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サン、NGN時代に向けたテレコム市場戦略を説明

最先端のサーバー製品群投入、組込から汎用システムへの移行支援

 サン・マイクロシステムズ株式会社は11月30日、次世代ネットワーク(NGN)時代に向けた同社のテレコム市場戦略についてプレスセミナーを開催した。今回のセミナーでは、米国本社から担当者を招き、11月22日に発表したテレコム市場向けサーバー新製品を中心に、NGNに関する取り組みや開発戦略、技術動向、販売戦略などが説明された。


米Sun プロダクト・マーケティング・ダイレクターのマーク・バトラー氏

次世代サービスの実現に向けたサンのソリューション
 まず、米国本社プロダクト・マーケティング・ダイレクターのマーク・バトラー氏は、「当社はテレコム市場のトップベンダーであり、キャリアグレードのネットワークシステムとしてラックマウント型サーバーからブレードサーバーまで幅広い製品ラインアップを揃えている。また、当社の提供するSolaris OSは、全世界の多くのテレコム関連企業、プロバイダに幅広く採用されている」と、同社のテレコム市場における強みを述べた。

 そして、「テレコム業界全体は、今全世界規模でIPを活用したNGNへ急速に移行しつつあり、新世代の通信サービス展開を後押ししている」と指摘。同社がNGNに向けた戦略を積極的に進めている市場背景を説明した。

 NGNサービスを実現するためのソリューションとしては、データ・プレーンやコントロール・プレーンのための統合プラットフォーム環境の提供、組込型仮想化テクノロジによる1ブレード内でのマルチO/S環境の提供、SAFに準拠したHAシステムと管理システム、CMTによるスループットの最大化などを挙げ、「当社の提供する通信事業者向け製品群Netraは、NGNサービスに向けた業界最先端のテレコム向けプラットフォームだ」と力を込めた。


米Sun CMT Netra担当マネージャーのデビッド・ベリー氏
 同社ではNetra製品群の新製品として、UltraSPARC T1プロセッサを搭載したラックマウント型サーバー「Netra T2000」とPICMG 3.0(ATCA)に対応したプロセッサ・ブレード「ATCA CMTプロセッサ・ブレード Netra CP3060」を11月22日に発表しており、今回のセミナーではこれら新製品の特徴、想定用途、パフォーマンス分析などが紹介された。

 両製品とも、1チップで最大32スレッドを実行可能なUltraSPARC T1プロセッサを搭載しているのが特徴。「Netra T2000」は、高スループット、高密度を実現し、テレコム環境での利用に最適化した2Uラックマウント型サーバーで、ビデオ配信などのメディアサーバーとしての用途が想定されるという。一方、「Netra CP3060」は業界初の8コア/32スレッドのATCAブレードで、今年3月に発表したブレードサーバー「Netra CT900」向けのプロセッサ・ブレードとなっている。無線アクセスとデータトランスポートでの利用が想定されるという。

 米国本社CMT Netra担当マネージャーのデビッド・ベリー氏は、「ラックマウントとブレードの2種を用意することで、垂直方向と水平方向というスケーラビリティの選択肢を提供する。また、標準アーキテクチャの採用によって、開発サイクルの短期化とコスト削減を図ることが可能となる。さらに、限られた電力供給量、スペースの中でサーバー効率を評価するSWaPによるパフォーマンス分析では、他社製品と比較して大きく上回る数値を達成している」と、新製品の優位性を訴えた。


産業営業統括本部 産業第一営業本部 ネットワークシステムビジネスデベロップメント キャリアグレードプラットフォーム担当の中島隆行氏
 最後に、日本市場の動向について、産業営業統括本部 産業第一営業本部 ネットワークシステムビジネスデベロップメント キャリアグレードプラットフォーム担当の中島隆行氏は、「日本はブロードバンド環境が急速に普及し、インターネットトラフィック量は過去5年で10倍以上に増大している。閲覧者も映像、音楽、ゲームなどのリッチコンテンツを求める傾向が強まっており、これを受けて、通信事業者はブロードバンド対応のサービスをいかに早く提供できるかが急務になってきている。その中で、キャリアグレードプラットフォームにおけるデータ・プレーンのインフラをどう構築していくかという点も非常に重要な課題となっている」と述べた。

 そして、「現在のデータ・プレーン系インフラのネットワークシステムは組み込み専用機が中心となっているが、今後は汎用サーバーへの移行が進むと見ている。当社では、標準規格のCOTSサーバーとオープンソースの選択肢を提供することで、汎用システムへの移行を支援し、開発コストや長期的TCOの低減、電力消費の削減に貢献していきたい」と意欲を見せた。

 具体的には、アプリケーション開発パートナーの支援、ネットワークプロセッサからの移行支援、オープンアーキテクチャルータの支援などを展開していくという。



URL
  サン・マイクロシステムズ株式会社
  http://jp.sun.com/

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  ・ サン、UltraSPARC T1を搭載したテレコム業界向けサーバー(2006/11/22)


( 唐沢 正和 )
2006/11/30 19:32

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