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AMD搭載サーバーは米国同様、10月に国内投入-デルのメリット社長が第2四半期業績で会見


デルの代表取締役社長、ジム・メリット氏

グローバルの第2四半期ビジネス概況。日本とアジア太平洋地域で高い成長を記録した

戦略的事業分野の売上高成長
 デル株式会社の代表取締役社長、ジム・メリット氏は8月29日、社長記者会見を行い、同社第2四半期(5~7月)の業績などについて触れた。

 全世界における売上高は、前年同期比5%増の141億ドルに対して、日本およびアジア太平洋地域は19億800万ドルとなり、前年同期比17%増の伸張率。また、出荷台数は日本およびアジア太平洋地域で同27%増となった。

 「日本およびアジア太平洋地域は、重要なマーケットであり、デル全体の成長をけん引している。出荷台数の成長率は市場全体の3倍に達している。シェアは、11.1%と1ポイントと上昇し、3位から2位に浮上した」と成果を振り返った。

 なお、全世界では、ナンバーワンのシェアとなり、過去最高となる19.3%にまで引き上げている。

 こうした高い成長を遂げた背景には、戦略的事業分野における高い売上高成長が見逃せない。

 メリット社長は、その具体的な例をあげ、「エンタープライズ分野で11%増、サービス分野で21%増、ソフトウェア/周辺機器(S&P)分野で10%増、モバイル製品で8%増という伸びを見せた。S&Pではレーザープリンタが34%増と大きく成長したのが目立つ。また、モバイル製品の台数成長率は22%増となり、全世界で19%のシェアを獲得。ノートPCでは世界ナンバーワンシェアとなった」と語った。

 だが、営業利益が当初予定に到達しなかったことについては、「残念な結果である」として、「シェアを増やすことに集中しすぎたことが要因といえる。だが、日本については、営業利益に関しても順調であり、結果に満足している。売り上げと利益のバランスが取れている」とした。


日本市場における第2四半期のハイライト

日本での戦略的分野への取り組み
 メリット社長が、バランスが取れた経営体質とする日本市場での取り組みについては、「第2四半期は、大きな成長を遂げることができ、満足できる結果」と前置きし、「日本では16.1%のシェアを獲得し、第2位に躍進した。シェアは後からついてくるものだが、このペースを維持していけば、1~2年後にはトップシェアを獲得できるだろう」と、首位奪取に意欲を見せた。

 成長の要因として、サービスおよびS&Pでの成長が高いこと、第9世代サーバーと呼ばれるPowerEdgeシリーズの投入やストレージ製品であるDELL|EMC CX-3の発売、コンシューマ向けハイエンド製品「XPSシリーズ」投入などの新製品投入効果、宮崎カスタマーセンターの増強などによるカスタマーエクスペリエンス向上のための体制強化が功を奏したという。

 「デル・プロフェッショナル・サービス(DPS)では、大手通信業、大手銀行、大手製造業などの大規模案件を獲得しており、過去数四半期連続で70~100%の成長を記録している。また、S&Pも第2四半期は30%増となったほか第9世代サーバーの需要も拡大している。さらに、宮崎カスタマーセンターでは、現在、400人規模の体制となっているが、サービス/サポート体制の拡充に対しては引き続き投資を維持していく。社内で調査している顧客満足度調査の指標では、年初に比べて約20ポイントも評価が上昇しており、投資の成果が表れている」とした。


 現在、同社は、日本国内の法人市場においてはトップシェアであるのに対して、個人向け市場では第5位。また、デスクトップPCでは第1位であるのに対して、ノートPCでは5位から4位に浮上したところ。

 「個人向け市場はさらに伸ばしていきたい。そのための新しいアイデアをいくつか用意している。より軽量化したノートPCや、オールインワン型ノートPCを投入するなど、個人向け製品のラインアップを強化するほか、デル・リアル・サイトを活用した新たな小売りのスタイルにも取り組んでいきたい」と、個人向け製品や販売における新施策を用意していることを明かした。

 一方、AMDのCPUを搭載したコンシューマ向けデスクトップPCを9月に、2Wayおよび4Wayのサーバー製品を10月に、それぞれ発売することについても触れ、「日本でも同じタイミングでの市場投入となる。AMDと共同で販売/マーケティングチームを編成したり、社内に専任の部門を設けたりといったことは考えていないが、AMD搭載モデルをラインアップすることでユーザーの選択肢を広げることにつながり、ビジネスを成長するチャンスだといえる」とした。

 なお、同社ノートPCに使用しているソニー製バッテリの一部に、発火の恐れがあるとして、対象バッテリの無償交換を行っている件については、「事故が起こる確率は低い。しかし、顧客の安全を第一に考えた結果、自主的に回収を開始した。回収作業は順調に進んでおり、顧客からもこの取り組みに高い評価が集まっている。今後も顧客の協力を得て、すべてのバッテリを回収するように努力する」とした。

 また、「これは、デルのシステム設計による問題ではなく、リチウムイオンセルを生産する際の過程で起きた問題。ソニーは、すでに生産過程を改善する措置をとっていると確信している」とした。具体的な回収台数などは明らかにしなかった。



URL
  デル株式会社
  http://www.dell.com/jp/


( 大河原 克行 )
2006/08/29 16:05

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