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マイクロソフトが海賊版対策機能を強化-Windows XPの自動更新時にも適用


Windows本部の篠田尚久マネージャ
 マイクロソフト株式会社は2月20日、正規のWindowsライセンスを確認する施策「Windows Genuine Advantage Program」(以下、WGA)を拡張すると発表した。米国時間の2月20日より、Windows XPを対象に、同OSの自動更新機能を利用してライセンス確認プログラムを配信する。

 WGAは、ユーザーが正規のWindowsライセンスを利用しているかどうかを確認するための施策。国内では2005年3月から試験運用を、同年7月から正式運用を開始している。対象となるのは、Windows Vista/XP/2000の各OSで、Windows Vistaには正式機能として組み込まれた。Windows本部の篠田尚久マネージャによれば、「WGAは、開始以来、ワールドワイドで約5億台に適用されている」という。

 WGAでは、Windows Update、Microsoft Update、ダウンロードセンター(一部)を利用する際に認証が行われ、正規版と認められない場合には、これらの機能が利用できない。不正規版と判定されたユーザーに対しては、割引価格(場合によっては無償)で正規版を販売する救済策が用意されているほか、正規版ユーザーへの特典としては、LZH形式の圧縮ファイルをWindows XPで利用できるようにする追加機能なども提供されている。

 マイクロソフトではWGAを実施している理由として、「不正規版をつかまされたユーザーを保護する目的がある。中には、ウイルスやスパイウェアが最初から入っているものもあり、危険だ。また安く販売されている不正規版が、パートナーのビジネスを阻害していることへの対抗策」(篠田マネージャ)と説明する。もちろん、不正規版によるライセンス被害を最小限に抑えることも、大きな目的の1つだ。

 同社はWGAの開始当初、国内では不正規版そのものがほとんどないとの認識を示しており、不正規版の抑制ではなく、「ユーザーへ価値を提供することにより重きを置いている」(Windows製品本部のジェイ・ジェイミソン本部長)としていた。しかし、WGAによるライセンス確認を導入した結果、国内でも7%が認証に失敗しているとのこと。22%が失敗しているワールドワイドの実績と比べれば低いものの、篠田マネージャは「当社でも無視はできない数字だ」とコメントした。


自動更新でモジュールがインストールされると、WGA Notificationsのウィザードが立ち上がる。実行したくない場合は、これをキャンセルすればよい

ログオン後の警告ポップアップ。表示させない設定にすることも可能という
 今回の新施策である「Windows Genuine Advantege Notifications」(以下、WGA Notifications)は、このWGA認証を行うプログラムを、Windows XPの自動配信機能を利用して配布するというもの。すでに大半の主要国では開始されており、今回は同じタイミングで韓国、ロシアでも展開を開始する。

 もともとのWGAでは、自動配信機能のみを利用するユーザーに対して認証を求めていなかったが、今回より、そうしたユーザーに対しても認証を要求するようになる。すでにWGA認証済みのユーザーも対象となり、再度、WGA Notificationsによって認証作業を行う必要がある。

 認証の成功時には特に何も起こらず、引き続きMicrosoft Updateなどの各機能を利用できるのは、これまで同様。一方認証に失敗した場合には、正規のWindowsライセンス購入を促すダイアログやポップアップが現れるが、Windowsは利用し続けられる。今回は加えて、WGA NotificationsのプログラムをWindows XP SP1a以前の古いバージョンで実行すると、SP2の適用を促すポップアップが表示される仕組みも導入された。

 なお、配信されたWGA Notificationsのプログラムを実行するかどうかはユーザーに任されるため、必ずWGAを利用しなければいけないわけではないという。また企業ユーザーなどで、WSUS(Windows Server Update Services)を利用している環境では、WGA Notificationsを配信しないことも可能とのこと。

 もちろんいずれのケースでも、WGA認証後でないと使えなかった機能は利用できないが、これは従来と同じ。WGA認証を行わないユーザー、また認証に失敗した不正規版のユーザーに対しても、セキュリティ上の問題などから自動更新機能による更新プログラム配信は行われていたが、マイクロソフトでは、今回もこの方針は変わらないとしている。

 Windows VistaではWGA認証が正式機能として組み込まれており、アクティベーション時に認証が行われているため、WGA Notificationsの対象からは外されている。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2976

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( 石井 一志 )
2007/02/20 18:22

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