Enterprise Watch
最新ニュース

「サーバー集約のみならず、今後は“インフラの仮想化”に重点あり」-米VMware


米VMwareの共同設立者であるダイアン・グリーン社長

米VMware、製品マーケティング担当バイスプレジデントのラグー・ラグラム氏
 ヴイエムウェア株式会社は2月26日、記者向け事業戦略説明会を開催。米VMwareの共同設立者であるダイアン・グリーン社長や製品マーケティング担当バイスプレジデントのラグー・ラグラム氏から、ワールドワイドにおける事業の現状や戦略などが語られた。

 2006年度、VMwareの売り上げは7億900万ドルだったという。2004年通期には2億1800万ドル、2005年通期には3億8700万ドルと倍に近い成長率を遂げてきた同社だが、その成長には「VMware Infrastructure 3」が大きく貢献したとグリーン社長は語る。

 「仮想化製品は、サーバーパーティション機能を提供する第1世代から、キャパシティプランニングや物理マシンから仮想マシンへの移行を実現した第2世代へと進化を遂げてきた。VMware Infrastructure 3はさらに進んで第3世代の仮想化製品といえる」(グリーン社長)。

 そのコンセプトについてラグラム氏は、「単にサーバーを集約するだけでなく、リソースを包括的に仮想化し、管理することで、“仮想化インフラストラクチャ”を実現すること」と説明。「例えば、データセンターのサーバーやストレージの一群全体を仮想化することで、高可用性を実現するとともに、データセンター内のプロセスを自動化し、ソフトウェアのライフサイクルマネージメントが可能になる」(ラグラム氏)という。

 さらに、OSやハードウェアの技術に左右されないディザスタリカバリ対策としてのメリットにも言及。「災害復旧システムをすべて物理リソースで構築するとなると、非常に高いコストが発生する。それがこの分野の対応の遅れの原因なのだが、仮想化技術を活用することで驚くほどコストを抑えることが可能になる」(ラグラム氏)とした。

 そうした理由から、同製品にはリピーター・新規ともにユーザーは多いという。VMwareとしては、今後も中小規模、大規模、データセンターなどの広範な顧客に対して、こうしたメリットを訴求していく方針だ。


ヴイエムウェアの代表取締役社長、三木泰雄氏

日本市場における仮想化技術の導入動向
 続いてヴイエムウェアの代表取締役社長、三木泰雄氏が登壇。仮想化技術に関しては、日本でも米国と同じくらい認識されているが、その一方で、実際に導入しているケースはまだ少ないと説明した。「米国ではすでに40%ほどの企業で導入が済んでいる。それに対して日本は8%ほど。全社的に導入が進んでいる企業に至ってはまだほとんどなく、仮想化に対して米国に比べて若干慎重な姿勢がうかがえる」(三木氏)。

 そうした状況を打破するため、同社では1)販売パートナーの拡大、2)ソリューションの拡大、3)サポートの充実、4)技術者の育成の4点を戦略の支柱として打ち出し、今後の展開を図っていくという。

 「ソリューション拡大に関しては、仮想化で何を実現するか、といった点まで提案する段階に入っている。仮想化インフラストラクチャという考え方からも分かるとおり、この技術による可能性は大きい。その中でもとりわけシンクライアントに関するニーズが多く、こうしたニーズを常にとらえて、顧客のビジネスの課題を解決していきたい」(三木氏)。

 また、今後この分野の発展には、技術者の育成が欠かせないと三木氏は語る。

 「当社では、2005年12月から日本語によるトレーニングサービスを開始している。ワークショップやケーススタディ、教材などを提供するものだが、現在では一部のパートナーが同サービスを提供可能な体制もできている。こうした状況は、当社としては非常に喜ばしいこと。技術者の育成とともに、今後もこうしたパートナーも育てていきたい」(三木氏)。

 その一環としてヴイエムウェアは、国内の独立系ソフトウェアベンダを対象に、戦略的提携プロセスをより体系化したパートナープログラム「Technology Alliance Partner Program」を開始すると発表した。これにより独立系ベンダー向けに仮想化環境での技術支援を行い、共同ソリューションの開発、販売支援などを行い、国内におけるパートナー強化を図る方針だ。米国ではすでに150社以上が参加を表明しているとのこと。



URL
  ヴイエムウェア株式会社
  http://www.vmware.com/jp/
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.vmware.com/ja/news/pdf/2007226.pdf


( 川島 弘之 )
2007/02/26 18:46

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.