Enterprise Watch
最新ニュース

「アプリケーションデリバリの堅固なインフラを提供する」-米CitrixテンプルトンCEO

Citrix iForum 2006 Japan基調講演

米Citrixのマーク・テンプルトンCEO
 シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(シトリックス)は11月9日、プライベートイベントである「Citrix iForum 2006 Japan」を開催。米Citrixのマーク・テンプルトンCEOらが、「アプリケーションをユーザーに届けるための環境・インフラを整備・提供する」という戦略を繰り返し説明した。

 まずテンプルトンCEOは、「当社は長年、ユーザーにとってアプリケーションへのアクセスがしやすくなるように取り組んできた」と主張する。Citrixの主力製品はもちろん、かつて「MetaFrame」の名前で知られた「Citrix Presentation Server」であり、これによってアプリケーション配信を手助けしてきたのは、周知の通りだ。

 テンプルトンCEOはこのアプリケーションデリバリについて、電力供給のたとえを使って説明する。「電力供給には、発電と送電の部分があるが、どちらかしか所有できなければ、当社は送電(デリバリ)を所有したい」とした同CEOは、「この部分がユーザーのニーズを理解できる部分だから」と説明。「残念ながらIT組織のほとんどはデリバリに注力しておらず、アプリケーションを走らせる発電の部分にばかり注力している。今やっと、その必要性が理解され始めた」とした。

 こうしたデリバリ部分の強化は、ビジネスを危機にさらす「分断」の危険性に対しても効果的に働くという。「交通や天候、テロなどの問題で従業員が職場にたどり着けなかった場合でも、ITの組織が堅牢なインフラを持っていれば、アプリケーションをデリバリ可能。2005年に当社のあるフロリダは4つのハリケーンを体験したが、1200人の従業員は、家庭やカフェから仕事を継続できた」との実例を挙げて、アプリケーションデリバリインフラの重要性を訴える。

 Citrixでは、Presentation Serverによるアプリケーション配信機能の提供に力を注ぐ一方、テンプルトンCEOが述べたように、アプリケーションデリバリのためのインフラの整備にも力を入れている。またセキュリティと可視性も重要で、この3つの要素の強化が、堅固なインフラ構築のために欠かせないと説明した。

 同社ではその戦略を確立するため、数々の企業買収によって、SSL-VPN製品の「Citrix Access Gateway」、ロードバランサーの「NetScaler」、アプリケーションファイアウォールの「Citrix Application Firewall」、WAN高速化製品である「WanScaler」、といった製品群をここ1~2年に手に入れ、ポートフォリオの強化を図った。

 テンプルトンCEOは、これらの新たな製品ポートフォリオを示した上で、「多くの方は当社をPresentation Serverでご存じだろうが、14の製品がそろった。幅広い製品群があることで、皆さんに対する私どもの責務が果たせると考えている。アプリケーションデリバリインフラを構築し、ビジネスの波にたちむかっていけるようにする」と話す。

 「あの9.11で世の中は目覚めた。これから先は多くの変化がつきまとい、それはチャンスにもなるが、ビジネスの中断にもなりうる。変化に対応して機会をとらえるため、IT組織は準備をしておく必要があり、アプリケーションデリバリのネットワークに注目すべきだろう」(テンプルトンCEO)。


アドバンスドテクノロジー担当副社長のマーティン・ダーズマ氏

アプリケーションネットワーキンググループ副社長兼ジェネラルマネージャー、ビー・ヴィ・ジャガディーシュ氏
 なお基調講演では、3人のCitrix副社長から、各製品についての説明が行われた。まず
アドバンスドテクノロジー担当副社長のマーティン・ダーズマ氏が、最新版のPresentation Server 4.0によるメリットを解説。さらに、2005年12月の64ビット版提供によって、「拡張性が一段引き上げられた。アプリケーションを書き換える必要なく、ユーザーの収容密度を高めることができる。拡張性も大幅に改善した」と述べた。

 アプリケーションネットワーキンググループ副社長兼ジェネラルマネージャー、ビー・ヴィ・ジャガディーシュ氏は、買収によって得た新ポートフォリオを取り上げた。各製品とも好調であることを強調した上で、WanScalerを取り上げ、「どんな企業でもユーザーの半分以上は本社以外からデータセンターにアクセスする。この製品を利用すれば、WANをLANのように利用可能。数千マイル離れている地点間のテストでは、3~7倍の向上が見られた」とアピールしている。

 3人のうちで最後に登壇したマネジメントシステムグループ副社長兼ジェネラルマネージャー、ルー・シップレイ氏は、管理の重要性に言及。これも買収によって入手したパフォーマンスモニタリングソフト「EdgeSight」によって、ユーザーの体験を調べ、最適な環境を提供できると説明していた。



URL
  シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
  http://www.citrix.co.jp/
  Citrix iForum 2006 Japan
  http://www.citrix.co.jp/iforum2006/


( 石井 一志 )
2006/11/09 16:20

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.