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日本代表の大三川彰彦氏
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リージョナルトレンドラボの役割
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トレンドマイクロ株式会社は2月19日、2007年の事業戦略説明会を開催。代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏や日本代表の大三川彰彦氏が登壇し、同社の事業戦略を語った。
今回の戦略説明におけるもっとも大きなニュースは、日本特有の脅威に対応するための、「リージョナルトレンドラボ」開設に関すること。従来、トレンドマイクロのマルウェア解析は、フィリピンにある「TrendLabs」を中心として行われてきた。国内にも10名弱のスタッフを有する「トレンドラボ Japan」が設けられていたが、主業務はTrendLabsとの調整で、パターン(ウイルス定義)ファイルを独自に作成するような体制は整っていなかったという。
しかしここ数年は、世界中で大規模に流行するBlasterのようなワームは影を潜め、代わりに、個々の地域・組織などを狙った、いわゆるスピア型攻撃が広まっている。そこで、各地域のセキュリティニーズを拾い上げ、迅速に脅威に対応するために、リージョナルトレンドラボを開設することにしたという。同ラボでは、検体収集作業などの、日本特有のセキュリティ脅威に関する情報収集活動を行い、TrendLabsとも連携しながら日本のユーザーを迅速にサポートする体制を整える。
すでに、トレンドマイクロ新宿オフィス内にオペレーションセンターを開設する準備を進めており、5月からサービスを開始する予定。まずこの段階では、プレミアムサポート(Gold/Diamond)を契約しているユーザーに対して、正式パターンファイル作成前の緊急対応用「バンテージパターン」を配布できるようにする。さらに2008年上期には、日本独自の正式パターンファイル「リージョンパターン」の提供も開始する予定だ。
人員は現状に加えて、今年中にはまず5~10名程度を増員する計画だが、大三川氏は「エキスパートをどれだけ早く作るかが勝負」とした上で、「将来的には、日本発のウイルス対策のエキスパートも育成していきたい」と意気込みを示した。
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代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏
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一方チェンCEOは、近年のセキュリティ脅威の状況として「ワームの件数推移は横ばいだが、Web脅威の増加が著しい。これに対応するためには、複数のレイヤでの統合防御が必要だ」と話す。そして、「レピュテーション」「ファイルチェック&インラインスキャン」「ビヘイビア(振る舞い)分析」「アクセスリカバリー&コントロールスキャンクリーン」の4つを挙げ、「これらを1つに統合しなくてはいけない。ポイントソリューションは各ベンダが提供しているが、当社だけがすべてを提供できる」とした。
ただし、同社だけでセキュリティ市場のすべてをカバーすることは難しい。そのため、コアテクノロジーをコンポーネント化し、そのセキュリティ技術をパートナーへ積極的に提供していく姿勢も見せている。米Ciscoのセキュリティ製品「Cisco ASA 5500シリーズ」へのウイルス対策機能提供や、NECのInfoCageとの連携もその一環だ。
さらに、「マネジメントビジネスを手がけるパートナーとも一緒にやっていく」(大三川氏)との言葉通り、大塚商会、リコー、ソフトバンク、ネットワンシステムズといったSIer、販売パートナーとも積極的に連携。今後も、セキュリティサービスを広範に提供できる体制を整え、多様な形態でセキュリティをユーザーへ提供したい意向を示した。
■ URL
トレンドマイクロ株式会社
http://www.trendmicro.co.jp/
( 石井 一志 )
2007/02/19 17:13
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