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日立、第3四半期決算は情報通信システムが牽引

金融、製造業向けサービス事業が拡大

三好崇司執行役副社長
 株式会社日立製作所は2月5日、2006年度第3四半期連結決算を発表した。

 売上高は前年同期比10%増の2兆4883億円、営業利益は57%増の615億円、税引前利益は5%増の626億円、当期純利益は77%減の12億円となった。

 ソフト/サービスおよびストレージ部門が好調だった情報通信システム部門や、クラリオン買収効果がある自動車機器や日立建機などが伸張した電力・産業部門が増収を牽引したという。

 日立製作所・三好崇司執行役副社長は、「第3四半期は公表値よりも売上高で7%程度、営業利益で200億円程度上ぶれした。情報通信分野において第4四半期の需要が前倒しになったほか、都市開発、産業機器などが好調に推移したのが要因。だが、薄型テレビ、ストレージの価格下落が激しいほか、レアメタル素材を中心に原材料価格の高騰などの要素があり、通期見通しについてはそのまま据え置いた」とした。


 情報通信システムは、売上高が前年同期比14%増の5827億円、営業利益は前年の5億円から大幅に伸張して64億円。金融分野および産業一般分野での受注が堅調だったという。

 ソフト/サービスでは、売上高が18%増の2447億円。そのうち、ソフトウェアが6%増の403億円、サービスが20%増の2044億円。金融機関向けのサービス事業が増加。ソフトウェア事業の増益もプラス要因となった。

 ハードウェアは、11%増の3380億円。そのうち、ストレージが18%増の2092億円、サーバーが3%増の194億円、PCが41%減の128億円、通信ネットワークが22%増の312億円となった。売り上げではHDDや通信機器、ATMの伸張がプラス要因だが、ハードディスクドライブの損益は依然として赤字のまま。前年同期の70億円の赤字から、144億円の赤字へと赤字幅を拡大した。「決算期の関係から第4四半期決算に盛り込まれる10~12月のHDD事業は、価格下落の影響が大きく、計画よりも下ぶれしており、引き続き厳しい内容になる。原価低減への取り組みとともに、2007年にいかに強い商品を計画通りに出していくかが今後の課題」とした。

 なお、SAN/NASストレージソリューション事業の売上高は前年同期比4%増の930億円となった。


 電子デバイスは、売上高が前年同期比3%増の3059億円、営業利益は136%増の153億円。

 ディスプレイが、テレビ用大型液晶事業をIPSアルファテクノロジへ移管した影響により、5%減の471億円と減収になったが、同事業が黒字転換を果たしたことで増益。また、日立ハイテクノロジーズの増収増益が貢献した。

 デジタルメディア・民生機器は、売上高が前年同期比3%増の3717億円、営業損失はマイナス190億円の赤字となった。前年同期に比べて赤字幅が132億円も拡大している。

 「薄型テレビは、数量では予定通りに行っており、当初計画の年間80万台はぜひやりたい。だが、年末において、欧米での価格下落が想定以上に進んだ影響を受けて、薄型テレビやDVDレコーダーの赤字幅が増加したことが赤字拡大の要因」とした。

 プラズマテレビの出荷台数は、47%増の25万台。液晶テレビの出荷台数は80%増の18万台となっている。

 「薄型テレビは、富士通日立プラズマディスプレイ(FHP)で、画面を明るくした新たなパネルの生産や、50インチ以上の大型商品を順次立ち上げていくといった取り組みを行っているほか、現在、好評であるHDD搭載モデルに加えて、iDVRを使った新たなものを投入していく考え。技術開発への取り組みを活発化する一方、原価低減への努力が必要であり、同業他社とも原価低減について一緒に取り組んでいくことなどの施策で、2007年度の黒字化を目指す」とした。


 また、FHPの宮崎四番館の建設計画については、「2007年度に三番館を立ち上げるとともに、二番館の効率化をあげて価格競争力に対応していくことを第1のプライオリティとしたい。四番館は、もう少し動向を見極めた上で計画をしていきたい」とした。

 なお、デジタルメディア・民生機器分野では、日立空調システムと日立ホーム・アンド・ライフ・ソリューションの合併により設立した日立アプライアンスにおいて白物家電が好調。空調・家電事業の合併効果も増収に貢献した。

 一方、電力・産業システムは、売上高が前年同期比12%増の6769億円、営業利益が114%増の277億円。高機能材料は売上高が前年同期比13%増の4685億円、営業利益が17%増の361億円。物流およびサービスは売上高が前年同期比4%増の3294億円、営業利益が191%増の32億円。金融サービスは、売上高が3%増の1304億円、営業利益が35%減の62億円となった。



URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  2006年度第3四半期 連結業績の概要
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2007/02/0205.html


( 大河原 克行 )
2007/02/06 00:00

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