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リコー取締役専務執行役員・三浦善司氏
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株式会社リコーは7月28日、2006年度第1四半期連結決算を発表した。
売上高は前年同期比7.3%増の4845億円、営業利益は11.7%増の406億円、継続事業税引前利益は4.0%増の387億円、当期純利益は22.8%増の291億円の増収増益になった。
「この春にカラーMFPのラインアップを一新したものの、これらの新製品がフルに貢献したわけではない。しかし、期初の見通しを上回る好調な決算となり、年間の事業計画達成に向けていいスタートが切れた」(リコー取締役専務執行役員・三浦善司氏)とした。
オフィスソリューション分野において利益貢献度が高い付加価値商品の売上高が増加。さらに、産業分野における需要回復、開発段階から生産、物流における継続的なコストダウン効果などが好業績につながった。
現在進行中の同社基幹システムの再構築に関しても、日本についてはほぼ完了し、これも経営効率の向上に寄与した。
なお、最終利益のなかには、三愛のコンテンツ配信サービス事業を120億円で売却し、その譲渡益などで55億円の利益を計上した。
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2006年度第1四半期損益計算書
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製品別・地域別売上高
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■ 海外売り上げ比率が50%を超える
国内売上高は、前年同期比3.4%増の2404億円。
デジタルPPCやMFP、レーザープリンタがカラー機を中心に好調に推移。さらに、サポート/サービスなどのソリューションビジネスの売り上げが好調だった。
また、海外売上高は、前年同期比11.5%増の2441億円と2けた成長を達成。海外比率が50.4%と過半数を超えた。各地域において、MFPやレーザープリンタの販売量増加が貢献している。地域別の売上高は、米州では前年同期比15.5%増、欧州では8.6%増、中国・アジアなどのその他地域では9.7%増となった。ただし、欧州市場は、新製品投入の遅れなどが影響して、利益および営業利益率が唯一減少している。為替変動の影響を除くと、海外売上高は前年同期比5.0%増になるという。
■ すべての分野で増収増益
事業別では、すべての分野で増収増益を達成しているのが特筆される。
オフィスソリューション分野の売上高は、前年同期比6.1%増の4118億円。営業利益は、5.5%増の513億円。
そのうち、画像ソリューションの売上高は前年同期比6.7%増の3727億円となった。
今年5月に投入したimagio MP C2500/3000シリーズ、同C3500/4000シリーズといった高速化、ネットワーク化、カラー化に対応した新製品投入効果により、デジタルPPCおよびMFPの売り上げが上昇。また、レーザープリンタの国内外での販売好調や、消耗品などのアフタービジネスの増加が貢献している。
そのほか、今年5月に海外向けにハイエンドプリンティング製品を投入したほか、ローエンド商品の強化としてジェルジェットプリンタの新製品投入、アドビとの協業によるソリューション力強化などの施策が貢献したという。
ジェルジェットプリンタは依然として収益レベルには達していないが、同製品対応のサプライが徐々に収益に貢献しはじめているという。
また、同社では、小型レーザープリンタの強化を推進していく姿勢を示しているが、「顧客にとっては、小型レーザーか、ジェルジェットかといった方式は関係ない。この2つの分野でローエンド市場を開拓していくつもりであり、事業が重複するとは考えていない。小型レーザープリンタについては、OEMを含めて販路の拡大を視野に入れていく必要がある」とした。
一方、キヤノンがハイエンド市場に参入してきたことに対しては、「キヤノン参入のインパクトはある。ただし、この分野における当社のラインアップは業界随一であり、ソリューション提案、環境提案、アプライアンス展開などで戦っていく」とした。
ネットワークシステムソリューションの売上高は前年同期比1.2%増の390億円。
パソコンおよびサーバーが減収となったが、ソリューションビジネスがこれをカバーし、増収となった。
産業分野の売上高は前年同期比33.1%増の347億円。営業利益は前年のマイナス5億円の赤字から、12億円と黒字転換した。半導体事業の需要回復により、サーマルメディア事業や計量器事業、電装ユニット事業の売り上げ増加が貢献した。
その他分野の売上高は、前年同期比2.0%増の380億円。営業利益は前年の6000万円から6億円となった。
海外向けの光ディスク事業が減少したが、国内ではリース・物流事業が堅調に推移した。
■ 通期売上見通しを上方修正
なお、2006年度の通期連結業績見通しは、売上高で100億円増加の2兆600億円、当期純利益で5億円増加の1065億円に上方修正した。営業利益、税引前利益には変更はない。
売上高は、国内が30億円増加の1兆30億円、海外が70億円増加の1兆570億円とし、期末での海外比率を51.3%にまで引き上げる。
「高付加価値製品の売り上げ増加により、過去最高益の更新を狙う」(三浦氏)とした。
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2006年度通期業績見通し
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製品別・地域別売上高の通期見通し
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■ URL
株式会社リコー
http://www.ricoh.co.jp/
( 大河原 克行 )
2006/07/28 11:50
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