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EMCジャパン 執行役員 EMCソフトウェア・グループ本部長 安藤秀樹氏
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米EMC EMCソフトウェア・グループ ストラテジック・マーケティング担当ディレクターのナオミ・ミラー氏
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全世界で企業に対する法規制が強まる中で、注目を集めているのがECM(エンタープライズコンテンツ管理)の分野である。EMCジャパン株式会社は8月31日、同分野に対する取り組みを説明する記者向けのセミナーを開催。買収によって拡大した製品ポートフォリオを背景に、「ほかのベンダではまねのできないようなシステムのインテグレーションができる」(執行役員 EMCソフトウェア・グループ本部長 安藤秀樹氏)との見方を示した。
古くは“箱物”のストレージを中心としたビジネスをしてきた米EMCだが、過去4年でソフトウェア企業を中心に20社程度を買収し、「ILM(情報ライフサイクル管理)というポリシーをソフト面から強固に支える形になった」(安藤氏)。同氏によれば、すでにワールドワイドの売り上げの4割がソフト、2割弱がサービスから上がる形で、ハードウェアが占める割合は半分を切るまでになったという。
その中でも、大きな武器の1つとして考えられているのがECM分野だ。ECMのコンセプトは、1つのリポジトリで構造化データだけでなく、社内のデータの多くを占めるといわれる非構造化データ(メール、Office文書、画像など)を管理しようというもの。各データを別々に管理していてはコンプライアンス上も望ましい形ではないし、何よりも膨大なコストがかかる。EMCが買収したDocumentumのソリューションでは、「米国の経過の中から、コンプライアンスのコストをきちんと制御する助けをしてきた、その経験を蓄積している」(米EMC EMCソフトウェア・グループ ストラテジック・マーケティング担当ディレクターのナオミ・ミラー氏)点が強みという。
また2005年10月には、入力管理ソリューションを提供するCaptiva Software(以下、Captiva)を買収。電子データの管理だけでなく、紙文書の電子化とその管理に関するソリューション提供を合わせて行えるようになった。「大手企業になると何千もの取引先があり、1日あたりに処理しなくてはいけない請求書が数万ある企業も少なくないだろう」(ミラー氏)という状況では、紙文書の管理に非常な手間とコストがかかる。しかしこれを電子化すれば、管理の手間が軽減されるだけでなく、必要な処理を紙の場合よりも迅速に行えるようになるなど、大幅な生産性の向上が見込める。DocumentumとCaptivaのソリューションを合わせることで、相乗効果を生み出すというわけだ。
加えて安藤氏は、これも買収企業であるAuthenticaが持つコンテンツの暗号化、保護の技術も、コンテンツ管理をより強力に推進するための武器になると主張。またアーカイビングストレージ「Centera」などの既存のEMC製品を組み合わせて、付加価値を高めていくと述べた。
こうしたソリューションの長所は、もちろん日本でも生かすことができる。安藤氏は、4月に発表されているNECとの提携においてもECMへの取り組みを進めるほか、SAPデータ、日本版SOX法対策、リッチメディア、eドキュメント管理といった分野へのフォーカスを強めるとしている。
■ URL
EMCジャパン株式会社
http://www.emc2.co.jp/
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( 石井 一志 )
2006/09/01 15:20
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