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代表取締役社長の天野総太郎氏
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9月1日付けで、レノボ・ジャパンの新社長に就任した天野総太郎氏が、9月20日、都内で会見を行い、「将来的には国内シェアナンバーワンを目指す」と宣言した。
天野社長は、昨年5月にスタートしたレノボ・ジャパンの約1年間の取り組みを振り返り、「これまでの期間は、従来から提供してきた信頼を継続するために、製品、営業、サービス、ブランドといった点を維持することに力を注いできた。今後は、この基盤をベースに、勝負する時期に入っていく」とし、「私に求められているのは成長させること。中期的に年率2けたの成長を目指したい」と成長戦略に意欲を見せた。
天野社長は、今後の具体的な戦略として、1)レノボ企業ブランドの浸透、2)新規製品群への投資、3)営業カバレージの強化、4)成長戦略とスピードある実践、5)成長分野への投資-をあげる。
レノボ企業ブランドの浸透では、新聞広告をはじめあらゆる広告展開を強化。「他社に比べて露出が少ないのは明らか。需要を喚起するような広告を打ちたい」と語る。
また、営業カバレージの強化では、すでに新規に営業部門で60人を採用したのに続き、さらなる人員増加を図っていく計画を打ち出したほか、経営スタイルに関しても、さらにスピードをあげ、「マネジメントスタイルを抜本的に改革したい」とした。
そして、成長分野としては、「SOHO、中堅・中小企業への投資を優先する。この分野におけるマーケティング活動も積極化していく」として、天野氏が、デル時代に急成長させたSOHO、中堅・中小企業でのビジネス拡大に注力する方針を掲げた。
「ブランド価値を高めることが必要。そのためには、まずLenovo 3000によって、これまでThinkPadではアプローチできなかった層に訴求する。成長の軸はLenovo 3000に置く。その後、Lenovo 3000を使用していただいた方々にThinkPadに移行してもらいたい」と、短期的にはLenovo 3000による成長戦略を重点的に推し進める姿勢を見せた。
また、同社では、パートナーとの連携を中心に、BTOによる対応や付加価値展開を行うリレーションシップセールスと、Lenovo 3000を中心に中小企業、中堅企業などに展開するトランザクションセールスとに区分けしていく体制を整えているが、これをデュアルビジネスモデルと位置づけ、さらに強力に推進していく考えを示し、とくに成長戦略の柱として、トランザクションセールスに力を注いでいくことを示した。
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レノボ・ジャパンのブランディング戦略
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ThinkPadとLenovo 3000の位置づけ
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レノボ・ジャパンの今後のフォーカス
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今回の天野新社長による方針説明は、同社が成長戦略にシフトしたことを明確に打ち出したものとなった。
とくに、トランザクションセールスへ力を注ぐことを強調するとともに、「業務の効率化、スケールメリットによるコスト低減といった成果を、顧客に対する利益還元につなげていきたい」として、価格訴求にも精力的に取り組んでいく姿勢を匂わせたことが見逃せない。
実際、今後のフォーカスとして、製品・ソリューションの強化とともに、価格競争力を柱の一つとして明確に掲げている。ThinkPadで提供する付加価値戦略を推進する一方で、価格訴求による製品展開を成長の柱とすることで、シェア拡大につなげる考えだ。
また、デル時代から天野氏自身が語っていた「企業は人なり」の考え方をレノボ・ジャパンの文化として、新たに根づかせたいとしており、社員に対するキャリアプラン、教育などにも投資していくという点にも、「天野カラー」が見え隠れする。
デルのノウハウを知る天野氏がレノボ・ジャパンの陣頭指揮を振ること、さらに今回、打ち出した方針がデルの得意分野に大きく重なることを考えると、真っ先にぶつかるのは、デルであるとの見方は当然。デルとの競合が、さらに激しいものになる可能性がある。
■ URL
レノボ・ジャパン株式会社
http://www.lenovo.com/jp/
ニュースリリース
http://www.lenovo.com/news/jp/ja/2006/08/0817.html
( 大河原 克行 )
2006/09/20 13:27
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