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日本オラクル、2007年はSaaSに注力-次世代ビジネスアプリケーションも登場へ


日本オラクル 代表取締役社長の新宅正明氏

日本オラクルの執行役員 アプリケーションマーケティング本部、藤本寛本部長
 日本オラクル株式会社は1月29日、2007年の事業戦略に関する説明会を開催。代表取締役社長、新宅正明氏は、「ソフトウェアの新しいビジネスモデルである“サービス化”に注力する。オンデマンドサービスであるSiebelにはライバルもいるので、徹底的に力を入れていく」と言明した。

 新宅氏に続いて登壇した、Oracleの日本アプリケーションビジネス担上級副社長、ディック・ウォルベン氏も、「今、パッケージのアプリケーションビジネスは転換期を迎えている」と話し、SaaSの重要性を強調。日本オラクルの執行役員 アプリケーションマーケティング本部、藤本寛本部長も、「他社と比べて先をいけるようなオンデマンドサービスを提供する。Siebelではパッケージを上回る速度でバージョンアップしており、今年も続々と機能強化していく」と引き続き注力するポイントに挙げた。

 またウォルベン氏は、人材育成の重要さも訴える。同氏によれば、パートナーや、研修サービス部門のオラクルユニバーシティとの連携により、認定技術者を1年で1000名養成する「Project 1000」を遂行中とのこと。最終的には、2年で2500名まで育成したいとした。

 製品面では、多数の買収によってさまざまな製品がポートフォリオに追加され、ラインアップが整いつつある状態。しかし、個々の製品をそのまま顧客のところへ持って行っても、すぐに力を発揮できるわけでなはない。そこで日本オラクルでは、ソフト間のインテグレーションに投資をし、「事前に統合された構成を提供することで、顧客の工数、コスト、リスクを低減したい」(藤本氏)とした。あわせて、日本の企業に多い手組みのシステムとのインテグレーションに対しても、自社製品が持つ“オープン性”という特徴を生かして取り組み、売り上げを伸ばしていきたいという考えを示している。

 なお、Oracleでは2月にビジネスアプリケーションの新版をワールドワイドで一斉にリリースするほか、2007年後半には次世代ビジネスアプリケーションである「Oracle Fusion Application」の一部コンポーネントも投入する予定。藤本氏は、「昨年、各ビジネスアプリケーションをすべて継続的にバージョンアップする顧客指向の方針、『Application Unlimited』を示したが、Oracleにそれだけの開発力・資金力があるのか疑問視する声もあった。このローンチは、Oracleの力を見ていただける絶好の機会だ」と自信を示す。

 また新宅社長は、米Oracleが10月に発表したRed Hat Linuxのサポート契約「Unbreakable Linux」についても、「春からプロモーションに力を入れていく」とコメント。「OSをサービスの範囲に加えて、堅牢なサポート体制を提供していく」と述べる。日本オラクルでは現在、Unbreakable Linuxについては具体的な展開の施策を検討している段階とのことで、関連企業であるミラクル・リナックスや、Linuxの保守サービスを自社サービスの一部として提供しているハードウェアベンダとの関係を考慮しながら、事業計画を慎重に検討していくとしている。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/

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( 石井 一志 )
2007/01/29 18:08

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