テラステクノロジーは、2000年6月に韓国で創立されたメール関連製品の専業ベンダだ。30名ほどの社員のうち、24名が技術系という技術オリエンテッドな会社で、韓国の同業界では高いシェアを誇っているという。今回は、2006年に本格的に日本市場へ参入した同社のオ・ジンソンCEOと、キム・ヨンジュン日本支店長に話を聞いた。
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オ・ジンソンCEO(左)とキム・ヨンジュン支店長(右)
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―まず、テラステクノロジーについて教えてください。
オCEO
テラステクノロジーは2000年に設立され、メッセージング専門企業としてその関連技術を開発してきた。特に、メッセージングに関連したセキュリティ問題に興味を持って開発に取り組んでいる。事業も好調で、昨年と比べて売り上げは50%成長した。今年は3億5000万円規模になるだろう。
キム日本支店長
韓国では、メールサーバーソフトや迷惑メール対策ソフトを中心に事業を進めている。迷惑メール対策製品は、韓国のISP市場で8~9割のシェアを持っており、現代自動車やLG電子などの大手企業も当社の顧客。韓国と日本で6000万メールボックス、80億通/月のメールを処理している状況で、MTAの安定性や処理能力は世界で一番優れていると自負している。
―なぜ日本へ進出を始めたのですか?
オCEO
当社は、韓国で迷惑メールに対する解決策を提案し、高い評価を得てきた。その迷惑メールは米国、中国、韓国で問題になっていたが、日本でも1~2年前から問題になってきている。そこで、日本でも市場を開拓できると考え、今年6月に日本支社を設立して、本格的に進出を始めた。韓国語はもともとダブルバイトであり、米国製品と比べて、日本に対するローカライズがきちんとできていると自信を持っている。
キム日本支店長
迷惑メールは最初は英語から始まったが、今では中国語、韓国語も多くなっているし、日本語のメールも増えてきている。韓国の一般企業では、メールに占める迷惑メールの率が80%を超えている状況。迷惑メールの処理には多大なコストがかかるし、従業員に与えるストレスまで考慮すると、なんらかの対策が必要になるだろう。日本では現在50~60%だが、次第に韓国のそれに近づくと考えており、対策製品が受け入れられる下地はできている。市場もこれから大きくなっていくのではないか。
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SPAM WATCHER Appliance(10月11日の製品発表会より)
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―製品の特徴を教えてください。
キム日本支店長
迷惑メール対策製品の「SPAM WATCHER」は、IPフィルタやコンテンツフィルタ、ウイルスフィルタなど10種類以上の迷惑メールフィルタを備えており、ほとんどの迷惑メールを遮断できる。さらに言語に関係なく遮断できる米ComtouchのRPDフィルタを搭載し、新種の迷惑メールや、他社の製品では検出しにくいとされているイメージスパム(画像を利用した迷惑メール)も検出可能だ。
検出した迷惑メールは、フィルタセンタと呼ばれる個人領域に隔離されるため、誤検知があっても簡単に復帰できる。また、迷惑メールのフィルタだけでなく、メールサーバーをDoS攻撃などから保護する機能や、メールからの内部情報漏えいを防止する機能、Dr.WEBのウイルス対策機能なども備えているし、OSにもセキュリティ対策を施している。
他社との最大の差別化ポイントは、プロキシとしてだけでなく、ブリッジとしても設置できる点。MXレコードを書き換えずに設置できるし、メールサーバーをインターネット側に露出させずに済むので、ポートスキャンやSMTP攻撃からサーバーを保護できるメリットもある。万一SPAM WATCHERがダウンしても、製品の冗長化やバイパスカードによって、メールをそのまま利用し続けることも可能になっている。
なお日本では、サポート面などを考え、ハードとソフトを一体化したアプライアンス製品として提供している。専門知識がなくても、簡単に設置可能だし、各個人に迷惑メールの処理をフィルタに利用するデータベースやファームウェアの自動アップデートにも対応し、手離れがよい製品になっている。
―どの領域を中心にビジネスを進めるのでしょうか?
キム日本支店長
ISP向けの市場は限られているので、日本国内では、一般企業向けのアプライアンス販売に力を入れる。新製品となる最上位の「SPAM WATCHER Appliance モデル500」では、最大500万通/日のメール処理が可能で、中小企業から大企業までを視野に入れられるようになった。2007年度は500台以上を販売したい。
―今後の事業展開を教えてください。
キム日本支店長
SPAM WATCHER Applianceでは、運用面の改善を視野に入れている。当社は間接販売モデルを採用しているので、いかに簡単に導入、サポートできるかが大事だ。また、ニーズのある情報漏えい対策機能の強化も考えている。
4月には、日本市場を特にターゲットにしたメールアーカイブ製品を投入する。Exchange ServerやLotus Notesとの連携機能、日本版SOX法で必要とされる機能も、おいおい盛り込んでいく予定だ。また、メールサーバー製品も日本で販売したいと考えているが、当社は技術オリエンテッドな企業で、営業だけではやっていけない。ゆくゆくは日本でも開発をしていきたい。
オCEO
2006年はパートナーを開拓するのに力を注いだ。本格的に売り上げにつながるのは2007年からだろう。今後必要になってくるアーカイブ製品の販売にも力を入れるし、進化する迷惑メールに対応するために、継続的に新しい技術を開発しながら、日本の顧客に応えていきたい。日本に根を下ろして、長く活動したいと考えている。
■ URL
株式会社テラステクノロジー
http://www.terracetech.com/jp/
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( 石井 一志 )
2006/12/26 09:20
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