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インテル、クアッドコアで実現する“第2世代VT”に関する最新動向を説明


インテル、マーケティング本部 デジタル・エンタープライズ・グループのテクニカル・マーケティング・エンジニア 岩本成文氏
 インテル株式会社は2月22日、クアッドコアのXeonプロセッサと仮想化技術に関する説明会を開催した。すでに仮想化技術をビジネスで利用している株式会社IMJネットワークの検証事例を通じて、クアッドコアCPUの性能を解説。合わせて仮想化技術の最新動向として、現在開発中の第2世代VT(Virtualization Tecnology)の内容も紹介した。

 Xeon 5300番台は、2006年11月に発表されたクアッドコアCPU。1つのパッケージにデュアルコアのダイを2つ搭載することでクアッドコアを実現。これまでのプロセッサと同じ価格帯で、システムレベルでの消費電力はそのままに性能を大きく向上している。インテル、マーケティング本部 デジタル・エンタープライズ・グループのテクニカル・マーケティング・エンジニア 岩本成文氏によれば、「シングルコアと比べて4倍、デュアルコアと比べても1.5倍の性能を誇る。Xeonは、特に仮想化技術と親和性の高いプロセッサだ」とした。


クアッドコアXeonのアーキテクチャ 電力効率にも優れたマルチコアプロセッサ

IMJネットワークの代表取締役社長 山田敏博氏

IMJネットワークの検証結果
 続いて登壇したのが、2004年から仮想化技術を利用したホスティングサービスを提供しているIMJネットワークの代表取締役社長 山田敏博氏。山田氏によれば、「同サービスを提供する上で、CPU性能によるボトルネックが問題だった」という。「サービス開始当初は、4シングルコアと512MBのメモリで、60ゲストOSが稼働できると踏んでいた。しかし、実際には1CPU当たり8ゲストOSが限界だった。4CPUでは32台が限界。このため予想外なことに、サービスとしてコスト高になってしまった」(山田氏)。そうした背景があったからこそ、クアッドコアの登場には早くから期待を寄せていたという。

 今回の発表会に際してIMJネットワークは、クアッドコアと「VMware ESX Server」におけるサーバー集約化検証を実施。同社で実際に使用しているPC20台をゲストOSとして、シングルコア、クアッドコアで仮想化を行い、それぞれの場合でのCPU利用率の計測を行った。検証環境はそれぞれ、シングルコアXeon(3.66GHz)×4と32GB物理メモリ、クアッドコアXeon(2.66GHz)×2と16GB物理メモリ。単純にコア数を比較すると2倍の差ということになる。

 検証の結果、クアッドコアの場合の方がクロック周波数が低い上、コア数も2倍に増えただけにもかかわらず、CPUキャパシティが3.67倍となったという。山田氏は、「正直驚いた。この結果を見るとプロセッサ自体の演算能力も向上していることがよく分かる。確かにクアッドコアは仮想化技術との親和性が高い」と述べた。


I/Oの仮想化手法。VT-dでは「Pass-through Model」が採用される

VT-dにおける最新技術-ダイレクトDMA
 しかし一方で、CPUのマルチコア化が進むとそれ以外の部分がボトルネックになりえるという問題があると山田氏は語る。「例えば、I/Oの性能、メモリのコスト、サーバー集約することで電力や荷重によるデータセンターへの負担が増加するなどが考えられる。また、専門性の高い技術なので担当者の教育なども今後の課題になるだろう」(山田氏)。

 こうした課題を乗り越えるために現在インテルが研究開発を進めているのが、同社が第2世代VTと呼ぶ「VT-d」や「PCI SIG IOV」などの技術。

 VT-dは、I/O仮想化に対応したもの。これまで、仮想化環境において、ゲストOSがチップなどのデバイスにアクセスする際、VMM(Virtual Machine Monitor)が仲介してデバイスエミュレーションを行っていた。これがボトルネックの要因となっていたのだが、VT-dでは、デバイスドライバをゲストOS上の物理アドレスで動作させることが可能になる。つまり、ゲストOSが自分のデバイスドライバから直接デバイスにDMA(Direct Memory Access)を発行することができるのだ。これにより、大きなパフォーマンス向上が見込まれる。

 しかし、この場合も1つ問題がある。岩本氏によれば、「例えば、特定のデバイスに複数のゲストOSから同時にDMAが発行された場合だ。ゲストOSからダイレクトDMAが可能でも、デバイス自体は複数のゲストOSに直接対応することはできない」という。つまり、共有デバイスの場合は、従来通りソフトウェアベースのリマッピングに限定されてしまうのだ。

 これを解決するのが、PCI SIG IOV。「要は、カード側で仮想ファンクション(VF)を持ってしまえばいい」(岩元氏)というように、デバイス上にVFを実現し、これにより複数のダイレクトDMAに対応しようというものだ。

 こうした新技術を説明した上で岩元氏は、「クアッドコアは大変好評を得ている。製品発表後3四半期間で100万個以上の出荷が見込まれるほどだ。それに伴い、クアッドコアXeon 5300番台を登載したサーバーも量産出荷中。当社としては、今後も仮想化技術にシステムレベルで対応していき、サーバー集約化によるコスト削減などに貢献したい」と抱負を述べた。

 インテルでは、2月27日から開催の「VMware Virtualization Fair 2007」でも、こうした仮想化技術の最新動向に関して講演を行う予定。



URL
  インテル株式会社
  http://www.intel.co.jp/
  株式会社IMJネットワーク
  http://www.imj-network.jp/

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  ・ インテル、クアッドコアXeon 5300番台を発表(2006/11/15)


( 川島 弘之 )
2007/02/22 18:14

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