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松下ネットワークオペレーションズ、ライブオフィスを公開

セキュリティソリューションを軸に2010年に150億円目指す

鈴江啓宏社長

MNOが得意とする小型のPoEスイッチ
 松下ネットワークオペレーションズ株式会社(以下、MNO)は1月17日、同社製品および松下グループのソリューション製品による導入、運用環境をデモンストレーションする「ライブオフィス」を、報道関係者に公開した。

 東京・田町の同社オフィスを、そのまま公開するもので、実際のセキュリティソリューションを確認できる場として、これまでに延べ400社1200人が訪れている。

 同社鈴江啓宏社長は、「もともと当社は、米Ungermann-Bassのネットワーク機器製造合弁会社の松下ネットワンとしてスタートしたが、96年12月に、松下ネットワークオペレーションズとして再スタート。メーカーからソリューション会社へと転換した。それからちょうど10周年を迎え、従来のワイヤリングなどを中心としたビジネスから、セキュリティソリューション事業の拡大に乗り出している。給電を可能とするPoEスイッチをはじめとするMNOの独自製品群、松下電器産業の監視カメラや虹彩認証といった映像ソリューション、松下電工の入退室管理ソリューションなどといった松下グループの製品を組み合わせたコラボレーションを強みとしている。新築オフィスでのセキュリティソリューションの導入だけでなく、既存オフィスへのソリューション提案を行うSRS(セキュリティ・リニューアル・ソリューション)、各種IP対応機器を活用した利便性の高いIPソリューション事業、当社が開発したネットワーク関連全製品でRoHS対応したのをはじめとする環境配慮型のECOソリューション製品の投入を特徴に、セキュリティソリューション事業を拡大していく」としている。


V10製品を9月までに5製品、年内に10製品を投入する
 同社では、2007年度に発売する戦略製品を、創立10周年を記念した「V10商品」と位置づけ、PoE、小型化、高速化といった同社ならではの特徴を生かしていく考えだという。

 2月21日には、その第1弾製品となる小型PoE給電機能付きスイッチを投入する予定であるほか、今年9月までの間に5製品、年内には10製品を投入する考えだという。

 また、2010年度中期経営計画の目標として、売上高150億円、経常利益率6%を目指す計画を明らかにした。

 2006年度は、90億円の売上高を見込んでおり、売上構成比は、MNOインテグレーションが28%、セキュリティインテグレーションが22%、ワイヤリング/ネットワークインテグレーションが50%となっているが、今後は、MNOインテグレーションおよびセキュリティインテグレーションの構成比をさらに高めていく考えだ。


V10製品の第1弾となるコンパクトPoE給電機能搭載スイッチ「Switch-M5ePWR」を持つ鈴江社長 2010年には150億円の事業規模を目指す

MNOが提案するセキュリティソリューションにおけるコラボレーション戦略
 同社では、セキュリティソリューションのレベルを5段階に分けて提案している。

 レベル1は、エントランスの警備員が認めた人が通行できる範囲で、エレベータホールなどがあたる。レベル2は、受付や来客用のミーティングルームなど社外の人が立ち入るエリアの管理。レベル3は、社員の執務エリアなどのセキュリティレベルであり、このレベルから、外部からの侵入を防ぐといった、各種セキュリティソリューションが求められることになる。レベル4では、社員でも特定の社員のみが出入りできるエリアの管理。ダブルロック入退室管理や、映像を活用したソリューションなどが含まれる。そして、レベル5は、限られた人だけが入退室するエリアであり、サーバールームなど社内でも最も重要な場所に施されるセキュリティ。虹彩認証などの厳しいセキュリティレベルが設定されている。

 また、同社では、こうしたレベルごとのセキュリティソリューションを提案することで、オフィスそのものを変えるという実証も行っている。

 実際、同社のオフィスでは、情報漏えい対策の一環としてペーパーレス化に取り組んでいる。具体的には、複合機では、ICカードの個人認証による文書出力を可能としており、FAXが届くと、社員ごとにデータが振り分けられ、社員個人のPCからFAXデータをみることができる。その中から必要なものだけを複合機から印字する仕組みだが、そのためには、ICカードで個人認証することで情報漏えいを防ぐ。また、データで管理していることから、FAXで届いたものが、情報が印字された紙として複合機に放置されないようにしており、ここでも情報漏えいしないようにしている。

 「複合機だけの提案では、単なるリプレースの提案しかできないが、MNOが提供するソリューションと組み合わせることで、セキュリティソリューションという複合機製品以上の付加価値が提供できるようになる。そこにビジネスチャンスがある。また、紙の削減も可能となり、当社の実績では、約3割の削減に成功した」(鈴江社長)という。

 さらに、営業部門にとどまらず、管理部門までをフリーアドレス化することで、オフィススペースの効率化を図ることができ、「脇机を無くした分、簡単に会議ができるスペースが新たに用意でき、短時間でのコミュニケーションや、迅速な意志決定が可能になった。生産性は3割向上している」とした。

 こうしたライブオフィスを通じた提案により、これまで250件の案件を成約。さらに、現在、進行している商談は約90件に達しているという。

 「実際にライブオフィスを見ていただき、お客様の要望を聞き、もし実現されていなかった場合には、それを次に来社されるまでに改善をしておく。そうした改善による新たなソリューション提供も、ライブオフィスによる効果だといえる」(鈴江社長)とした。


MNOのライブオフィスの概要 オフィス内の入退室管理のほか、すべてのセキュリティはICカードで管理される

 では、ライブオフィスの様子を、写真を通じて見てみよう。


ライブオフィス-セキュリティレベル3


IPネットワーク対応の監視カメラ。IPカメラ映像監視セキュリティソリューションとの組み合わせで、カードの不正使用や、不審者の入退室を監視する アナログ的入退室監視。ICカードで認証しないままオフィスエリアに入ると、「これより立入禁止です」と音声で警告する すべての対策を機器に頼らずに、手書きでの管理も大切だと語る。MNOでは最終退室者が手書きで状況を確認することをルール化している

セキュリティ対応複合機。ICカードによる個人認証での文書出力が可能 MNOが戦略製品と位置づけるPoE対応ユーザー認証スイッチングハブ。島HUBと呼ばれ、日本のオフィス環境にありがちな島ごとのPC認証を、容易に、低コストに行える 日本語による管理画面は、日本製ならではの特徴といえる

ライブオフィス-セキュリティレベル4


多拠点入退室管理システム。離れた拠点の入退室も、一カ所で管理が可能になる 不正PC利用セキュリティ。手前のICチップを所持していれば、PCから3メートル離れると自動的にPCが操作できなくなる ロックされたPC。ショールームや百貨店など、来店客に呼ばれてとっさに席を外すことが多い職種で人気のソリューション

不正PC検知、通報セキュリティ「IntraPOLICE」。これ1台で1000台規模のネットワークへの不正アクセスを監視する IntraPOLICEでは、設定されていないPCがネットに接続すると管理者にアラームを出す。○が不正に接続されたPCの情報 不正なPCにもアラームを出す一方で、周りの人にも不正なPCが接続されたことを知らせるために赤い表示が点灯する

商品管理ルームはレベル4で管理 ICカードに指紋認証を組み合わせた管理のほか、天井部に監視カメラを設置している

共連れ入室防止センサー。ICカード1枚で複数人の入退室を制限する ドアの前の白いエリアに、2人以上が入るとドアが開かない

ライブオフィス-セキュリティレベル5


セキュリティレベルが最大となる部屋の入退室には虹彩認証を採用 映像監視システムでは、最大16台の監視カメラの映像を録画できる ライブオフィスではレベル5のサーバールームも公開している

既存オフィス内へセキュリティソリューションを導入すると、雑然としたオフィスの整理されるという 製品の開発、検証などはすべてMNOの社内で行っている


URL
  松下ネットワークオペレーションズ株式会社
  http://www.mno.co.jp/


( 大河原 克行 )
2007/01/17 19:00

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