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関連企業・業務委託先を含め10万社が対象に-アビームが日本版SOX法の実施基準案を解説


EBS事業部プリンシパルの永井孝一郎氏
 アビームコンサルティング株式会社は11月13日、いわゆる日本版SOX法の「実施基準案」の公開を受け、記者向け勉強会を開催した。

 今回公開された実施基準案は、企業会計審議会 内部統制部会を経て公開された実施基準の草案。3部構成となっており、1部では内部統制の基本的枠組みを解説。2部は企業経営者向け、3部は監査人向けの内容となっている。正式な実施基準案は11月末に公開される予定。

 今回発表された実施基準案の特徴について、同社EBS事業部プリンシパルの永井孝一郎氏は、「質問書や業務フローなどの例を用意することで平易に説明しようとしたり、IT統制や業務処理統制評価範囲などで随所に企業負担を減らそうと努力をしたあとが伺える。しかし、評価範囲の絞込みを明記する一方で、関連会社への評価やグループ全体の決算調整等プロセスの評価といった範囲拡張がみられる面もある。提出することを急いだ影響かもしれない」と紹介。「特に、ITシステムの監査に関して具体的な記載がされるなど、監査人の負担が大きなものとなっている」と述べ、最終的な実施基準になるまでに再度修正が入るのではないかとの見解を示した。

 もっとも影響がある点として、対象企業が多数となる点を指摘。「新興市場を含む上場企業約3800社が対象となるが、これら上場企業の連結子会社・関連会社(持分法適用会社)および業務委託先も対象となる。これら企業をあわせると、10万社程度となる。これらの企業が限られた期間内に内部統制の構築・整備を行うことになる」と説明。「数万名規模の需要が予想されるが、公認会計士や内部統制コンサルタントの多くが先行して日本版SOX法に対応している企業の支援で手一杯の状態」と、支援要員が圧倒的に不足していると紹介。

 こうした現状を受け、同社では講習会を開催するなど、日本版SOX法に企業が独力で対応できる支援を行っている。永井氏は、「もはやお金を払ってもどこも対応できない状態。3月末決算の企業の場合は、準備期間は1年5カ月しかない。これから対応する企業は外部に頼れず、自社で対応しなくてはいけないことを覚悟する必要がある」と、これから日本版SOX法に対応する企業に対し、早急に外部からノウハウ移転を受けて、社内体制を確立しないと間に合わないと指摘する。

 なお、日本版SOX法の今後のスケジュールについて、「11月末に実施基準案を正式公開し、これに対してパブリックコメントを求めるという段階に入る。2007年1月末に実施基準を確定するというスケジュールとなっているが、今回公開された実施基準案を見る限り、整合性が取れていない箇所も多く、今後どのように展開するかは不透明」(永井氏)と、正式に確定するまでにまだ動きがあるのではないかとした。



URL
  アビームコンサルティング株式会社
  http://www.abeam.com/jp/
  企業会計審議会 第14回内部統制部会
  http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/naibu/20061106.html
  第14回内部統制部会配付資料(資料1-1)(PDF)
  http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/naibu/20061106/01-01.pdf
  第14回内部統制部会配付資料(資料1-2)(PDF)
  http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/naibu/20061106/01-02.pdf
  第14回内部統制部会配付資料(資料1-3)(PDF)
  http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/naibu/20061106/01-03.pdf
  第14回内部統制部会配付資料(参考資料)(PDF)
  http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/naibu/20061106/02.pdf


( 福浦 一広 )
2006/11/13 19:20

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