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日本オラクル、Demantra製品に関する説明会を開催-需要中心型SCMモデルへの移行促進に期待


米Oracleのナディーム・サイエド バイスプレジデント

オラクルのミッションとSCMの位置づけ
 日本オラクル株式会社は8月24日、米Oracleが今年6月に買収したDemantra社のサプライチェーン・マネジメント(SCM)製品に関するプレス向け説明会を開催した。説明会では、米Oracleのナディーム・サイエド アドバンスト・プランニング・プロダクツ バイスプレジデントがDemantra社買収の背景とそれによるメリット、製品特徴、今後のビジネス展開などを紹介した。

 Demantra社は、需要主導型プランニング・ソリューションのリーディングプロバイダ。6月の買収発表以来、国内におけるDemantra製品に関する説明会は今回が初めてとなる。

 まずDemantra製品の説明に先立ち、日本オラクルのアプリケーションマーケティング本部長・藤本寛執行役員が国内におけるSCMソリューション戦略について、「当社では、今年度のミッションとして、単なるエンタープライズERPベンダーではなく、高付加価値を提供するアプリケーションプロバイダを目指している。その中で、SCMソリューションは、顧客の競合優位性を実現し、売り上げ向上を支援していく戦略主力製品群と位置づけている」とし、「国内では、従来の供給中心型SCMモデルから需要中心型の新しいSCMモデルへの移行が進んでいないのが現状。今回のDemantra製品は、これを促進する強力な武器となり、当社にとって大きなビジネスチャンスになるとみている。さらに、SCMマーケット全体を広げるきっかけにもなるはず」と期待を述べた。

 Demantra社では需要主導型ビジネス・ソリューションの主力製品として「Spectrum Suite」を持っており、各セグメントをリードする「需要管理」「リアルタイムの販売・業務計画」「取引販促管理と最適化」「小売計画と店舗内商品補充」ソリューションを提供している。一般消費財、耐久消費財、メディア&エンターテイメント、医療機器、ファストフード・レストランなど複数の業界において大手顧客への導入実績があり、また、R&D、販売、サービス部門で深い専門知識を持った人材を配置しているのも特徴。


需要を理解するための分析画面サンプル 顧客とのコラボレーションを実現する画面サンプル

 サイエドバイスプレジデントは、Demantra社買収の背景について、「需要主導型プランニングは、これまで各企業が投資できていなかった分野だが、需要を把握することで顧客の抱えているニーズをより深く理解できるというメリットに、ここ数年で多くの企業が気づき始めてきた。そして、それを実現するためのソリューションが求められるようになってきた。Demantra社は、需要主導型プランニング・ソリューション分野におけるリーディング企業であり、世界的に通用する製品力を持っていることから今回の買収に至った」と説明した。


買収の戦略的根拠の概要
 具体的には、両社の統合により、オラクルの企業向けプランニング・ソリューション領域が拡大するとともに、販売・マーケティング・サプライチェーン向けの製品群が補完されることになり、両社の顧客に対してFusionインフラストラクチャをベースとした包括的なデマンドチェーン・サプライチェーン・プランニングを提供することが可能になる。「これによってオラクルは、SCMに必要となるモジュール、ソリューションをすべてシングルデータモデルとして持ちながら、顧客需要を起点としたデマンドチェーン・プランニングを提供できる唯一のベンダーになる」(藤本執行役員)としている。

 両社の顧客に向けたメリットについてサイエドバイスプレジデントは、「より正確な企業の計画および予測、モニタリングのための強力な分析機能を提供することで、需要の可視化を強化できるとともに、両社の専門家とリソースを活用することで、顧客のニーズを効率よく発展させることが可能となる」と説明。このほか、既存のオラクルとJD Edwardsのデマンド・プランニング・システムのユーザーを継続的にサポート、顧客のサプライチェーン業務において競合他社への優位性を持つ最新インフラへの変革を支援などを挙げた。


買収取引終了後のオペレーションプラン
 買収取引終了後のオペレーションプランとしては、Demantraのチームがオラクルのデマンドチェーン計画の活動をけん引していく方針で、これに向けてDemantraのスタッフをオラクルの技術開発組織に統合。特別チームを作り、Demantraへのフォーカスを強めていく。

 製品面でも、Demantraとオラクル製品のシームレスな統合開発を進め、Demantra製品をスタンドアロンで販売するだけでなく、統合されたデマンドチェーンおよびサプライチェーンプランニング製品として販売展開していく計画。

 なお、日本語版については、「2007年中の出荷をめどに、現在ローカライズ作業やテスト作業などを急ピッチで進めている状況。できるだけ早いタイミングで市場投入したい」(藤本執行役員)としている。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/


( 唐沢 正和 )
2006/08/24 18:39

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