Enterprise Watch
最新ニュース

「コア戦争は永遠には続かない」-AMDリチャード副社長


米AMDの執行副社長 ワールドワイドセールス/マーケティング最高責任者、アンリ・リチャード氏

サーバー向け分野の販売状況

Accelerated Computingのイメージ
 日本AMD株式会社は12月20日、報道向けの説明会を開催。米AMDの執行副社長 ワールドワイドセールス/マーケティング最高責任者、アンリ・リチャード氏が、AMDの2006年の状況を振り返るとともに、将来に向けての展望を語った。

 リチャード氏によれば、企業向けのカテゴリにおいて、2006年は大きな成長を遂げたとのことで、2007年もその傾向が続き、「企業向けとコンシューマ向けとの比率が、業界平均と同じ比率になると考えている」という。また、これまでの同社製品ではAthlon 64が強かっただけに、デスクトップ向けの比率が偏っていたが、サーバー向けのOpteron、モバイル向けのTurionが伸長している状況から、デスクトップ、モバイル、サーバーの各カテゴリ向けの比率も業界平均と同じようになってきたという。

 一方で、「65億ドルの大きな市場規模があり、大きな利益を上げることができる。トッププライオリティがサーバー市場であることは変わらない」ともリチャード氏は述べる。その中でも、Opteronはこれまで、特に2Wayサーバーの分野で大きな存在感を示していたが、今後は「現状でフォーカスしきれておらず、ボリュームの大きな1Wayの分野を重視する」とした。

 また、企業におけるクライアントPCの分野も引き続き重視する。リチャード氏が、「2005年以来、着実に前進してきた」と評したこの市場では、登場したばかりのWindows Vistaがけん引役になるだろうという期待を表明。「安定性とセキュリティという特徴があるWindows Vistaは、XPよりも速く広く普及すると期待している。Vistaの参入という機会をとらえられると考えている」と述べた。

 コンシューマ分野では、「ATIとAMDの双方が強い分野であり、イノベーションをさらに導入できる」としたほか、モバイル分野でも、ATIとTurionの両社の力を合わせて、さらなる飛躍が期待できるとしている。

 今後の展開については、「唯一、AMDだけが、統合化されたプラットフォームの中でCPU、GPU、チップセットを提供できる」とする。その成果として、GPUをストリーミング処理に利用する「Stream Processor」、GPUを統合したCPUの「Fusion」などをリリースしていく予定で、サーバー向けでは、8コアの次世代CPUを、2009年にリリースすると説明していた。

 なおリチャード氏は、マルチコア化の流れについて、「これまでコンピューティングは直線的に発展してきたが、大きな変化が訪れる。コアの数を増やしていくコア戦争は永遠に続かず、特定の用途に合わせた専用のコアが登場すると考えている」との考え方を示した。今後は、CPUそのものに特定用途向けのアクセラレータを統合するほか、CPUソケット内やチップセットなどにもアクセラレータを搭載していく、「Accelerated Computing」という新たな構想を進めていく。



URL
  日本AMD株式会社
  http://www.amd.com/jp-ja/


( 石井 一志 )
2006/12/20 17:14

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.