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OINのローゼンタールCEOが来日-Linuxの特許を約100件保有へ


OINのジェリー・ローゼンタールCEO
 Open Invention Network(OIN)のジェリー・ローゼンタールCEOが来日し、昨年11月の設立以来の成果や現状などについて言及した。

 OINは、Linuxに関する特許を取得し、これを無償で提供することを目的に設立したもの。IBM、Novell、Phillips、Red Hat、ソニーの5社が出資して設立。今年9月には、新たにNECが出資した。

 CEOのローゼンタール氏は、米IBMで知的財産権のライセンシング業務を担当するなど、知的財産権分野では40年以上の実績を持っている。

 今回は、日本をはじめ、中国、韓国の主要アジア諸国を訪問し、OINの活動に理解を求めるほか、OINが持つLinuxの特許技術の利用などについての説明を、政府または関連企業に行うのが目的。

 ローゼンタール氏は、「かつては、知的財産権は固有の企業や個人が所有していたが、21世紀に入り、発明、革新が協調の上で誕生するようになった。インターネットやグリッド、そしてLinuxがその最たるものだといえる。だが、その一方で、従来とは異なる特許に関するポートフォリオが求められるようになった。Linux分野において、その必要性を感じた企業が出資し、誕生したのがOINである」とし、「OINでは、Linux環境における参加企業への便益提供と保護を目的に、特許ポートフォリオを構築する。Linuxに関する特許や、関連する分野の技術特許を取得し、Linux環境に対して特許権を行使しないことを条件に、いかなる企業や団体、個人にも、これを無償で提供する。Linuxを守るためのポートフォリオを作るのが狙い」と、OINの基本的な活動方針について触れた。

 ローゼンタール氏は、現時点で、特許申請中の技術を含めて、100件近い知的財産権を保有していることを明らかにし、「Commerce Oneの倒産にあわせて、Linuxに関する35件のパテントを、1500万ドルで取得した。今後も必要と思われる特許は入手する考えだが、設立から1年で、意味があるといえる段階まで特許を取得することができた」とした。

 なお、過去1年間に特許取得に関して投資した具体的な金額や、各社の出資額などについては公表していない。


 今後、取得が必要とされる特許については、6社の出資企業で構成されるテクニカルコミッティで随時検討を行い、必要なものから入手する手続きを行うという。

 「まずは、Linuxで使用されながらも、これを競合となる企業も必要とするようなものから優先的に入手するようにしている。将来にわたって、Linuxの利用環境を保護、維持するというディフェンシブな観点から特許入手を進めている」とした。

 また、「出資者から募った資金は極めて潤沢であり、私のこれまでの経験から推定しても、今後、しばらくは特許取得に関する資金としては不足がないと判断している」とコメント。「資金を確保するという意味から新たな出資者を募るということは考えていない。ただし、出資を希望する企業があれば、それを拒むものではない」とした。ただし、日本の企業を含めて、現在、具体的な出資の話し合いはないという。

 ローゼンタール氏は、「この1年の活動によって、Linuxの特許に関するリスクを大きく軽減できたと考えている。Linuxエコシステムを構築でき、将来に向けても、Linuxビジネスをリスクが少ない形で推進できる基盤が整ったのではないか」と語った。



URL
  Open Invention Network
  http://www.openinventionnetwork.com/


( 大河原 克行 )
2006/10/16 15:16

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