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マイクロソフト、仮想化ソフト「SoftGrid」によるアプリケーション互換性維持をアピール


Windows本部 ビジネスWindows製品部のシニアマネージャー、中川哲氏

PCのインスタンスを丸ごと仮想化するVirtual PCなどとは異なり、アプリケーション実行環境のみを仮想化するのがSoftGridだ

SoftGrid利用までの流れ
 マイクロソフト株式会社は12月18日、新たに提供を開始するデスクトップ運用管理支援ツール「Microsoft Desktop Optimization Pack for SA」(以下、MDOP)に関する説明会を開催した。

 Windows本部 ビジネスWindows製品部のシニアマネージャーである中川哲氏によれば、企業顧客におけるデスクトップ環境移行に際して、「導入・展開のコスト」「アプリケーションの互換性」「IT管理部門の負荷」といった問題があるという。マイクロソフトではこれらの課題を解決するために、大量展開向けツール「Microsoft Business Desktop Deployment」や仮想化ソフトの「Virtual PC」などを提供してきた。今回のMDOPも、この課題解決の一環として提供される。

 MDOPが主として担うのは、アプリケーション互換性の部分。具体的には、MDOPのコンポーネントの1つであるアプリケーション仮想化ソフト「SoftGrid」によって、互換性を提供する。もともとSoftGridは、米Microsoftが買収した米Softricityの製品。同製品では、サーバーからクライアントPCにアプリケーションを配信してOS上の仮想ランタイム環境で実行する仕組みを採用しており、OSをWindows Vistaに移行したとしても、アプリケーションの互換性を維持できるという。

 またクライアント側では、OSのレジストリに情報を書き込んだり、システム領域にDLL/INIファイルを加えたりする作業は発生しない。このため、例えば複数のバージョンのWordやExcelを共存させるといった、通常のデスクトップ環境ではサポートしない利用法が可能になる点も特徴である。

 利用にあたっては、ソフトウェアコンポーネントの「SoftGrid Sequencer」によって、あらかじめ配信する仮想アプリケーションをパッケージング化。これを、SoftGrid ServerからクライアントPCに配信する。アプリケーションはクライアントPCのリソースを利用して動作するので、アプリケーションをサーバー上で動作させ、画面の遷移情報だけを送受信するサーバーベースコンピューティング方式と比べて、サーバーの負荷は少なくて済む。ネットワークから切り離された環境でも、アプリケーションイメージをキャッシュすれば利用可能という。

 「Windows XPの企業における普及率が50%を超すまで、発売から約3年かかった。Windows Vistaでは、各種施策によって、1年半での50%超えを目指したい」(中川氏)。

 SoftGridは、MDOPが提供される2007年1月から利用できるが、まずは、Windows XP向けの英語版(日本語仮想アプリケーションは動作可能)のみが提供される。その後、2007年第3四半期に、英語版Windows Vista対応英語版、2007年~2008年に日本語Windows Vista対応の日本語版がリリースされる計画という。中川氏によれば、評価版の提供予定はないが、TechNetやMSDNといった開発者/技術者向けプログラムでは提供されるとのこと。


SoftGridを利用中のクライアントPCの画面。バージョンの異なる2つのWordを同時に起動させるような、通常ではできないことも可能になっている SoftGrid Server側の管理画面。どのユーザーにどのアプリケーションを使わせるかなどを、詳細に設定可能だ

 MDOPでは、SoftGrid以外にも、インベントリ管理など3つのソフトウェアコンポーネントが用意されるものの、提供は少し遅れて、2007年5月からになる予定。加えて提供開始時のWindows Vista対応、日本語対応ともに未定とのことで、今後アップデートがあり次第、対応状況がアナウンスされるとしている。

 なお、MDOPの製品名に「for SA」とあるように、企業向けライセンス制度「SA(ソフトウェアアシュアランス)」のユーザー以外は、MDOPを購入することはできない。SAとは、対象製品のアップグレード権を中心にしたソフトウェアサポート契約。マイクロソフトでは近年、SAユーザー向けの特典の拡充に力を注いでおり、今回のMDOP提供もその流れの一環である。参考価格は、1ユーザーあたり1200円/年。契約中のWindows VistaのSA数を上限として購入できる。企業向けライセンスでも、Open BusinessとOpen VolumeのSAは対象にならないので、注意が必要である。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/

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  ・ マイクロソフト、SAユーザー向けにクライアント管理ツールパックを提供(2006/12/18)


( 石井 一志 )
2006/12/18 17:17

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