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日立、2006年度第1四半期決算は売上2けた増も最終赤字

PC事業が大きく縮小

三好崇司執行役副社長
 株式会社日立製作所は7月31日、2006年度第1四半期連結決算を発表。売上高は前年同期比10%増の2兆2470億円、営業利益は前年の12億円から171億円へ、税引前利益は前年の146%増の119億円、当期純損失はマイナス220億円と、前年同期に引き続き最終赤字となった。

 ストレージが伸張した情報通信システム部門、薄型テレビなどが伸張したデジタルメディア・民生機器部門、エレクロトニクス関連の部品および材料を中心とする高機能材料部門などが前年を上回ったことで増収となった。

 しかし、「まだまだ改善する余地があり、引き続き課題に取り組んでいく」(日立製作所・三好崇司執行役副社長)とした。


 情報通信システムは、売上高が前年同期比11%増の5018億円、営業損失がマイナス65億円の赤字。ソフト/サービスでは、ソフト部門やアウトソーシング部門が堅調に推移し、前年を上回ったのに加え、ストレージの伸張によりハードウェアの収益も拡大。営業損益も、プロジェクトマネジメントの強化、HDDの損失減少などに赤字ながらも大幅に改善が見られた。

 情報通信システムにおける内訳は、ソフトウェア/サービスが売上高が前年同期比15%増の2191億円。そのうち、ソフトウェアが3%増の356億円、サービスが18%増の1835億円。

 ハードウェアは、前年同期比8%増の2827億円。そのうち、ストレージが16%増の1775億円、サーバーが6%増の174億円、PCは41%減の142億円、通信ネットワークは11%減の279億円となった。

 PCが大幅な減少となっているのは、セキュアPCへの注力や、ビジネスPCを特徴ある製品群へと絞り込んだこと、また、今年度からコンシューマ向けPCをデジタルメディア・民生機器に移行させたのが要因。

 ビジネスPCは前年同期比13%減の7万8000台、コンシューマPCは同71%減の1万9200台となった。

 ただし、「PC市場が停滞傾向にあると感じているのに加え、積極的な価格攻勢に出ている会社があり、その影響を受けた」(三好副社長)とした。

 なお、SAN/NASストレージソリューション事業の売上高は前年同期比22%増の770億円となった。

 電子デバイスは、売上高が前年同期比11%増の3039億円、営業利益は108%増の98億円。日立ハイテクノロジーズの増益と、ディスプレイ事業において中小型液晶が伸張した。

 ディスプレイ事業の売上高は2%増の483億円。営業損失はマイナス38億円の赤字。前年同期のマイナス49億円の赤字からは改善傾向にあるとともに、当初計画通りに推移しているとした。なお、液晶の売上高は前年並みの400億円となっている。

 「プラズマテレビでは中国でトップシェアを獲得するといった成果もある。価格下落も激しいが、それ以上に原価低減の成果も出ており、下期の黒字化、年度の黒字化に向けて努力している」(三好副社長)とした。


 デジタルメディア・民生機器は、売上高が前年同期比25%増の3708億円、営業損益はマイナス161億円の赤字となった。

 プラズマテレビなどの薄型テレビ全体で、台数ベースでは2.2倍の出荷量へと伸張したことに加え、今年4月に設立した日立空調システムと日立ホーム・アンド・ライフ・ソリューションの合併により発足した日立アプライアンスによる空調・家電事業の強化が影響して増益。しかし、プラズマテレビをはじめとするデジタルメディア製品の販売投資の増加、エアコンの不調や、白物家電における価格低下の影響から、営業利益は前年同期に比べても79億円悪化させ、赤字幅を広げることになった。

 プラズマテレビ(プラズマモニターを含む)の出荷台数は、前年同期比100%増の16万台、液晶テレビは150%増の10万台となった。

 「直近では、プラズマテレビでは8割以上がHDD搭載となり、当社ならではの強みが発揮できている。下期は50インチ以上の大型製品の投入や、液晶テレビのラインアップ強化などを考えており、これからが本番。この分野では、問題は欧州市場であり、事業インフラの強化を含めて取り組んでいく」(三好副社長)


 電力・産業システムは、売上高が前年同期比3%増の6034億円、営業利益が21%増の109億円。高機能材料は、売上高が前年同期比14%増の4200億円、営業利益が27%増の283億円。物流およびサービスが、売上高が前年同期比12%増の3043億円、営業利益が29%減の11億円。金融サービスは、売上高が前年同期比4%減の1231億円、営業利益が6%減の58億円となった。

 今年度の通期予想に関しては修正は行わなかったが、第2四半期から下期にかけて、収益面で課題となっているHDD、薄型テレビ、液晶事業などの改善が課題といえる。同社では、「これの分野に関しては、開発力やコスト競争力、販売力などの事業全般にわたる抜本的な対策を講じ、下期の黒字化に向けて、早期の改善を図っていく」としている。

 なお、原発の問題については、「社長以下、一刻も早く原因を究明することに取り組んでいる。今後の業績予測のなかには盛り込んでいない」(三好副社長)とした。



URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  2006年度第1四半期 連結業績の概要
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2006/07/0731.html


( 大河原 克行 )
2006/07/31 19:45

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