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富士通、2006年度上期連結業績は7月公表値上回る


小倉正道代表取締役副社長
 富士通株式会社は、2006年度上期連結決算を発表した。

 売上高は前年同期比7.8%増の2兆3623億円、営業利益は6.4%増の506億円、経常利益は137%増の376億円、当期純利益は93.7%増の148億円となった。

 「上期では、すべてにおいて黒字を確保した。また、7月公表時に対して、営業利益は156億円増加するなど、売上高、営業利益で計画を上回った」(富士通・小倉正道代表取締役副社長)と語る。

 セグメント別では、テクノロジーソリューションの売上高は、前年同期比6.3%増の1兆4286億円、営業利益は364億円で、ほぼ前年同期並み。

 そのうち、システムプラットフォームの売上高は前年同期比1.8%増3387億円となったものの、営業損失はマイナス51億円となり、前年同期に比べて78億円悪化した。

 ものづくり強化への取り組みをさらに推進してコストの効率化を図る一方、海外は光伝送システムが引き続き好調に推移したほか、UNIXサーバーが大きく伸び、海外売上高が前年同期比14.5%増となったが、国内は、前年同期に大型案件があった携帯電話基地局において減収となったほか、グローバルな価格競争激化の影響や、戦略的な先行投資費用の負担が継続したことや、サーバー関連が伸び悩んだ。

 だが、「システムプラットフォーム全体では、通期で200億円の黒字を見込んでおり、システムプロダクトも、ネットワークプロダクトも期末に需要が集中する傾向がある。上期は赤字基調にあるのが前提であり、ずっと赤字が続くわけではない」との見方を示し、下期の黒字転換を強調した。

 システムプロダクトの上期売上高は前年同期比3.6%増の1617億円、ネットワークプロダクトは、0.3%増の1769億円となった。

 テクノロジーソリューションの内数となるサービス事業の売上高は前年同期比7.8%増の1兆898億円。営業利益は416億円と、前年同期に比べて71億円増加した。

 ソリューション/SI事業が、金融や製造・流通分野を中心に着実な回復を示す一方、海外は、英国におけるアウトソーシングサービスが引き続き好調に推移したこと、買収による北米でのサービスビジネス拡大などにより、増収増益となった。

 「英国における中央政府関連および民需を対象にしたアウトソーシングなどのサービスビジネスが好調に推移しているほか、北米ではラピダイム社の買収を最大規模に、いくつもの買収を進めており、その成果が出ている」(小倉副社長)とした。

 また、国内のソリューション/SI事業では、商談提案活動などにおいて、ビジネス拡大のための戦略費用を増加させたが、増収効果やコストダウンなどにより、利益を維持した。

 「不採算案件についても、コントロールし、抑えられるようになってきた。確実な契約をとるという点では、小口化する傾向があるが、採算面での改善が進んでいる」という。

 ソリューション/SIの売上高は8.0%増の4941億円、インフラサービスの売上高が11.2%増の5256億円。その他が13.8%減の700億円。


 ユビキタスプロダクトソリューションの売上高は、前年同期比6.1%増の5286億円。営業利益は33億円増の199億円。

 個人向けパソコンの需要が低迷したが、海外向けパソコンやHDD、国内向け携帯電話が堅調に推移。

 「パソコン、HDDは国内外で価格競争激化の影響を強く受けたが、HDDおよび携帯電話における増収効果に加えて、ものづくり強化によるコストダウン効果、品質強化の影響により、増益となった」(小倉副社長)という。

 パソコンおよび携帯電話の売上高は前年同期比3.3%増の3637億円。

 「ノートPCのバッテリー回収問題は、収益や機会損失には影響がないと考えている」とした。また、同社では、「Vista発売前の買い控えの影響はなく、第4四半期でパソコンの販売が拡大するだろう」としている。

 上期のパソコンの出荷台数は370万台(前年同期実績は367万台)、通期では、900万台(前年実績は825万台)としている。

 また、携帯電話の上期出荷実績は185万台と前年同期の168万台から増加したものの、通期では350万台と、前年の362万台から減少すると見ている。

 HDDの売上高は13.6%増の1554億円。その他が0.3%減の93億円。


 テバイスソリューションの売上高は、前年同期比12.2%増の3769億円、営業利益は35億円増加の160億円。

 自動車関連およびデジタル家電向けを中心としたロジックLSIの需要が堅調に推移。昨年9月から量産出荷を開始した三重工場300mmラインの効果もあり、国内、海外ともに2けた増の伸びとなった。

 LSIの売上高は7.7%増の2362億円、電子部品その他が20.6%増の1407億円となった。


 一方、地域セグメント別では、今年6月に海外事業の強化を目的に、組織改革を実施。欧州をEMEAに、アジア・豪州をAPAC・中国に名称変更。米州を含む、それぞれの地域に責任者を置く体制とした。中間期決算では、すべての地域セグメントで増収増益となり、EMEA、米州、APAC・中国は、それぞれ前年同期比2桁の売り上げ増となった。

 なお、通期の見通しについては、「売上高、営業利益が7月公表時の計画を上回ったが、前年実績を若干上回るレベルにとどまっていること、第4四半期に売り上げおよび利益が集中するシステムプロダクトやソリューション/SIビジネスにおいて、引き続き不確定要素が残っていること、加えて、HDDやロジックLSIなどにおいては需要動向の不透明さが残っている。さらに、グローバル市場においては、価格競争が激しくなっている」(小倉副社長)ことを理由として、「変更はしない」とした。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  2006年度 連結および単独中間決算概要
  http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2006h/

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( 大河原 克行 )
2006/10/26 19:29

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