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マイクロソフト、パートナーカンファレンスを開催

バルマーCEOが基調講演でセキュリティビジネスなどに言及

 マイクロソフト株式会社は11月6日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで、「Microsoft Partner Conference 2006」を開催した。

 会場には、マイクロソフトのビジネスパートナーなど約1000人が来場。Windows Vistaや2007 Office Systemを中心とした製品戦略や、同社のビジネスパートナー戦略について説明を行った。


米Microsoftのスティーブ・バルマーCEO

セキュリティビジネスの構築

コミュニケーションビジネスの構築
 カンファレンスの最初のセッションに登場した米Microsoftのスティーブ・バルマーCEOと、日本法人のダレン・ヒューストン社長は、同社が推進している「People Ready Business」への取り組みや、日本市場への継続的な投資を行うこと、セキュリティ製品であるForefrontをはじめとする新製品などへの取り組みに触れながら、それらにおけるパートナー戦略の重要性を訴えた。

 バルマーCEOは、「今年はVistaおよび2007 Office Systemが重要な製品になる。いよいよ今月から、本格的に普及に向けた努力を始めていくことになる」とし、「Vistaおよび2007 Office Systemは、使いやすさや、機能性、セキュアな環境を実現するという点で、大きな進歩を遂げている。また、より多くのサードパーティーアプリケーションの革新も実現することになる。あわせて、People Readyに関する新たなビジネスシナリオを提供することができるだろう。まずは、パートナーのみなさんが、これを自ら利用してもらい、そのメリットを顧客に紹介してほしい」とした。

 また、「マイクロソフトは、これまでセキュリティビジネスには参入してこなかったが、今後、Forefrontで、シマンテックやトレンドマイクロ、マカフィーなどの市場に展開していくことになる。この分野は新しい領域であるが、マイクロソフトには、Eメールでも、表計算ソフトでも、すべてをカバーする包括的なセキュリティが求められている。マイクロソフトは、その市場に対して、魅力的な製品を提供できると確信している。そして、われわれは、この分野でパートナー各社の支援を望んでいる。今日、この会場に参加しているパートナー企業は、既存のセキュリティベンダーと手を組むか、われわれと手を組むかという選択を迫られることになるが、多くのユーザーは複数のセキュリティソリューションを求めている。セキュリティに十分ということはありえない」などとして、同社のセキュリティ製品の取り扱いについて呼びかけた。

 また、VoIP製品の投入についても言及し、「来年初めには、VoIP市場に参入する。また、同様にビデオカンファレンス市場にも参入する。これらは、エンドユーザーの視点で提供されるものであり、言い換えれば、オフィスアプリケーションの視点で提供されるものでもある。音声、ビデオを融合することで、コミュニケーションの新たな手段を提供する。また、ここでは、パートナーともさまざまな協業が推進されることになるだろう。今後、数年間でVoIP市場は飛躍的に拡大することになる」と語った。


Liveプラットフォーム
 また、「検索」への取り組みについても触れ、次のように語った。

 「当社の検索技術によって、検索そのものや、文書管理などを新しいレベルに引き上げることができる。これによって、マイクロソフトが、全面的にビジネスインテリジェンスの世界に入っていくことができるともいえる。マイクロソフトの検索には、3つの特徴がある。ひとつは、マイデスクトップでの検索であり、2つめが組織内の情報に対する検索。そして、3つめがインターネットなど外部リソースの検索である。それぞれ、Live Search、SharePoint Search、Windows Searchと呼ばれるもので対応することになる。Googleは大変強い会社だが、インターネットの検索において強い会社である。また、Googleが最近参入を始めているLive Searchの分野でも、マイクロソフトの技術の方が数段上だといえる。マイクロソフトは、検索能力を高める努力を続けており、他の企業とも、手を組む必要があれば手を組んでいく」。

 マイクロソフトでは、将来的に、Liveプラットフォームによるアプリケーションやコンテンツのオンライン配信を前提としたビジネスモデルへの転換を掲げているが、「これによって、すべてのソフトとサービスが変革することになる。この分野では、パートナーとの協業が難しいのではないかと懸念する指摘もあるが、ホスティング事業での協業など、いい関係が築くことができるとも考えている」などとした。

 さらに、Windows Vistaや2007 Office Systemの戦略においては、「エンタープライズWindowsを売りたい。また、エンタープライズOfficeを売りたい」としてエンタープライズ戦略を軸に置くことを示したほか、「.NETは、Javaと十分な競争をしてきた。SQL Serverについても、積極的な展開を行ってきており、システムセンターマネジメントを強化していくことが可能になる。Dynamics CRMも新たなビジネスを構築できる。これらの取り組みは、マイクロソフトの成長でもあるが、パートナーの成長にもつながる」とした。

 講演の最後に、バルマーCEOは、「Thankyou,Thankyou,Thankyou」と、パートナーへの感謝の意を示したあと、「Vista,Vista,Vista」と語り、Windows Vistaの日本における普及に対して、改めて協力を求めた。


ダレン・ヒューストン社長

イノベーションへのステップ

パートナーへのコミットメント
 一方、ダレン・ヒューストン社長は、PLAN-Jの関する進ちょく状況を説明。そのなかでもパートナーシップへの取り組みを具体的な事例をあげ、その成果を強調してみせた。

 「昨年はウィルコムとの連携で携帯電話端末を投入したり、これから2週間後には東芝との協業で、Zuneという製品が出荷されることになる。また、大塚商会をはじめ、数々のパートナーとさまざまな分野でのソリューション実績が出ている」などとした。

 だが、「日本の市場には、いくつかの課題がある」として、「ITプロにとっては、きつい、苦しい、汚いという3Kの環境にあり、まだまだ満足度を高めていく必要がある。日本では.NET Frameworkに対する需要が高いにも関わらず、開発者の数が足りないという問題がある。また、デジタルワークスタイルの分野では日本は欧米に比べて遅れている部分がある。デジタルワークスタイルにおいて、大きなブレイクスルーが必要だろう」とした。

 とくに、デジタルワークスタイルの遅れに関しては、強い危機感を持っていることを示し、「個人のエンターテインメント利用や、モバイルに関する利用は、欧米に比べて、3~5年進んでいるが、残念ながらデジタルワークスタイルでは、3~5年も遅れているといわざるを得ない。エンタープライズ市場において、レガシーシステムが稼働している比率は、米国が5%であるのに対して、日本は30%。また、日本におけるActive Directoryの導入率が低いのが実態だ。中堅・中小企業におけるIT導入度も低い。また、電子政府、電子自治体での利用も少ない。こうした点をブレイクスルーしていく必要があるだろう」とした。

 また、共同作業の簡略化、コンテンツの保護と管理、情報の検索とビジネス対応力の向上、ITコストの削減とセキュリティの強化といった4つの観点からPeople Ready Businessに取り組んでいく姿勢を示し、そのなかで、「人」へのコミットメントを推進していくことを強調した。

 最後に、ヒューストン社長は、「マイクロソフトのビジネスの96%がパートナーによるビジネス。パートナーのみなさんにとって、最高のソフトウェアデベロッパーでありたい」と、パートナー戦略を重視していく姿勢を示した。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/


( 大河原 克行 )
2006/11/06 18:46

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