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日本オラクル、2007年初頭にも「Unbreakable Linux 2.0」事業を国内で展開へ


Oracleのグローバルテクノロジービジネスユニット担当副社長、ロバート・G・シンプ氏
 日本オラクル株式会社は11月14日、報道機関向けのラウンドテーブルを開催し、米Oracle グローバルテクノロジービジネスユニット担当副社長のロバート・G・シンプ氏や、Oracle Fusion Middlewareプロダクトマーケティング担当副社長のリック・シュルツ氏らが、記者からの質問に回答した。

 シンプ氏に対しての質問は、OracleがRed Hat Linuxに対してサポートを提供するという「Unbreakable Linux 2.0」戦略に集中した。その中でシンプ氏は、なぜLinux OSのサポートに踏み切ったのかについて「完全にオープンであり標準化されたインフラを提供できるのがLinux。オープンスタンダードであるがゆえに、どこか1つの企業が独占しようとしてもできないメリットがある」とした。また、「できるだけ多くの人が統合化された1つのLinuxを利用することが大事と考えている。エンタープライズではRed Hatが人気があるので、それをサポートしていくことを表明した。最終的にLinuxとして1つのディストリビューションに統合されていくのがいいと思っており、顧客の要望が強いので当社はRed Hatを推している」と述べ、独自のディストリビューションを持つことは否定している。

 さらに、OSそのものに機能を追加していくところまでを手がけるか、という問いに対しては「Linux開発チームで開発作業を行っているが、提供するとすればカーネル上でどなたでもお使いいただけるような技術で、(ディストリビューションではなく)より上流で付加されるだろう。各ディストリビューションは差別化を図るために機能を追加しているが、当社はよりよいサポート、サービスを提供する上での差別化を図っていきたいと考えている」(シンプ氏)と回答した。

 加えて、Oracleに顧客が求めることについて、「グローバルな観点では知財に対する訴訟問題もある。包括的な形で、規模の大きな当社がLinuxの背後に立って免責保証を提供できる点も大きいと考えられている」と話し、パッチ提供など以外でも、Oracleが提供するメリットを感じている顧客が多いとしている。


日本オラクルの常務執行役員 システム製品統括本部長、三澤智光氏

OracleのOracle Fusion Middlewareプロダクトマーケティング担当副社長、リック・シュルツ氏
 一方国内の展開では、日本オラクルの常務執行役員 システム製品統括本部長、三澤智光氏が、「子会社として持っているMIRACLE LINUXとの整合性を考えており、2007年初頭からのビジネス展開を目指して取り組んでいる段階。また当社のパートナーはRed Hatのサポートビジネスをしているところもあるので、パートナーとの整合性も取る必要がある」と説明した。ただし三澤氏は私見と断った上で、「日本ではUnbreakable Linuxはハイエンドで搭載されていくだろう。MIRACLE LINUXは比較的中小規模のサーバーにインストールされているため、最初は競合しないと考えている」とした。

 「Oracleとしては長年Red Hatの下で、何年にも渡ってサポートを提供してきたが、互換性の問題などなかった。Unbreakable Linuxのプログラムは、サポートを受けられる数を増やそうという意図であり、なぜ今さら信頼性が取りざたされるのかがわからない。当社は、どんなハードウェアを選ばれてもアプリケーションの起動を保証していく」(シンプ氏)。

 またシュルツ氏は、最近買収を発表したばかりの米Stellentについて、「Oracle Databaseは非構造的なデータを扱っていくが、Stellent製品はデータベースの中でデータを格納していくコンテンツデータベース部分や、検索する部分を担当する。データを作成したり、インデックスしたり、キャプチャリングしたり、パブリッシングしたりといった部分を扱っており、これらがFusion Middlewareに組み込まれていく」と話す。また、「Stellentの非常に優れている分野は、Webコンテンツ管理とそれに関連する技術。具体的にはデジタルアセット管理、デジタル署名の管理などがある。これらはContent Databaseの管理でも役立っていく」と述べた。

 「今後のロードマップは、この2~3カ月で明らかにしたいと考えている。Stellentとの統合では、アプリケーションのワークフローを考える際におけるコンテンツの重要性から、BPEL Process Managerでも重要になってくるだろうし、同社製品のAPIをJDeveloperに統合することで、開発分野でのメリットも生まれるだろう」(シュルツ氏)。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/

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( 石井 一志 )
2006/11/14 18:45

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