Enterprise Watch
最新ニュース

インテルと筑波大学、セキュアVMの開発協力で合意


筑波大学大学院の加藤教授とインテルの吉田共同社長

今回の発表内容
 インテル株式会社と国立大学法人筑波大学は10月11日、国のセキュリティ対策の一環として開発が進んでいる次世代高セキュリティ環境を確立する「セキュアVM」の開発で協力することに合意した。

 両社は、政府が6月15日付けで決定した「セキュア・ジャパン2006」の項目に該当し、筑波大学が総括する「セキュアVM」の開発において協力していく。

 セキュアVMは、政府側の協力体制と共に、学術研究組織としては筑波大学を全体のとりまとめ役に、電気通信大学、東京工業大学、慶応義塾大学、奈良先端科学技術大学大学院、豊田高専が協力。民間企業としては、富士通、NEC、日立製作所、NTT、NTTデータ、ソフトイーサなどの民間企業が協力することが発表されている。

 今回、新たにインテルが技術支援を行うことになった。筑波大学側は、セキュアVMの設計と実装、プログラム全体のとりまとめを担当。インテル側はインテル・アーキテクチャに関わるプラットフォームならびに技術情報の提供とセクやVMに関する技術支援を行う。

 具体的な機能とポイントは以下の通り。
  1. 新たにOSを開発し、強制的に利用させるのではなく、既存の汎用OSであるWindows、Linuxなどで稼働可能なものとする
  2. セキュリティ機能を利用者環境に依存せず、集約的に提供する仮想マシン(VM機能)
  3. ハードディスクや通信経路の暗号化などによる情報漏えいなどのリスク低減
 3年間の予定で、1.9億円の文部科学省 科学技術振興調整費が支給され、開発が進められていくことが予定されている。まず、初年度はWindowsでの動作を確立し、2年目、3年目からはテスト利用を繰り返し、実際に利用可能なレベルとしていく計画だ。3年間で研究が完成しない場合も想定し、長期にわたって研究を進めていくことも検討。多くの民間企業が協力関係を結んでいることから、例えばインテル側のプロセッサのアーキテクチャ変更といった変化にも対応していく計画だ。


筑波大学から見るインテルへの期待 今回のプロジェクトにおけるインテル側の支援体制の紹介 セキュアVM開発におけるインテルの役割と今後の動向について

 セキュアVMの開発を担当する筑波大学大学院システム情報工学研究科の加藤和彦教授は、「昨今のセキュリティ問題は、サーバーシステムからクライアントへと移行している。技術的な解決策はセキュリティベンダー側から提示されているものの、末端の情報漏えいをカバーするためには今年3月に当時の内閣官房長官であった安倍晋三氏からWinnyを使わないよう呼びかけが行われたように、アナウンスくらいしか対策はないのが実情ではないかと思われる。今回、エンドユーザーが意識せずに利用できるクライアント環境の高セキュリティ機能の実現を目指したい」と説明した。

 インテルの吉田和正共同社長は、「日本の情報化社会が進展していく中で、いかに安全を実現するか、セキュリティソリューション構築を進めていくことができるのかは、先の長い課題ではあるが重要なポイントとなると考えている。今回、仮想化技術によりクライアントにセキュリティ機能を装備するプロジェクトに協力できることは、当社としても大変光栄なことだと考えている」と説明している。


筑波大学大学院システム情報工学研究科 加藤和彦教授 インテル 吉田和正共同社長


URL
  インテル株式会社
  http://www.intel.co.jp/
  国立大学法人筑波大学
  http://www.tsukuba.ac.jp/
  プレスリリース
  http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press2006/061011a.htm


( 三浦 優子 )
2006/10/11 15:22

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.