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デル、仮想化ソリューションを紹介-ITインフラのさらなる最適化をめざす


布谷恒和マネージャ

DPSによる標準化の実装
 デル株式会社は9月20日、プレス向けに同社の仮想化ソリューションとスケーラブル・エンタープライズの優位性に関する説明会を開催した。同社では9月12日にVMware製品のOEM販売を開始することを発表、本格的に仮想化ソリューションの提供を始めている。今回の説明会はこれを受けてのもの。説明会では、同社の目指すスケーラブル・エンタープライズ戦略と新たに展開する仮想化ソリューションについて、その関連性や優位性などを説明した。

 エンタープライズマーケティング本部ソリューション&アライアンスグループ・布谷恒和マネージャは、まず同社のスケーラブル・エンタープライズ戦略について、「バブル期以降、ユーザーのシステム構築に対する考え方は、ベンダー独自アーキテクチャから業界標準コンピューティングへと変革してきた。当社では、こうした動きをとらえ、2年ほど前から、安価で安定した業界標準コンポーネントを使って小規模から大規模システムまで同じアーキテクチャで構築するというスケーラブル・エンタープライズ戦略を展開している」と述べた。

 同社では、この戦略に基づき、EMCストレージのOEM提供やサーバーへのインテルプロセッサの搭載、ISVとのアライアンス、さらには実装部隊として「DPS(デル・プロフェッショナル・サービス)」を組織することで、『業界標準のコンポーネントによって、システムの性能やサービスを向上しながらコストを下げたい』というユーザーからの要求に応えられるITインフラの提供を目指しているという。

 とくにDPSでは、業界標準コンポーネントを組み合わせてシステム構築する際のシステム構成検証、性能検証、可用性検証、テンプレート化、パッケージ化、トレーニングをすべて事前に行うことで、トータルソリューションとしての標準化の実現をサポートしている。「単に業界標準のハードウェアを提供しただけでは、標準化は完成されない。そこに、使い方や導入方法をサポートするサービスをプラスすることで、初めて業界標準化したシステムを実装できる」という。

 さらに、「スケーラブル・エンタープライズ戦略によってITインフラの最適化が進んでいく」こともメリットとして挙げ、「業界標準のシンプルなシステム構成によってコストパフォーマンスが最大化すると、ベンダーに依存しないユーザー主導のITインフラが構築できるようになる。これによって、ユーザーのIT部門の役割が向上し、技術の成熟と利用法の標準化が図られ、ITインフラのさらなる最適化につながっていく」とそのサイクルを説明した。


 9月12日に発表した仮想化ソリューションの本格展開は、このスケーラブル・エンタープライズ戦略をさらに推進させるもので、「VMware製品は、IAサーバー仮想化のデファクトスタンダードであり、これに当社の製品、サービス、サポートのスキルとノウハウを対応させることで、安心で柔軟な仮想化ソリューションを標準化して提供することが可能となる」としている。

 仮想化ソリューションを本格展開する背景について布谷マネージャは、「VMware製品はテストおよび開発環境での試験導入から始まり、徐々に一部の先進ユーザーで本番環境に導入されるようになってきた。そして、VMware Serverの無償化などもあり、今年から本格的に仮想化ソリューションの普及が始まるとみている」とした。

 ユーザーが仮想化ソリューションを活用する意義としては、1)サーバーの継続的な増殖、2)サーバー単体の性能・キャパシティの向上、3)プロトタイピング、システム開発の短サイクル化-の3点を挙げ、「最近は、仮想化という言葉ばかりが先行してしまい、仮想化が最終目的になってしまう傾向がある。しかし、仮想化はあくまでツールの一つであり、これをうまく使ってITインフラを整理することが必要になってきている」と指摘した。

 仮想化ソリューションのコストメリットについては、具体的な比較例を示し、「たとえば、物理サーバーを10台購入した場合と、VMware製品を使って10台の仮想マシンを稼働させた場合の調達コストを比較してみると、仮想化ソリューションの方がハードウェア費用で40%、インストール時間で80%、ラック容量で80%、消費電力で85%、それぞれ大幅な削減を図ることができる」と説明。

 最後に、同社が実際に仮想化ソリューションを導入するにあたっての基本的な考え方として、1)ユーザー側での適用を想定し、仮想化の仕組みを理解する、2)必ず試用する、3)高価なサーバーは必要ない、4)CPUのオーバーヘッドよりもデバイスの統合に留意、5)VMwareの標準機能、純正ツールを使用する、6)完全自動化は現実的に困難である-ことを示した。


日本国内における、IAサーバー仮想化の進展 調達コスト削減の簡単なシミュレーション 典型的なVMware ESX Serverの仮想化環境システム構成


URL
  デル株式会社
  http://www.dell.com/jp/
  プレスリリース
  http://www1.jp.dell.com/content/topics/segtopic.aspx/pressoffice/2006/060912c?c=jp&l=jp&s=corp


( 唐沢 正和 )
2006/09/20 17:15

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