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NEC、第3四半期決算でPC事業が黒字化

ITサービス/SIでは金融、流通、通信、官公庁需要が好調

的井保夫取締役執行役員専務
 日本電気株式会社(NEC)は2月6日、2006年度第3四半期連結決算を発表した。

 売上高は前年同期比7.1%減の1兆961億円、営業利益は46.6%増の350億円、経常利益は1.8%減の229億円、当期純利益は77.8%減の26億円となった。

 モバイル/パーソナルソリューション事業が、第3四半期には24億円の黒字となったことが貢献。キャリア向けネットワーク事業を中心にNGN関連の成長戦略が進展したこともプラス要素となった。だが、半導体事業が悪化していることで、「通期の業績目標達成に向けて、半導体事業のリスクを見極め、損益改善施策を検討する必要がある」(NECの的井保夫取締役執行役員専務)とした。なお、通期見通しについては修正していない。


第3四半期実績 モバイルターミナル事業の改善状況 半導体事業の状況

第3四半期セグメント別実績

IT/NWソリューション事業
 セグメント別では、IT/NWソリューションは、売上高が前年同期比4.9%増の6211億円、営業利益は3億円減の496億円。

 IT/NWソリューションのうち、ITサービス/SI分野の売上高は、前年同期比6.8%増の1733億円。営業利益は前年同期の80億円から150億円へと増益。

 ケータイクレジットの新サービス開始に伴う通信キャリア向けのサービスプラットフォームのほか、ATM受注の増加などによる金融分野での堅調ぶりや、コンビニエンスストアを中心とした流通業向けの投資が加速したほか、官公庁におけるシステム最適化や新システム構築案件などが好調の要因となった。

 ITプラットフォーム分野の売上高は、前年同期比12.7%減の1313億円、営業利益は前年同期の90億円から10億円へと減少した。前年に大規模なサーバー案件があった反動に加え、光ディスクドライブの減収が響いた。

 「ソフトウェアおよびオープンサーバーは堅調だが、厳しい価格下落が続いている。これを原価低減の効果によって、若干の黒字とした」という。

 ネットワークシステム分野は、売上高は前年同期比17.9%増の2572億円、営業利益は250億円強。MNP開始後も引き続き、国内通信キャリアの基地局への積極的な投資が続いており、これがプラスに影響したほか、ワイヤレスシステムの「パソリンク」がアジア・ロシアを中心に2けた成長。また、国内の企業向けネットワークの堅調な需要も貢献した。

 社会インフラ分野は、売上高が2.8%減の593億円となった。国内における地上デジタル放送設備への投資が一巡したことが影響した。

 なお、NGN関連では、「トランスポートやソフトウェアなどを中心に展開しており、年間1000億円の売り上げ計画に対して、すでに700億円の実績が積みあがっている」(的井取締役執行役員専務)としている。


モバイル/パーソナルソリューション事業
 モバイル/パーソナルソリューション事業は売上高が前年同期比33.5%減の2266億円、営業損益は前年の赤字から172億円改善し、24億円の黒字となった。

 モバイルターミナル分野が、売上高が前年同期比26.4%減の966億円。海外における2.5G事業を収束したことで損失が減少。また、国内の携帯電話端末の出荷が、MNP開始の影響や新機種の投入などによって第2四半期に比べて4割増となるといったプラス要素があった。

 的井取締役執行役員専務は、「上期に中国における事業構造改革費用で34億円を計上したが、こうした海外での収束を除く、通常オペレーションという点で見れば黒字化している。また、構造改革費用も当初の計画よりも少なくて済んだ。だが、前年同期に比べると携帯電話端末の国内出荷台数は3割程度落ちているという要素もある。第4四半期は端末の機種数が増加するわけではないことから、1機種でどれだけ売れるかが鍵になる。FOMAではトップレベルの連続待ち受け時間を実現しながら、11.4mmの世界最薄を実現したN703iμなど、競争力のある製品を投入していく。また、上期には携帯電話のプロモーションとデザインのための専門組織を設置しており、その成果にも期待したい」と話した。

 第3四半期の携帯電話の出荷台数は、前年同期比55%減の140万台となっている。

 PCおよびビッグローブ事業で構成されるパーソナルソリューション分野は、売上高が37.9%減の1300億円となったものの、営業利益では約20億円の黒字を確保した。減収には、欧州で個人向けPC事業を展開しているパッカードベルの売却が影響したほか、Vista発売前の買い控えの影響を受けて、国内PC事業が厳しい内容となったが、部材コストの見直しなど、原価低減および費用低減効果、品質向上によるサポートコストの削減効果などが黒字化につながった。

 「PC事業だけをとっても、第3四半期は若干の黒字。第4四半期も黒字を確保し、通期はブレイクイーブンにもっていきたい」(的井取締役執行役員専務)としている。

 1月30日に発売したVista搭載モデルも順調に推移しており、「調査会社の調べでは、2月第1週は、市場全体で前年同期比7%増となったが、NECは2けた増となっている。第3四半期のPC出荷実績は前年同期比15%減の58万台となったが、年間計画の275万台を達成するには、第4四半期は4%増の84万台を出荷することになる。Vista効果を期待したい」(同社)としている。

 的井取締役執行役員専務によると「国内PC事業だけを見れば、通期でも黒字化することになるだろう」としている。


エレクトロンデバイス事業
 エレクトロンデバイス事業は、売上高が前年同期比6.8%増の2222億円、営業損失は26億円改善したもののマイナス19億円の赤字となった。

 そのうち、半導体の売上高は前年同期比9.3%増の1779億円、電子部品その他は2.2%減の443億円。「NECエレクトロニクスにおいて、強い製品の不足、製造コストの高さなどを背景に業績回復が遅れている。同社において、製品開発力の強化、コスト競争力の強化などといったターンアウランド策を今月後半に発表する」という。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp./
  平成18年度第3四半期および9ヵ月通算連結決算概要
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0702/0601.html?id=top-new20070206


( 大河原 克行 )
2007/02/07 00:00

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