インテル株式会社は9月8日、同社のエンタープライズ市場への取り組みに関する説明会を開催。その中で、企業向けPCのプラットフォーム「vPro」を正式発表した。
■ シンクライアントではなくvProを
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同社マーケティング本部ビジネス・クライアント・プラットフォーム・マーケティング部 部長の廣田洋一氏
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vProで提供される機能
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vProは、デュアルコアプロセッサの「Core 2 Duo」、ビジネス用途に向けたグラフィック統合型チップセットの「インテルQ965 Expressチップセット」、ネットワークの「インテル82566DMギガビットネットワークコネクション」、プラットフォーム技術の「インテル アクティブ・マネジメント・テクノロジー(AMT)」、「インテル バーチャライゼーション・テクノロジー(VT)」、およびソフトウェア・ドライバで構成されるデスクトップPC向けのプラットフォーム。OSが起動していない状態でリモートでの監視・制御や、ハードウェアレベルでのネットワークフィルタ機能などを実現する。
同社マーケティング本部ビジネス・クライアント・プラットフォーム・マーケティング部 部長の廣田洋一氏は、「情報漏えい対策としてシンクライアントが注目されているが、インテルとしてはそれだけが解決策とはみていない。クライアントPCの性能を必要とする使い方も存在しており、これらも含めてビジネスクライアントを検討する必要がある」と、シンクライアントだけではビジネス上の課題は解決しきれないと述べる。
「ゼロディアタックなどの攻撃にはソフトウェアだけでなく、ハードウェアレベルでの対応も効果的。ヘルプデスクの負担軽減のために遠隔管理は有効だ。また、ワークスタイルの変化により、遠隔地にいるユーザーも等しく管理することも求められる。こうした課題を包括的に解決するのがvPro」(廣田氏)と、管理性・セキュリティ機能などの優位点を紹介した。
vProの特長を言葉だけで紹介することに限界があることも理解していると廣田氏は述べ、「vProを体感できるショールームを開設しているので、利用していただきたい」とした。
■ 年内にクアッドコアXeonを投入
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同社マーケティング本部サーバー・プラットフォーム・マーケティング部 部長の徳永貴士氏
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サーバー製品のロードマップ
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サーバー向け製品の動向について、同社マーケティング本部サーバー・プラットフォーム・マーケティング部 部長の徳永貴士氏は、「6月、7月、8月と毎月サーバー向けプロセッサを発表してきた。まさに“Summer of Servers(サーバーの夏)”と呼べる状態」と、サーバー製品を立て続けに発表してきたと紹介。
6月に発表したデュアルコアXeon 5100番台について、「Coreマイクロアーキテクチャをはじめて搭載したプロセッサ。4MBの共有キャッシュ、3倍の性能向上などを実現している」と紹介。
7月に発表したデュアルコアItanium 2 9000番台については、「デュアルコア化により性能は2倍に、また消費電力は最大20%削減している。すでにHPC用途で利用されたユーザーからは高い評価をいただいている」と、デュアルコア化による性能向上を強調。
8月に発表したデュアルコアXeon 7100番台については、「16MBの大容量の共有キャッシュ、最大2.5倍の性能向上、最大40%の消費電力削減のほか、キャッシュ・セーフ・テクノロジーによる信頼性向上などを実現した」と説明した。
今後のサーバー向けプロセッサのロードマップについて、徳永氏は「2Wayシステム向けのXeon 5000番台において、第4四半期にクアッドコアプロセッサ“Clovertown(開発コード名)”の製品化を予定している」と、プロセッサの出荷計画を予定より前倒して進めていることを紹介した。
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同社マーケティング本部 本部長の阿部剛士氏
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同社マーケティング本部 本部長の阿部剛士氏は、「インテルでは、昨年1年間をかけて大企業から中小企業まで幅広くリサーチを実施した。そのリサーチ結果を見ると、ウイルスへの脅威やIT管理費の削減、新しいワークスタイルへの対応、膨大なデータ量などの課題が浮かび上がった。インテルとしては、こうした課題に対し、性能向上と低消費電力によって対応していく」とCoreマイクロアーキテクチャを中心に展開すると説明。「本日発表されたvProなど、プラットフォームとしても世代ごとに機能向上を進めていく」と、プラットフォーム戦略を重視する姿勢を改めて示した。
■ URL
インテル株式会社
http://www.intel.co.jp/
プレスリリース
http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press2006/060908.htm
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( 福浦 一広 )
2006/09/08 16:45
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