Enterprise Watch
最新ニュース

米Symantec トンプソンCEO、「インターネットでは信頼の醸成が必要」

Symantec Vision 2006基調講演

米Symantecの会長兼CEO、ジョン・W・トンプソン氏
 株式会社シマンテックは11月2日、「Symantec Vision 2006」を開催。その中で、米Symantecの会長兼CEO、ジョン・W・トンプソン氏らが基調講演を行った。

 トンプソンCEOは、「今日、コンシューマであれ企業であれなんらかの形でインターネットに接しており、仕事の仕方や遊び方が変わってきた。より多くの人が情報に対してより迅速なアクセスを求めている」と環境の変化に言及。「コンシューマは接続された環境の中で娯楽を受けたり仕事したりしており、信頼できるインフラを提供することで常にインタラクションを提供できるようにしなくてはいけない」とする。

 しかし現在では、「脅威の内容も変わっており、広く騒ぎを起こすものから対象を絞ったものに変化した。IDを盗むなど、適切でない手段で利益を得ようとしている。フィッシングがその代表的な例だ」というように、セキュリティ状況も変化している。

 「電子取引が一般化する中で、コンシューマがオンラインの世界に対して信頼を保てるようにしなくてはいけない。当社では、インターネットの世界でどうやって信頼を醸成するかに注力してきた。セキュリティが損なわれる状況があってはならないし、実際にあらゆるトランザクションで信頼があるようにしなくてはいけない」(トンプソンCEO)。そのためにSymantecでは先ごろ、国内も含めて詐欺対策製品の「Norton Confidential」をリリースし、きちんとした保護を提供できるようにしたという。

 法人では、外部からの脅威だけでなく内部からの脅威も、大規模なインフラを運営するにあたっては存在すると主張。Symantecでは、包括的なアプローチで全体のリスクを低減できるソリューションを提供していると説明した。この部分についてはCTO兼上級副社長のマーク・ブレグマン氏が登壇し、セキュリティとデータ管理、ITコンプライアンスの重要性などについて、同社の製品を利用するメリットを含めて説明した。

 また、複数の製品を利用することによるデータセンター管理の煩雑さについて触れ、データセンターマネージメント担当グループプレジデントのクリス・ハガーマン氏が、統合管理製品の利用によるトレーニング時間の短縮、管理性の向上などから、これを解消できると説明した。「複雑性の解消やコスト削減ができれば、より多くの時間やエネルギー、リソースを別の取り組みに振り向けられるようになり、それが企業の競争力につながっていく。Symantecは、まさにその手伝いをしている」(トンプソンCEO)。

 さらに同社の強みとして、全世界に張り巡らされたセンサーネットワークである「Symantec Intelligence Network」と、セキュリティ分析機関である「Security Response」を取り上げ、これらによって「脅威やリスクが起こりうるところを事前に把握して先手をうっていける」(トンプソンCEO)と話す。さらに1000人以上のセキュリティや可用性に特化したコンサルタントがいるとし、「技術とコンサルが融合することで、顧客の環境に合わせたソリューションを構築可能」と述べた。


質問に答えるトンプソンCEO
 講演後に行われたQ&Aセッションでは、一部メディアで報道されていた、Windows Vistaにからむ米Microsoftとの関係について回答した。これは、x64版Windows Vistaのカーネルパッチ保護技術「Patch Guard」、Windowsセキュリティセンターが競争を阻害するものとして、Microsoftを批判していたとされる問題。

 トンプソンCEOはまず、「グローバルの売り上げの大きなパーセンテージはMicrosoftのプラットフォームから実現されている。強い関係を同社と持っており、それはこれからも続く」と述べ、引き続き強いパートナーシップを続けていくと主張。「EUに対してもほかの政府機関に対しても、MicrosoftとWindows Vistaの問題についての苦情は申し立てていないが、EUとのコミュニケーションはしている。また世界各地の公正取引委員会で、同社のセキュリティ技術の振る舞いに関心があるところとはコンタクトを持っている」と状況を説明した。

 また、「顧客は選択を求めており、Microsoftが公正な、対等な状況を作ることによって選択を実現できるようにしなくてはいけない。セキュリティ市場に同社が進出するときも、情報に対するアクセスは過去と同様にできるようにしてほしい」と要望。

 さらに、「Windowsにおけるイノベーションのためには、まったく制約のないカーネルに対するアクセスが必要。悪さをする人の一歩前にでるために、セキュリティの世界ではイノベーションが必要だ。これに関してはポジティブな動きが見られるし、APIを提供することでセキュリティセンターをオフにできるという発言があった。当社としてはこれらの発言に関して心強く思っている」と述べている。



URL
  Symantec Vision 2006
  https://jp-enterprisesecurity.symantec.com/product/sv2006/index.html


( 石井 一志 )
2006/11/02 18:26

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.