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マカフィーがセキュリティ動向説明会を開催-コンピュータ攻撃で死者が発生する可能性を指摘


McAfee Avert Labs, Director of Operationsのジョー・テラフィシ氏
 マカフィー株式会社は11月20日、同社のセキュリティ研究部門であるMcAfee Avert LabsのDirector of Operationsのジョー・テラフィシ氏によるセキュリティの最新事情に関する記者向け説明会を開催。近い将来、人命にかかわるサイバーテロが発生する危険性があることなどを指摘した。

 McAfee Avert Labsは、5大陸23都市に設置されたセキュリティラボ。24時間体制で同社ユーザーのセキュリティを守ることをミッションとしている。

 テラフィシ氏は、コンピュータウイルスやワーム、スパイウェアなどのマルウェアのこれまでの傾向を紹介。「1986年に初のコンピュータウイルスであるブレインウイルスの登場以来、2000年まではプログラマーが自分の能力を世間に知らしめる趣味的な段階だった。この段階では、多くのPCに繁殖させ、目立つことが目的だった。それが1990年代後半からは、ボットやキーロガーなど犯罪・営利目的の段階に移った。これらは繁殖することは目的ではなく、ユーザーに気づかれないように行動することで情報を盗み取ろうとしている」と、自己顕示から営利目的に移行したと紹介。

 営利目的ということから費用対効果を重視した攻撃、つまりもっとも利用されているWindowsを対象とした攻撃が中心となっていると紹介。ただし、携帯電話の多機能化・OSの共通化や、携帯電話での支払いが可能となってきたことから、今後携帯電話を対象とした攻撃も増えるとテラフィシ氏は指摘する。

 また、家電製品や自動車などあらゆるものにプロセッサが搭載され、ネットワークでつながることによる危険性も高まるとした。テラフィシ氏はこうしたユビキタス社会が実現することで、コンピュータ攻撃による死者が発生することになる可能性に言及。「今後3年、10年先を考えた場合、医療機器を停止したり、自動車の安全装置に障害を与えるなど、事故が起きる可能性がある。歴史的にみると、レオナルド・ダ・ビンチが発明した機器が兵器に転用された例があるように、技術が悪用されることは十分にありうる」と、サイバーテロの段階に移行する可能性が高いと指摘する。

 「長期的な視点で見た場合、インターネットを国家安全保障の視点で見ることが重要。また、現状では各社それぞれでセキュリティ研究を行っているが、競争ではなく公益のために研究組織の統合が必要になるのではないか。また、各社製品間での相互運用性も重要なテーマになる」と、安全保障の観点からセキュリティを検討する段階に入りつつあると述べた。



URL
  マカフィー株式会社
  http://www.mcafee.com/jp/


( 福浦 一広 )
2006/11/20 18:35

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