Symbianのデビッド・ウッド調査研究担当取締役副社長から、Symbian OSに関するセキュリティのポイント、モバイルセキュリティの現状などが紹介された。
ウッド副社長は、「Symbian OSはリッチなオープン性が大きな特長だが、それをサポートするために強固なセキュリティ機能を備えている」とし、1)新しいソフトウェアが作動する前には必ず警告、2)ソフトウェアは事前にインストールしないと使用できない、3)マルウェアが活動できるためにSymbian OSをだますことは不可能、4)パワフルな機能を使用するソフトウェアには署名が必要--などのセキュリティ機能を説明した。
■ URL
シンビアン株式会社
http://www.symbian.com/Japan/
( 唐沢 正和 )
2006/07/12 17:17
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