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「2007年度はミッドレンジ市場で大きな伸びを期待」-米HP・NAS担当マネジャ


 米Hewlett-Packard(以下、HP)の事業領域の中でも、ストレージは大きな位置を占める事業の1つだ。同社では、ローエンドのディスクアレイから、ハイエンドのSANストレージ、テープ装置、アーカイブ製品などまで、多くの製品をラインアップしており、日々新製品もリリースされている。今回はそのストレージ事業の中でNAS関連製品を担当する、ストレージ・ワークス NAS ディビジョンのワールドワイドマーケティングマネジャ、デビー・ヤング氏と、ネットワークアタッチドストレージ TSGストレージワークスのリサーチ&デベロップメントマネジャ、ピート・ブレイ氏に話を聞いた。


米HPのストレージ・ワークス NAS ディビジョン、ワールドワイドマーケティングマネジャのデビー・ヤング氏
―まずNAS事業を展開する上で、注力している分野を教えてください。

ヤング氏
 ストレージ市場全体も伸びていますが、当社ではその中でも、成長力の高い市場に注力しています。NAS/SANの分野で、今年度大きな成長をさせようと考えているのが、ミッドレンジNAS、クラスタゲートウェイといった分野です。また、100%を超える成長性を持つといわれている、ローエンドSANの領域も非常に期待できると考えています。特にこの市場はリーダーがおらず、小さなプレイヤーが乱立している状況で、当社をはじめとする主要ベンダにとって大きなチャンスがあるでしょう。当社のシェアはまだ小さいですが、大きく成長できると期待しているところです。


―そのためにはどういった製品が鍵を握っているのでしょうか?

ヤング氏
 従来からある(x86サーバーベースのNAS)「ProLiant Storage Server」も重要ですが、NASゲートウェイの「HP StorageWorks Enterprise File Services Clustered Gateway」(EFS Clustered Gateway)に力を入れています。一般的なNASでは、パフォーマンス上のボトルネックになったり、単一障害点になるといったアーキテクチャ上の問題点があります。また、複数のファイルサーバーが存在すると負荷が不均衡になったり、ストレージ容量が十分に使われていなかったり、といった問題が生じるかもしれません。

 ところがクラスタを構成するEFS Clustered Gatewayを利用すると、1カ所が落ちても(クラスタを構成する)別のゲートウェイにアクセスできるため単一障害点を回避できますし、ボトルネックの解消にもつながります。ハードウェアはできるだけ標準に準拠するように気を配っていますし、モジュラー構造になっているため、ユーザーにコストメリットを提供できると考えています。

 このソリューションは例えば、インドのアニメーションスタジオにも導入されています。そこでは、12台のEFS Clustered Gatewayと3台のミッドレンジストレージ「EVA8000」を導入した結果、アニメーションの開発サイクル短縮を実現しました。


中小企業向けのオールインワンストレージ「HP StorageWorks All-in-One Storage System」。米国では4モデル、国内では2モデルが発売されている
―一方で、中小企業向けに対しては、どういった製品を展開するのでしょうか?

ヤング氏
 中小企業では、DASの利用が多く、非常に複雑な環境になっており、管理に非常に手間がかかっています。またストレージの管理にあたっては、バーチャルアレイ、LAN、RAIDなどの専門性が求められますが、ふつう中小企業には専任の管理者はおらず、教育などのためのコストもありません。ベンダには、うまく管理を行えるような支援が求められています。

 そこで当社では、「HP StorageWorks All-in-One Storage System」(AiO)を開発しました。これは1つの箱で多くの機能が利用できる製品で、価格的にもシンプルです。何よりも重要なのは、使い勝手が良いことで、アプリケーションサーバーに慣れている管理者であれば、これまでと同じインターフェイスで使えます。ストレージの動作はインターフェイスの裏側に隠ぺいされますので、技術的に高度なことをしていても、ユーザーの使い勝手に影響しません。また、遠隔地にオフィスのある企業にもメリットがあります。管理が容易であるということで、専門家が必要ないため、この製品を数百台導入して遠隔地の対応をしようという話もいただいています。

 加えて、パートナーにとってもメリットのある製品です。提案に時間をかける必要がなく、迅速に販売できるためか、当社の期待を上回る販売状況で推移しています。今後については、パートナーや顧客からのフィードバックをいただき、将来的な状況を検討することにしています。例えば、VMwareとともに利用したいとか、セキュリティ機能をより統合できないか、といった、すべてのニーズを考慮することになるでしょう。


ブレイ氏
 AiOは管理性に優れているので、幅広い市場に対応できないかを模索しているところで、中小規模市場だけでなく、ハイエンド市場にも対応できないかどうかを考えています。その際には、高可用性や冗長性、レプリケーション性能などが鍵となるでしょう。


―ここ最近、Microsoftもストレージに関する取り組みを強化していますが、同社との関係はいかがですか。

ヤング氏
 当社としては、伝統的にローエンド、特にWindows版のストレージで高い成功を収めていまして、Microsoftとはいい関係を保っていますし、市場も両社のパートナーシップを大きく信頼しています。AiOなどで採用しているWindows Storage Server 2003の機能についても、顧客からのニーズに従ってMicrosoftにリクエストをしており、いくつか採用されたものがあります。(Windowsという)業界基準を採用できるのは、コスト面などで、顧客にとってメリットのあることでしょう。



URL
  米Hewlett-Packard
  http://www.hp.com/
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/

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( 石井 一志 )
2007/01/26 14:04

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