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日本オラクル、高付加価値サービスを中心にサービス事業を拡大


常務執行役員 カスタマーサービス統括本部長の細谷哲史氏

Oracle On Demandサービス概要
 日本オラクル株式会社は7月31日、カスタマーサポート事業を拡大するにあたっての戦略を発表した。

 常務執行役員 カスタマーサービス統括本部長の細谷哲史氏によれば、「サポートビジネスは昨年6割伸びた」とのことだが、国内における売り上げ構成比のうち、サポートが占める割合は47%に過ぎず、米Oracle本社の59%に比べれば、まだ低いという。細谷氏は、「全世界のカスタマーベースに比べるとまだ少なく、逆にいえばまだビジネスが伸びている」として、サポートサービス事業に注力して同分野の売り上げを伸ばしていきたいとした。

 サポートサービス事業は、大きく2つに分かれる。1つは、「ソフトを購入いただいた時に半ば自動的に購入いただくサービス」(細谷氏)と表現される製品の保守サポートで、ここは、通常日本オラクルだけが提供できる部分である。この部分をおろそかにしないのはもちろんだが、同社が注力しようとしているのは、もう1つの「追加の営業努力をして価値を認めていただいたお客様に販売する」(同氏)、高付加価値サービス(Value Added Services)の部分だという。

 この部分も実際にはいくつかの分野に分かれるが、特に日本オラクルでは運用管理サービスである「Oracle On Demand」のビジネスを拡大する意向である。細谷氏は「いままではソフトを提供する切り口で議論していたが、このサービスではOracle製品が入っているシステムをお客様に代わって保守をする。本来顧客がするべき部分を顧客に代わって提供する」とサービスを説明。また「お客様から見るといろいろなベンダから選択できるサービス。そこにオラクルならではの価値を訴求しながら、サービスを提供していく」と意気込みを語った。

 さらに日本オラクルでは、顧客環境における保守、障害対応を行うだけでなく、「使っていただくソフトの運用そのものをサービスとして提供する『マネージドアプリケーション』や、Siebelのように、サービスとしてソフトを提供するSaaS(Software as a Service)形態のオンデマンドサービスも提供する」(カスタマーサービス統括本部 オンデマンド&ACS本部長、荻矢隆雄氏)とのこと。すでに米国ではマネージドアプリケーションでの提供が増えているとしており、国内でも体制を整えていく。


 また、国内でのサポート体制はこれまですべて国内でまかなえるようにしてきたというが、Oracle本社の買収戦略によって新しい製品が増え、すべてにおいて従来の製品と同等の充実度でサポートを提供することが難しくなっているのが現状だ。これを打破するために日本オラクルでは、グローバルの専任サポートチーム“GRID”を利用し、顧客に対して最適なエンジニアを、国境を越えて利用できるようにした。もちろん、日本固有の要件に対してはフロントエンドのサポートチームで吸収し、顧客に対しては不自由をかけないようにするという。

 あわせて、国内法人が日本オラクルとオラクルインフォメーションシステムズ(OIS、旧日本ピープルソフト)の2社に分散してしまっている現状に対応するため、サポートのオペレーションを統合。「問い合わせを二転三転させないビジネスプロセスを作る」(細谷氏)ことでシームレスなサポートを提供するとしている。このために両社は330人程度だったサポート部隊を2007年度に50名以上増員する。

 「購入いただいた製品をいつまでも安心して使っていただけるように、トラブルフリーでありたい。専門家を養成しなくてはいけない、ノウハウをためなくてはいけない、といった部分を解決し、お客様に楽をしていただけるサポート体制を作っていきたい」(細谷氏)。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/


( 石井 一志 )
2006/07/31 17:18

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