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日本オラクルが「Siebel CRM 8」を説明-顧客の思いを敏感に察知する変化対応型CRMへ


執行役員 アプリケーションマーケティング本部長の藤本寛氏

アプリケーションマーケティング本部 CRM&SMEビジネス推進部 ディレクタの塚越秀吉氏
 日本オラクル株式会社は2月16日、先日発表したCRM(Customer Relationship Management)製品の新版「Siebel CRM Release 8」の記者向け説明会を開催した。

「現状では、CRMはERP(Enterprise Resource Planning)市場のごく一部に過ぎない。ERPという大きな円の中に、CRMという小さな円が内包されたイメージだ。当社の目標は、CRMの円を拡大してやがてはERPより大きくすること」と語るのは、執行役員 アプリケーションマーケティング本部長の藤本寛氏。その言葉の裏には、「ITの価値を向上させるためには、ITが売り上げや利益に直結するという既成事実が必要。CRMはまさにそこへ直結するソリューションだ」(藤本氏)との思いがあるという。

 そこで、CRM市場のけん引を狙って投入された製品が今回のSiebel CRM 8。

 アプリケーションマーケティング本部 CRM&SMEビジネス推進部 ディレクタの塚越秀吉氏によれば、「一時、CRMは使えないとささやかれた時期があった。それは主に操作性の悪さが原因として挙げられる。操作性が悪いため、必要なデータ入力が省かれ、必要な情報が集約されず、必要なときに分析が行えない。ひいては、システムが使えない、使われないといった悪循環を招いてしまっているのだ」という。

 今回の新版では、そうした問題を取り払うため、ユーザビリティが大きく向上された。主な特徴は、取引先や担当者、個々の商談や見積もりといった個々のタスクを、トップ画面にタブ形式でまとめた「タスクベース・ユーザー・インターフェイス」や、操作を対話式に導く「操作ガイド機能」。

 操作ガイド機能に関しては、「例えば、新規の商談が発生した際、データ入力前に取引先の詳細情報を表示してくれる。これにより、取引先の企業情報の把握が可能。さらに、実際にデータを入力する際には、対話式に必要なデータの入力を求めてくれるので、それに従って入力すれば必要な情報を蓄積していける」(塚越氏)という。


取引先一覧画面-画面上部のタブで各画面の切り替えが可能 データ入力前に取引先の情報が表示。商談の履歴なども一元的に確認できる 現在の営業成績なども表示。営業活動の現状把握に役立つ

Wordとの連携。顧客情報などをSiebel CRM 8から直接引っ張ってくることが可能

SOAによるファンクションモジュールの一覧
 また、Office製品との連携も強化。Outlookと連携させて、同製品で管理する顧客向けに効率良くメール配信を行ったり、Excelとデータを共有するといったことが可能になる。そのほか、Wordと連携させれば顧客配布用の資料も簡単に作成が可能。「例えば、キャンペーン案内資料などを複数の顧客向けに作成する際、顧客情報をSiebel CRM 8から引っ張ってきて、直接Wordの文書に反映することが可能だ。その上、こうして資料を顧客に送付したという情報が、同製品上に蓄積されるので、いつ、どんなマーケティング活動を実行したかが、後からでも詳細に把握することができる」(塚越氏)という。さらにこれ以外にも、今回強化された350以上の機能をOffice製品に埋め込んで利用できるとのこと。

 そのほか、銀行、保険、通信、ライフサイエンスなど業界ごとに必要となる機能を細分化しSOAとして提供するなど、ビジネス適合性を強化。塚越氏は、「Webの発達により顧客の情報収集力が向上したことで、顧客と企業のコミュニケーションポイントは増加している。それに応じて、業務プロセスが変化する可能性も必然的に高まってくる。業務プロセスが変化した場合、これまでは個別にメンテナンスを行い、機能追加やUI変更などを行って対応してきた。企業のITコストのうち80%がメンテナンスにかかっているといわれているのはこうした訳だが、SOA対応によって、大幅なコスト削減が期待できる」と語る。

 日本オラクルでは、さまざまな機能が強化されたこのSiebel CRM 8によって、CRMの概念を根本的に覆していく意向のようだ。藤本氏は、「市場を大きくけん引するためには、今後CRMは単なる顧客管理から顧客戦略基盤へと変わっていかなくてはいけない。そのためには、ただ従来の業務を支援するだけの管理型CRMから、顧客のアクションを敏感に察知して、企業を取り巻く環境の変化に対応していけるCRMになっていく必要がある。そうすれば、企業に顧客がいる以上、CRMという考え方は永遠に消えたりはしないはずだ」と、その戦略の一端をのぞかせた。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/


( 川島 弘之 )
2007/02/16 18:48

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