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ネットアップの大家万明社長
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日本ネットワーク・アプライアンス株式会社(以下、ネットアップ)は2月26日、記者向けの事業戦略説明会を開催。1月に就任したばかりの大家万明社長と、米Network Appliance(以下、NetApp)のダン・ウォーメンホーヴェンCEOが、国内、ワールドワイドの戦略を解説した。
大家社長は、これから先の10年を「情報活用の時代」と定義。「ネットワーク化の時代であったこれまでの10年で、ネットワークは太くなったが、ストレージはまだまだ始まったところ」とした上で、「情報の取り扱いが大切な時期に来ている。情報管理基盤では、多様化する情報に対する“質”と、大量の“生データ”をいかに確保して使っていくか、という点が重要になってくる」と述べた。
ネットアップでは、その変化に対応するため、「市場志向型アプローチ」へ転換させるという。「市場がどういうものを必要としているかに目を向ける」とした大家社長は、販売チャネルのさらなる活性化を目指し、新パートナープログラムの展開、新しい市場の開拓、ソリューションを中心とした販売の拡大、といった施策へ取り組む意向を示した。
現在のネットアップ製品は、ファイルサーバー、バックアップサーバーといった用途で広く利用されているが、信頼性の高さや性能などをアピールし、今後はミッションクリティカル系・基幹系への拡大を図る。一方で、顧客の多い製造業、インターネット・通信業だけでなく、金融、官公庁、リテールといった業種へも展開を推進するとしている。
また、人員も拡大する。ネットアップではこれまでも営業を中心に人員を積極的に採用してきた。しかし、「市場の伸びがとても大きく、さらに拡大するために増強が必要」(大家社長)として、現在120名程度の部隊を2009年度(~2009年4月)までに160~170名規模へ拡大し、世界的に好調なコンサルティング、プロフェッショナルサービスに対応できる人員も獲得していく考えだ。
加えて同社では、まだまだ知名度が劣るという認識を持っており、この面でも改善を図るため、IT市場での80%以上に認知されることを目指して活動を続けるとのこと。こうした施策の結果、「2009年度に前年比30%増の売り上げを達成し、2010年度までの3年間でビジネス規模を2倍にしたい」(大家社長)意向である。
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米NetAppのダン・ウォーメンホーヴェンCEO
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なお、国内での拡大の要因として大家社長は、iSCSIによるIP SANを挙げた。すでにお隣の韓国ではかなりの伸びを示しているとのことで、「Oracleとのパートナーシップに基づく分野や、新規の基幹系などを中心に、日本でも伸びると予測している。従来のSANとは異なる、新しい販売チャネルも活性化しており、盛り上がりが期待できる。SANとNASとで伸ばしていきたい」と話す。
ウォーメンホーヴェンCEOも、「IP SANでは、FC(ファイバチャネル) SANと同等のパフォーマンスが期待でき、コストも安いというのがメリット。Microsoftも取り組みに意欲的で、米国では普及がかなり進んだ。リモートサイトだけで利用するというのは、すでに古い考え方だ」との見方を示した上で、「そうした状況の中、当社は24%という高いシェアをキープしている」と述べ、IP SAN市場での展開に自信を示した。もっとも、FC SANについてはNetAppはまだ取り組んだばかりで、シェアは2%にしか過ぎないため、そこでの成長の余地も多大にあるとしており、IP/FC両面での展開拡大を期待する。
製品に関しては、主力であるファイラー製品とデータ管理ソフトを中心に、買収した企業の技術も積極的に活用。旧Alacritusの技術を活用した仮想テープライブラリ「NearStore VTL」、旧Decruの暗号化製品「Decru DataFort」を補完製品として展開していく構想だ。ウォーメンホーヴェンCEOは、「技術は優れているが売り上げにつながっていないベンダを買収している。マーケットシェアを買っているのではなく、より包括的なソリューションを獲得するのが目的だ」として、今後もコアコンピタンスであるData ONTAP OSの機能強化に取り組みつつ、優れた技術であれば買収も辞さない考えを示している。
■ URL
日本ネットワーク・アプライアンス株式会社
http://www-jp.netapp.com/
( 石井 一志 )
2007/02/26 15:53
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