Enterprise Watch
最新ニュース

富士通、独SAPとグローバルサービスパートナー契約を締結


握手する富士通の伊東千秋代表取締役副社長(右)と、独SAP AGアジアパシフィックのハンス‐ピーター・クレイ プレジデント&CEO

共同プログラムの内容

今後3年間におけるSAP関連ビジネスの成長プラン
 富士通株式会社と独SAP AGは10月5日、SAPグローバル・サービス・パートナー契約を結んだと発表した。同パートナー契約の締結は、日本の企業としては初めてとなる。

 これまで両社は、SAPグローバル・テクノロジー・パートナー契約を結んでいたが、今回の新たなパートナーシップによって、ワールドワイドにおけるSAP製品に関するサービス分野での共同プログラムを実施することになる。

 具体的には、セールス/マーケティング活動として、地域/国別に共同活動を展開。さらに、独ワルドルフのGlobal Fujitsu SAP Competence Centerにサービス部門を新設、両社幹部間の情報交換の推進など、関係強化を進める。

 また、グローバルプログラムの展開としては、SAPと共同で、流通、政府・自治体、サービスなどの業種別のセールスアプローチ、mySAPへのアップグレードの推進、CRMの拡販、グローバルなアウトソーシングの提供などを行う。

 富士通の伊東千秋代表取締役副社長は、「今後3年間で、富士通におけるSAP関連の売上高を、現在の2倍規模となる8億5000万ドル(約1000億円)を目指し、SAP関連コンサルタントを、現在、全世界約1000人の規模から、2500人以上に拡大する」と語る。

 2008年度のSAP関連売上高1000億円のうち、欧米で約50%、日本をはじめとするアジアパシフィック地域で約50%を見込んでおり、「ここ数年で、欧米の売り上げ比率を急速に高めていくことになる」(同)とした。

 富士通グループにおけるSAPコンサルタントは、欧州で200人、米州で500人、アジアパシフィックで350人体制。今後、あらゆる地域で、SAPに強い中小規模のシステムインテグレータの買収などによって、グループ全体のSAPコンサルタントを増員していく考えだ。

 「SAPの顧客は、グローバルアカウントが多く、当社にもグローバル対応することが課せられている。業種ノウハウや高信頼プラットフォームを提供できるという強みに加え、富士通グループにおいて、SAPをサポートする体制が全世界規模で整いはじめたこと、さらに、今回の新たな協業関係の構築によって、こうしたグローバルアカウントに対して、SAP関連ソリューションの提供、顧客の業務最適化、競争力向上を迅速に実現できるようになる」(伊東副社長)とした。

 SAP AG アジアパシフィックのハンス‐ピーター・クレイ プレジデント&CEOは、「富士通とは長年にわたる強固な関係にある。今回の提携によって、SAPのグローバルなパートナーネットワークが強化されること、グローバルスケールでのサービスを提供できる体制が整う。顧客に大きな価値を提供できるようになるだろう」とした。

 また、伊東副社長は、「NetWeaver基盤におけるSOAの提供がSAPにとっては、大きな価値となる。エンタープライズSOAの提供においても、富士通は強い支援体制を確立することになる」とした。


 富士通では、2009年度における海外売り上げ構成比を50%以上にする計画を掲げている。今回の提携によって、この計画の実現に向けて海外事業を加速する考え。

 伊東副社長は、「現在、30%の海外売り上げ比率を50%以上にするのは簡単なことではない。実現に向けては、プラットフォームビジネスの強化、顧客起点のソリューション拡充、顧客対応力の向上が必要。ERPに関しても、ひとつのソリューションを提供するのではなく、顧客の要求にあわせてソリューションを提供できる仕組みが必要。当社では、自社ERPとしてGLOVIAがあるが、これを伸ばしていく努力をする一方で、グローバル展開をとらえた場合、ERP分野ではSAPやOracleを逃すわけにはいかないという現実を直視する必要がある。グローバルでの成長を考えた場合には、SAPに関しては遠慮なく伸ばしていく必要がある。業界におけるファクトを見つめて、やることはやるという、アグレッシブな姿勢で臨みたい」とした。

 また、同社の各種ミドルウェア製品と、SAPの各種製品との連動といった動きも、今後加速していく考えを示した。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  独SAP AG
  http://www.sap.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2006/10/5-1.html


( 大河原 克行 )
2006/10/05 13:51

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.