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ジャストシステム、米IBMと日本企業初の包括的な協業契約を締結

浮川社長に協業契約の狙いを聞く

 株式会社ジャストシステムは10月17日、米IBMと日本のソフトウェアメーカーとして初めて包括的な協業契約(Teaming Agreement)を締結した。今後両社は密接に連携し、xfyの世界市場での営業活動を推進するため、積極的に協業プログラムを展開していく。

 ジャストシステムは、9月にXMLアプリケーション開発基盤環境とクライアント実行環境を統合的に提供する法人向けソリューション製品「xfy Enterprise Solution for DB2 9」を発売している。この製品は、XMLDBとRDBのハイブリッドDBである「DB2 9」の発売と同時に提供を開始した製品で、xfyは開発段階よりIBMから高い評価を受けていたという。

 今回の協業は、両社が共同して世界市場をにらんだビジネスプラン(Go-To- Market Plan)を策定し、具体的なセールス活動をグローバルに展開するもの。加えて、お互いのテクノロジーを評価し合い、ユーザー企業から必要とされるソフトウェア開発も共同で行う。

 また、ジャストシステムは今回のTeaming Agreement締結と合わせ、アライアンス・パートナー・プログラムである「IBM PartnerWorld」にも参加し、メンバーシップ・レベル資格として「アドバンスド・レベル」を取得した。

 IBMとのTeaming Agreement締結に関して、米カリフォルニア州アナハイムで開催中のIBM Information On Demand 2006の会場で、ジャストシステムの浮川和宣社長に聞いた。


ジャストシステム代表取締役社長の浮川和宣氏
―Teaming Agreementとは?

浮川氏
 Teaming Agreementは、本質的には契約です。「チーム」というと、日本人にはスポーツのイメージがあり、あまり重大なこととはとらえないかもしれませんが、米国のニュアンスとしては非常に重い意味を持つ言葉です。

 この契約では、お互いにどのようなことをするのかといった内容が詳細に定められています。IBMとTeaming Agreementを締結した企業には、ハードウェアの会社があったりソフトウェアの会社があったりで、業務の内容や提携の範囲などが個々に異なるため、決まった定型フォーマットがあるわけではなく、個々の企業ごとにそれぞれ独自の契約内容を作成します。

 今回のジャストシステムとの契約は、基本的にはxfyとDB2 9との協力が柱となりますが、今後IBMのDB2 9以外の製品に関しても協力/情報交換していこうという内容が含まれており、包括的な提携という形になっています。提携の範囲は日本あるいは米国という限定的な形ではなく、全世界が対象になります。xfyのビジネスを全世界に拡げていく上でジャストシステムに欠けている、全世界規模の営業ネットワークに関してIBMの協力が得られ、一方でジャストシステムはIBMに、技術的な知識やノウハウの提供や新しい可能性の提案を行う、Give&Takeの関係です。

 契約は1年単位で、基本的には再契約が想定されています。今回の契約の成果を互いに再評価して、また新たな内容で契約し直すことになるのではないでしょうか。


―具体的には何をするのか?

浮川氏
 Go-To-Market Planと呼んでいますが、市場展開に関してさまざまなシナリオを作成し、共同で推進していきます。大きくは「両社が協同で市場開拓に取り組んでいく」ということになります。具体的に何をするか、細かい部分まで詳細に定められているところもあれば、今後詳細を決めていくとされている部分もあるのですが、詳細な内容については公表できないことになっています。

 おおまかには、営業/マーケティングの面でIBMが主導し、ジャストシステムは、IBMに対してxfyに関する技術知識を提供する、というのが実際の活動内容の中では大きな比重を占めることになるでしょう。

 内容には、いくつかのテーマが含まれており、中には1年間の中のある特定の時期を定めて実行するという内容もあります。つまり、1年間の両社の行動に関するロードマップが決まったという言い方もできるかもしれません。

 詳細は言えませんが、内容面ではジャストシステムにとっても大いに力になる内容が含まれています。

 1年間でどこまでできるか、リソースの問題もありますが、基本的には日本を含むグローバルでの展開を進めていきたいと思っています。XMLに関しては、ドイツでは利用が拡大しているとか、英国でも力を入れているといった状況がありますので、ヨーロッパでの展開にも注力していきたいところです。

 聞いたところでは、IBMがDB2にXMLデータベースの機能を組み込むための開発を始めたのは2000年頃で、ジャストシステムがxfyの開発を開始した時期とちょうど同じ頃です。製品化の時期もほぼ同じタイミングとなり、組み合わせて利用することでソリューションができあがるという理想的な展開になりました。また、IBMとしても、長い時間を掛けてXMLに取り組んできて、XMLについての知識と経験を深めていたからこそ、ジャストシステムが実現したxfyの意義や先進性についてもいち早く気づいてもらえたという面があるように思います。その意味でも、よい提携関係を築くことができたと思います。



URL
  株式会社ジャストシステム
  http://www.justsystem.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.justsystem.co.jp/news/2006l/news/j10171.html
  IBM Information On Demand 2006
  http://www-306.ibm.com/software/data/ondemandbusiness/conf2006/


( 渡邉 利和 )
2006/10/18 11:12

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