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アルプス社、米MapInfo製品の“ロケーションインテリジェンス”戦略を説明


MapInfo アジアパシフィック地域担当セールスディレクターのサイモン・バード氏

アルプス社の湯本法人事業部長
 株式会社アルプス社は10月12日、同社が国内総代理店となって販売している米MapInfoの製品についてプレス向けセミナーを開催した。セミナーでは、来日したMapInfo アジアパシフィック地域担当セールスディレクターのサイモン・バード氏が、同社の概要と製品戦略および日本市場に対する方針などを説明した。

 MapInfoは、GIS(地理情報システム)の世界的なリーディングカンパニーで、世界中に24の営業所を持ち、従業員は900人以上。同社のGIS製品は、世界で7000以上の企業・団体に導入され、主に小売り、電気通信、公共部門、金融サービス・保険などの分野で活用されているという。

 バード氏の発表に先立ちアルプス社の湯本法人事業部長は、国内における販売の現状について、「米国MapInfo社製品が日本に登場したのは13年前になるが、当社では2002年3月からその国内総代理店となり、同社GISソフトウェアの販売を行うとともに、パートナー向け営業支援、マーケティング活動、技術支援などを提供してきた。現在、販売の85%がパートナー経由で行われており、当社が直接取引をしている10数社の販売代理店を含めトータル100社近くまで販売パートナーが拡大している。販売実績についても、位置情報と地図情報を組み合わせて活用する企業・団体に幅広く導入され、累計で1500ユーザーに達している」と説明した。

 バード氏は、まず同社の経営状況について、「収益、利益ともに順調に伸びており、長年にわたり安定した経営基盤を築いている。2006年度の実績は9月決算のため、まだ発表できないが、今年6月の投資家向けガイダンスでは、従来の成長率が今年も順調に続くとの予測が発表されている」と述べた。現在、アジア太平洋地域が占める売上比率は16%で、「米国を本社におく企業としては、この16%という数値は非常に高い比率だ」とみている。

 同社では、「世界中のあらゆる企業や政府機関がロケーションのパワーを活用できるようにすること」を使命としてかかげており、これを実現するための製品戦略として「ロケーションインテリジェンス」を展開している。

 バード氏は、ロケーションインテリジェンスについて、「これまでのGISは、部門ごとに導入され、それを活用して分析するためには個人の高い技術力が必要とされていた。当社が提案するロケーションインテリジェンスでは、企業全体にGISを導入することによって、ロケーションを分析して得られる価値を企業内の全社員が共有できるようになる。また、特定の市場ごとにさまざまなソリューション展開を行っており、企業の業務プロセスを統合したかたちでロケーション情報を提供できる」とそのメリットを説明した。


MapInfo Professionalでは、地図情報の上に人口分布、顧客の位置と販売実績、各拠点の売上状況を表示させて分析可能

ネット上の地震情報を読み込んで地図上に表示したところ
 ロケーションインテリジェンスがもたらす価値としては、1)Locate、2)Visualize、3)Analyze、4)Modelの4つを挙げた。基本となるのがLocateで、位置情報を検索して確認する。次のVisualizeでは、得られた位置情報を可視化し、地理的分布や複数データの比較を行う。そしてAnalyzeで、可視化されたロケーションのパターンを効率的に解析。最後のModelは、この解析機能をさらに複雑化したもので、仮想したロケーションモデルをもとに、さまざまなパターンを予測分析する。

 バード氏は、実際にMapInfo製品を導入してロケーションインテリジェンスの価値を活用している顧客として、MasterCard、タイ保健省、携帯電話事業者のOrangeをピックアップし、それぞれの導入事例を紹介した。

 日本市場に対する方針については、「当社はすでに日本市場で10年以上の実績を持っている。非常に強力な販売代理店やパートナーのネットワークが構築できており、日本向けのローカライゼーションにも力を入れている。また、主要市場に向けては、それぞれの業種のパートナーと協力し、分野別・市場別のソリューションを積極的に提供している。今後もこうした活動を継続し、日本市場への展開に注力していく。そして、パートナー各社とともに成長し、日本のビジネスを支援していきたい」と述べた。

 なお、セミナーの最後には、デスクトップGISソフトウェアの最新版「MapInfo Professional v8.5日本語版」のデモが行われた。このデモでは、地図情報と顧客情報を組み合わせて分析する機能を紹介。人口分布を反映させた地図情報の上に、顧客の位置とその販売実績、さらには各拠点の売り上げ状況を表示できる機能や、国道の周辺1km範囲の顧客を絞り込んで確認できる機能などが紹介された。また、ネット上で提供されている地震情報をXMLデータで取り込み、地図情報に表示させるデモも行われ、北朝鮮で観測された震源情報も表示されていた。



URL
  株式会社アルプス社
  http://www.alpsmap.co.jp/
  米MapInfo(日本語)
  http://www.mapinfo.jp/


( 唐沢 正和 )
2006/10/12 18:36

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