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日本オラクル、メディア業界への取り組みについて説明

企業間連携に対応するサービス共通基盤を提供

 日本オラクル株式会社は12月14日、メディア業界への取り組みについてプレス向けに説明会を開催した。この説明会では、メディア&エンターテインメント市場の現状と課題、そしてそのインフラを支える同社製品群やテクノロジーなどについて説明が行われた。


システム営業統括本部 通信・メディア・公益営業本部長の関屋剛氏
 まず、メディア業界の動向についてシステム営業統括本部 通信・メディア・公益営業本部長の関屋剛氏は、「現在、メディア業界は、企業同士の合併やアライアンスが急速に進みつつある。メディア業界のシステム要件は、デバイス、ネットワーク、プラットフォーム、サービスといった4つのレイヤーに分けられるが、今後、これらのシステム要件をいかに1つのグループとして提供できるかが課題になってくる。当社では、各レイヤーのシステム要件を実現するソリューション群を用意し、それらをミドルウェアでつなぐことでメディア業界向けにトータルソリューションとして提供していく」と述べた。

 同社がターゲットとするメディア&エンターテインメント市場は、インターネット(ポータル)、ゲーム、テレビ、インターネット(商取引)、モバイル、CATV、ISP、広告、ラジオ、出版、映画、新聞に関わる各企業。市場の現状について同社では、1つのコンテンツを複数のデバイスで有効利用する「チャネルの増加」、携帯向け新サービスや新規事業の立ち上げによる「事業機会の増加」、そして通信と放送の連携など「新領域のビジネスモデル確立」という3つのトレンドがあることを指摘。

 こうした動きの中で、メディア&エンターテインメント企業を取り巻く課題として、(1)新しいサービスの開発、チャネルの開拓、(2)コンテンツとメタ情報の有効活用、(3)ステークホルダーとの関係強化、(4)情報漏えい、コンプライアンス対応-の4つを挙げた。システム営業統括本部 通信・メディア・公益営業本部 メディア営業部の水口敦嗣部長は、「これらの課題解決に向けたキーワードは、グリッド・アーキテクチャ、エンタープライズ・マッシュアップ、デジタルコンテンツの管理、顧客分析ソリューションの大きく4つ。当社では、このキーワードをもとにメディア&エンターテインメント企業の課題を解決するためのソリューション群を提供している」と説明した。


メディア業界のシステム要件を実現するOracleソリューション群 メディア&エンターテインメント業界の現状 メディア業界の課題に対するオラクルの解決策

システム営業統括本部 通信・メディア・公益営業本部 メディア営業部の水口敦嗣部長

エンタープライズ・グリッド技術による統合サービス基盤の実現
 グリッド・アーキテクチャについては、メディア&エンターテインメント企業のサービスの成長速度・規模にあわせたIT投資として、サービス開始からサービス拡大へ向かう段階で、ITインフラの拡張性と運用コストを考慮しながら同社のエンタープライズ・グリッド技術を提供する。これにより、その後の複数サービス統合、さらには顧客分析へと効率的なIT投資が可能になるという。サービス拡大時のITインフラとしては、拡張性と可用性を高い次元で実現するクラスタデータベース「Oracle Real Application Cluster」を利用。「エンタープライズ・グリッド技術によって統合サービス基盤を実現することで、不測の事態が起きたときのサービスの復旧やトラブルの解消を迅速に行うことができる」(水口部長)としている。

 エンタープライズ・マッシュアップでは、具体的に地図データとオラクルソリューションのマッシュアップ事例を説明。「Oracle MapViewer」と、同社パートナーのキャドセンター社が開発したWeb版3次元デジタル地図配信システム「Urban Viewer ASP」との連携により2Dと3Dマップを融合した地図配信サービスについてデモを行った。このほか、コンテンツ・マッシュアップとしてメールによる検索ソリューション「Butlerサービス」のデモや、検索マッシュアップとして検索キーワードに属性情報をマッシュアップした新たな検索手法が紹介された。

 また水口部長は、「メディア&エンターテインメント企業の提携、合併、分社化が盛んに行われている中で、今後は提携企業まで含めたサービス連携基盤の構築が求められている」と指摘。「当社では、標準技術を利用することで、サービス提供会社とその提携先企業がファイアウォールを超えてサービス連携や認証連携が行えるソリューションを提供している。さらに、Oracle Service Delivery Platform(SDP)によって、複数のデバイスにコンテンツやサービスを提供できるサービス提供共通基盤を実現し、通信と放送の連携を支援していく」と述べた。


3DマップWeb配信とOracle MapViewerの連携 提携企業まで含めたサービス連携基盤の構築 「通信と放送の連携」を支援する「Oracle Service Delivery Platform(SDP)」

 デジタルコンテンツの管理については、とくに放送業界において「デジタルコンテンツの収集から分類、保管、検索、再改良、配信までのプロセスの中でメタデータが膨大に増加しつつあり、多くの企業がその管理に苦労している」との現状を説明。同社では、次世代デジタルアセットマネージメントを提供することで、デジタルコンテンツを有効に管理して使用できる環境を実現しており、実際に同社のデジタルアセットマネージメントが放送局に採用されているという。さらに、サードパーティ製品と連携することで、コンテンツの著作権管理、ライセンスセールス、課金・請求管理、ロイヤリティ管理、レベニュー管理、分析・最適化までのコンテンツサプライチェーンのプロセスを実現するという。

 顧客分析ソリューションでは、顧客の囲い込みをするための情報分析基盤と企業を超えた新しいサービスの展開が大きな課題になっていると指摘。「オンラインゲームや出版、モバイルコンテンツ、アミューズメントなど、メディア&エンターテインメント企業の事業領域が広がる一方で、顧客データが分散管理されることで、クロスセリングの機会損失や潜在顧客の獲得機会の損失を招くとともに、セキュリティレベルも低下してしまう」(水口部長)という。これに対し同社では、各事業ごとに分散された顧客データを統合したデータベースを構築し、売上を最大化するための市場分析と顧客基点の売上分析を実現する顧客分析ソリューションを提供していくとしている。


制作から公開・配信までを支援するデジタルアセット・サプライチェーン デジタルアセットマネージメントのデモ画面 メディア&エンターテインメント向けアーキテクチャ

 最後に、メディア&エンターテインメント企業への導入事例として、毎日コミュニケーションズ、楽天トラベル、ソフトバンクBB、USEN「GyaO」、コナミデジタルエンタテインメントの事例が紹介された。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/


( 唐沢 正和 )
2006/12/14 19:20

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