そこで、同社は1998年からLinuxに対する投資を継続してきた。1998年には商用データベースとしてOracleが初めてLinuxに対応し、2002年にはLinuxでグリッドを構成するために必要となるクラスタファイルシステムの開発に貢献した。さらに2002年には“Unbreakable Linux Program”として、Oracleデータベースを動作させているLinuxに深刻なバグが見つかった場合にはOracleが責任を持ってフィックスするとした。
そして、これらの問題に対するOracleからの解決策としてエリソン氏が発表したのが、新しい「Unbreakable Linux Program」だ。単純に言ってしまうと、Red Hat Linuxを対象としたサポート契約をOracleと締結できるようになるというもの。従来から、Oracleではデータベース等の製品のサポートの一環として、プラットフォームとなるOSに対するサポートも提供しているが、今回のプログラムは、Oracle製品ユーザー向けではなく、Red Hat Linuxそのものを対象として、データベース等の同社のエンタープライズソフトウェア製品と同じレベルのサポートを提供するという点で大きな差がある。
コードベースはRed Hat Linuxだが、Red Hatの商標表示等を消して法的な問題を解消したソースに基づき、同社のサポート部門がパッチ等を作成し、バイナリでも配布する。作成したパッチや修正は即座にオープンソースとして公開され、誰でも利用できるようになるという。ただし、Red Hat Linuxから分岐した“Oracle Linux”といった新たなディストリビューションを作成するわけではなく、Red Hat Linuxがバージョンアップした場合などは新たにコードの同期を取り、Red Hat Linuxから乖離(かいり)しないようにする計画だ。当然、エリソン氏が挙げた問題点であるバックポートに関しても対応する。