サン・マイクロシステムズ株式会社は12月6日、来日中の米Sun Microsystems会長兼Sun Federal Inc.会長のスコット・マクニーリ氏のプレスラウンドテーブルを開催した。4月にCEOをジョナサン・シュワルツ氏に譲ったマクニーリ氏に、現在の活動状況などを伺った。
■ 日本との関係強化が現在のミッション
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米Sun Microsystems会長兼Sun Federal Inc.会長のスコット・マクニーリ氏
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―会長としての現在の役割を教えてください。
マクニーリ氏
フォーカスしているのは、米国の官公庁のレベニューをあげること、Top50企業の顧客を増やすこと、そして日本との関係強化の3つになります。今週月曜に日本に来て、顧客や政府関係者と精力的に会う機会を増やしています。これまで以上に日本に来ることが増えるとおもいます。
―具体的には、どのような日本企業と接触していますか?
マクニーリ氏
われわれが対象とする層は、多くの顧客を持っている企業です。たとえば、日本政府は市民に対してサービスを提供していますから、われわれの顧客対象となります。そのほか、テレコム、金融、ISPなどが対象になります。ソフトバンクの孫社長とは非常に仲良くしており、ゴルフを一緒にしたりしています。いつも私は負けていますが(笑)。
―(米Microsoftの)ビル・ゲイツ会長は2008年で引退すると表明していますが。
マクニーリ氏
私は引退するつもりはありませんよ(笑)。400億ドルくらいの資金を貯めたら考えますが(笑)。
CEOから外れたおかげで、社内に縛られることが少なくなりました。その結果、外部の顧客と会う機会が増えています。CEOのとき以上に仕事をしているかも知れません。
個人的に関心を持って活動しているのは、Curriki(http://www.curriki.org/)というプロジェクトです。Currikiはカリキュラムとウィキを組み合わせた造語で、幼稚園から高校までの教材をオープンソース化して無償で提供するという取り組みです。
カリフォルニアの場合、小学校3年生の算数の教科書が130ドルもします。算数の内容が大きく変わることなんて考えられますか? なのに、毎年これだけの金額を支払っているのです。このような教科書をオープンソースの仕組みで共有すれば、すばらしいとおもいませんか? 今回の来日でお会いした政府関係者にもこの話をしましたが、強い関心を示していました。
■ 企業はデータセンターを自社で作る必要はない
―Project Blackboxなど興味深い取り組みも行っていますね。
マクニーリ氏
Project Blackboxは、データセンターはサービスプロバイダ側に統合されるだろうという考えの延長線で生まれたものです。
Project Blackboxはデータセンターに必要な機能を船積み用のコンテナ1台にまとめたものです。冷却を効率的に行えるため、コンテナの中に8つのラックを搭載することができます。これは従来のデータセンターと比べると3倍の密度になります。コンテナからはネットワーク、電源、冷却用パイプの3つのコネクタが出ており、これをつなぐだけで利用できます。2007年に出荷を予定していますが、同一形状、同一規模で利用できることから米では引き合いがあります。
―GoogleなどのWebサービスやSaaS(Software as a Service)など、Web 2.0的な動きはSunにとって追い風でしょうか?
そのとおりです。さきほども述べましたが、われわれは多くの顧客を抱えている企業を対象にビジネスをしています。これらの企業には、Googleやsalesforce.comも対象です。これらの企業を通して、Sunは間接的に顧客にサービスを提供する立場にあります。
また、SaaSなどの充実を見てわかるとおり、企業は自らデータセンターを作る必要はないといえます。留守番電話を例にすると、以前は自宅に機材を置いて留守番電話機能を実現していましたが、今では携帯電話のキャリア側で留守番電話機能は提供しています。データセンターも同様です。わざわざ自社でデータセンターを持つよりも、その労力を自社の得意分野に使うことが重要です。企業は、自分の会社は作る側なのかユーザーなのかをしっかりと見極めないといけません。
Sunは一貫して「ネットワークことがコンピュータ(The Network Is The Computer)」を主張しています。まさに今、これが正しいことが証明されたといえるのではないでしょうか。
■ URL
サン・マイクロシステムズ株式会社
http://jp.sun.com/
( 福浦 一広 )
2006/12/07 00:00
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