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アイアンポート、第4四半期にもWebセキュリティアプライアンスを提供へ


米IronPortのスコット・ワイズCEO
 アイアンポートシステムズ株式会社(以下、アイアンポート)は8月9日、スパイウェア対策などの機能を備えたWebセキュリティアプライアンス「IronPort Sシリーズ」を、2006年第4四半期に提供開始する予定であることを明らかにした。

 アイアンポートの主力製品は、メールセキュリティアプライアンスの「IronPort Cシリーズ」で、Cisco、DELL、Intel、amazon.comをはじめさまざまな著名企業に導入されており、同分野では高く評価されているという。そのアイアンポートが、なぜWebセキュリティの強化というこれまでと違った分野に乗り出すのか。

 その理由について、米IronPortのスコット・ワイズCEOは、「これまでのように単にウイルスが(メールに)添付されて入ってしまった、というのではなく、メールのURLをクリックすると感染してしまうケースが増えている」と話す。また同CEOはWebメールなど、メールでも80番ポートを利用してやりとりされるものが増えており、これも監視しなくてはならないとしたほか、「既存製品で、WebページのロードをしながらWebスキャンをきちんとしてくれる製品は1つもないので、ここに着手した」と述べた。

 そうした背景で開発されているIronPort Sシリーズは、Webセキュリティに特化したアプライアンスだ。この製品では、レピュテーション(評判)フィルタによるWebサイトのフィルタリングによって、マルウェア配布サイトへのアクセスをブロックすることができるという。

 ここで用いているレピュテーションフィルタは、もともと同社が迷惑メール対策のために利用している信用格付けデータベース「SenderBase」をバックボーンとして用いる。同データベースでは、ISPからの情報提供や同社製アプライアンスからのフィードバックをもとに、IPアドレスが信頼できるかどうかを+10~-10までの範囲で評価しており、今後はURLも積極的に対象としていくという。

 また、このフィルタをすり抜けた悪質なWebサイトからユーザーを保護するために、IronPort DVSエンジンとサードパーティ製のスパイウェア対策フィルタを搭載し、スパイウェアの侵入をブロックする。DVSエンジンの特徴は圧倒的な高速性。ワイズCEOは「既存製品の10倍のパフォーマンスがあり、(スキャンによる)遅延はユーザーには気付かれない」とこれを説明している。


今後も順次機能追加を予定している
 加えてこのスキャンの際には、レピュテーションで得た情報も活用して負荷の軽減を図る。つまり、信頼できるとされているWebサイトとの通信チェックにはあまり時間をかけず、逆に信頼できないWebサイトに関しては徹底的にチェックする、といった具合だ。

 なおスパイウェア対策フィルタに関しては「1つではすべてをカバーできない。ユーザーからも複数のベンダのものを利用したいという声が強い」(ワイズCEO)ことから、4社のスパイウェア対策エンジンを搭載可能にする予定である。

 アイアンポートではこうした対策にとどまらず、今後もCシリーズ、Sシリーズを継続的に強化し、総合的なセキュリティ確保を行えるようにする計画だ。Cシリーズではデータ漏えい対策の機能と暗号化機能を盛り込むほか、SシリーズでもURLフィルタリング、IM対策、VoIP対策といった機能を提供していくとのこと。ワイズCEOは、「実際にどの機能から提供していくかは、ユーザーのニーズを見ながら判断する」としている。



URL
  アイアンポートシステムズ株式会社
  http://www.ironport.com/jp/


( 石井 一志 )
2006/08/09 18:06

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