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マイクロソフト、Windows Vistaのセキュリティ機能について説明

パートナー5社のVista対応への取り組みも発表

マイクロソフト Windows本部本部長のジェイ・ジェイミソン氏
 マイクロソフト株式会社は12月21日、Windows Vistaのセキュリティ関連機能について説明するラウンドテーブルをプレス向けに開催した。このラウンドテーブルでは、Windows Vistaのセキュリティ関連機能にフォーカスし、セキュリティ市場の現状と、それに対応するセキュリティ機能強化のポイント、さらに同時発売されるセキュリティソフト「Windows Live OneCare」についての紹介が行われた。また、セキュリティ関連のパートナー各社もラウンドテーブルに参加し、それぞれWindows Vista対応への取り組みについて発表した。

 ラウンドテーブルに参加したパートナーは、ソースネクスト、トレンドマイクロ、日本エフ・セキュア、日本CA、マカフィーの5社。マイクロソフト Windows本部本部長のジェイ・ジェイミソン氏は、「多くのパートナーにこのラウンドテーブルに参加してもらえたことは非常にうれしいことだ。現在、コンシューマ、ビジネスユーザーともに、コンピュータのセキュリティ問題は大きな不安材料になっている。その不安を解消するためには、マイクロソフトだけでなく業界全体のサポートが必要であると感じている。Windows Vistaの投入を前に、マイクロソフトとパートナー各社が一丸となってセキュリティ対策に取り組んでいく姿勢を明確にし、業界全体としてのメッセージを発信することで、今後もPCやソフトウェアを安全に利用できることを日本市場のユーザーに理解してもらいたい」とラウンドテーブルの狙いを述べた。


マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部セキュリティ戦略グループ シニアマーケティングエグゼクティブの瀬川正博氏

マイクロソフトのセキュリティへの取り組み
 ラウンドテーブルでは、まずマイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部セキュリティ戦略グループ シニアマーケティングエグゼクティブの瀬川正博氏が、セキュリティ市場の現状について、「ユーザーを取り巻くセキュリティリスクは多様化しつつあり、最近では、単なる売名・技術誇示ではなく、ボットネットやルートキット、フィッシング、スパイウェアなどによる、金銭や個人情報の取得を目的としたスピア攻撃が増加している」と指摘。

 これに対して同社では、マルウェアに感染する可能性を大幅に削減する「Windows XP Service Pack 2」を2億8500万本配布し、またセキュリティ構成ウィザードを提供する「Windows Server 2003 Service Pack 1」を470万本以上ダウンロード提供している。さらに、スパイウェアを検知・駆除するツール「Windows Defender ベータ2」はすでに1000万本以上のダウンロードがあり、悪意のあるソフトウェアを削除する「Windows Malicious Software Removal Tool」では、感染が流行しているマルウェアを重点的に駆除するなどの成果を上げているという。

 こうした取り組みをベースに、Windows Vistaの開発に当たっては、「製品に存在する可能性のある脆弱性を削減するための『セキュリティ開発ライフサイクル』を設定し、これに則って初めてゼロからOSの開発を行った。これにより、製品出荷後の緊急または重要なセキュリティ情報の提供を大幅に減少できる」(瀬川氏)と説明した。

 Windows Vistaのセキュリティ機能の強化ポイントについてジェイミソン氏は、「高度なセキュリティ技術をフルに活用しつつ、その機能をユーザーがいかに簡単に使用できるかという点を重視した」と述べるとともに、コンシューマユーザーに対しては「自分の安全」「家族や子供の安全」「安全性の継続」、ビジネスユーザーに対して「自分の安全」「コンプライアンスへの対応」「データ保管の安全性」というセキュリティの課題を挙げ、それぞれに対応するWindows Vistaのセキュリティ機能を紹介した。


Windows Vistaのビジネス向けセキュリティ機能「ユーザーアクセス制御」

Windows Live OneCaceの特徴と機能
 具体的には、コンシューマユーザーの「自分の安全」に対しては、スパイウェアを防御するWindows Defender、PCのセキュリティ環境を評価する「Windowsセキュリティセンター」、フィッシングサイトへのアクセスをブロックする「フィッシングフィルタ」を提供。「家族や子供の安全」については、保護者によるさまざまな制限機能を用意。「安全性の継続」としては、データを自動バックアップする機能と復元センターを提供する。

 一方、ビジネスユーザーの「自分の安全」については、ユーザーの利用範囲をコントロールできる「ユーザーアクセス制御(UAC)」機能を提供。これにより、マルウェアに感染した場合のリスクを大幅に低減でき、システム全体に与えるダメージを厳しく制限することが可能となる。「コンプライアンスへの対応」では、日本の各企業の環境にあわせた「ローカルセキュリティポリシー」機能を提供。「データ保管の安全性」としては、エンタープライズ製品にデータを暗号化する「BitLocker」機能を用意している。

 また、マイクロソフトでは、Windows Vistaと同時にセキュリティツール「Windows Live OneCare」を発売する予定で、マイクロソフト オンラインサービス事業部プロダクトマネージメントグループコミュニケーションサービスチーム プロダクトマネージャーの石井恵子氏は、「このツールは、ウイルス対策をしながらPCメンテナンスにも対応する、オールインワンでPCをケアできるソフトウェア。これにより、ウイルス、スパイウェア、マルウェアの攻撃からPCを守るとともに、デフラグや不要なファイルの削除、バックアップなどを自動に行うことが可能となり、PCセキュリティ初心者層を強力にサポートする」と説明した。

 主な機能としては、プロテクション(ウイルス対策、双方向ファイアウォール、スパイウェア・マルウェア対策、自動更新など)、パフォーマンス(PCチューンアップ、PCクリーンアップ)、バックアップ/復元、ヘルプ&サポートの各機能を備え、家族でも便利に活用できるよう、1ライセンスで3台までのPCにインストールできるのも特徴となっている。


ラウンドテーブルにはパートナー各社の担当者も駆け付けた
 さらに、ラウンドテーブルでは、パートナー各社からセキュリティ対策の現状とWindows Vista対応への取り組みについて発表が行われた。

 ソースネクストは、今年7月6日に初期費用のみで利用できるセキュリティソフト「ウイルスセキュリティZERO」を発売しているが、その発売時からWindows Vistaへの対応を保証。すでに12月11日から、Windows Vistaに対応した新エンジンへの無料アップデートを開始しており、Windows Vistaとウイルスセキュリティのセキュリティ機能によって「二重の安心」を提供していく。

 トレンドマイクロは、今年5月にいち早くグローバルでWindows Vista対応プログラムを提供。12月7日からは、「ウイルスバスター2007」のWindows Vista対応ベータ版公開テストを実施している。製品版はWindows Vistaと同時期のリリースを予定しており、大規模なセールスプロモーションを展開する計画。ウイルスバスター2007により、Windows Vistaのセキュリティ機能を補完していく考えである。

 日本エフ・セキュアは、今年4月にコンシューマ向けの統合セキュリティ製品「F-Secureインターネットセキュリティ」を発売しており、Windows Vistaについてもコンシューマ製品から随時対応していく予定。対応製品のリリースは2007年2月を予定しており、現在はWindows Vista Bata/RC1ユーザー向けにアンチウイルスのベータ版を提供しているという。

 日本CAは、今年6月8日にWindows Vista Bata版対応アンチウイルスの無償提供を開始、11月30日にWindows Vista対応のアンチウイルス、アンチスパイウェアの提供を正式発表するなど、他社に先駆けてWindows Vistaへの取り組みを行ってきた。そして、12月12日には、同社のWindows Vista対応に関する最新情報を掲載する「Windows Vistaアップデータセンター」を開設。「CAインターネットセキュリティスイート」など同社セキュリティ製品のWindows Vistaへの対応が完了しだい、アップデートプログラムをダウンロードできる環境を整えている。

 マカフィーでは、2007年版のセキュリティ製品として「マカフィートータルプロテクション 2007」、「マカフィーインターネットセキュリティ 2007」などをラインアップしているが、これら2007年版のユーザーについては、Windows Vistaの発売前に対応版に全自動更新していくという。また、Windows Vistaの販売開始にあわせて対応パッケージ製品を発売するほか、オンライン版、ISP版についても同時期に対応版を提供開始する予定。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/


( 唐沢 正和 )
2006/12/21 20:36

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