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「内部統制に向けては全社方針の取り決めが肝心」-日立システム


執行役の石井清氏
 株式会社日立システムアンドサービス(以下、日立システム)は2月27日、内部統制に向けた同社の取り組みに関する説明会を開催した。

 日立グループでは、株式会社日立製作所がニューヨーク証券取引所(米国SEC)に上場していることから、約230社の連結会社が2004年から米国SOX法へ対応。2006年度には米国SECへの報告も含めた本番運用を開始している。執行役の石井清氏によれば、その経験がいま、国内で内部統制支援ソリューションを提供する上で役立っているという。

 「当社は、従来からISO9001の取得や内部監査に積極的に取り組んでいたため、内部統制にもそれほど違和感なく対応していくことができた。それでも、業務プロセス統制の文書化には手間取り、内部統制においてはやはり文書化が大きな課題となることが、この経験から学べた」(石井氏)という。

 実際、内部統制対策の進み具合は、同社が実施したアンケートによると、約8割の顧客が文書化に未着手という状況。石井氏によれば、これだけ対策が遅れている理由も、米国での経験などから徐々に判明してきているという。

 「文書化の現場が混乱してしまう主な原因は、内部統制に向けた方針の不明確さにある」(石井氏)。方針とはすなわち、日本版SOX法が求める財務報告にかかるリスクの対策だけに限定するのか、さらに推し進めて、事業リスクやコンプライアンスまで含めた業務改善にまで踏み切るのかといったことだ。

 「例えば、どのレベルまで文書化するのかといったこともこの方針に左右される。方針が不明確ならば、文書化の度合いも当然測れない。度合いが測れなければ、文書の品質も統一されず、作業の後戻りなどの混乱をも招いてしまうことになる」(石井氏)。

 こうした現状を踏まえると、豊富なSE人員を擁しており、内部統制にかかわる全プロセスを支援できることが同社の強みだと語る一方、今はまだ文書化の支援に専念する時期であると石井氏はとらえている。

 「最初はIT統制が先んじて対策が進むと予想していた。しかし、実際にはIT統制の引き合いはそれほど多くない。それは、内部統制を実際に推進していくのが経理や総務などの管理部門であるため、ITのことよりまず分かりやすい業務プロセスの統制から始める企業が多いからだ。当社も、まずは業務面から作業を始めて、早い段階でIT部門を巻き込んでいくという方法が、内部統制の手順としてはベストだと今では考えている。まず真っ先に文書化の支援を集中して行っていく事が当社の喫緊のミッションだ」(石井氏)とした。


ラビニティが実現する文書管理
 文書化に向けたソリューションとしては、日立グループの米国SOX法対応の経験・ノウハウに基づいた独自のExcelベースのテンプレートを作成。合わせて文書化支援ツールの「Ci-Tower」を組み合わせて支援を行うとする。

 また石井氏は、文書化完了後には文書の改訂や保存、ならびに証跡としての文書利用が重要になるとして、同社が1月から提供開始している文書管理ツール「ラビニティ」をアピール。「大規模向けの文書管理ツールとしては、唯一の国産品」である点を強調した上で、ラビニティのみで今後3年間で20億円の売上げを目指すとした。

 その目標達成のため同社では、人員約40名の「内部統制ビジネス推進センター」が中心となって拡販に努めるほか、同社の全SEを対象に内部統制に関するeラーニングを実施。「内部統制アドバイザー」という社内認定制度を設けるなど、徹底した人材育成を行っているとのこと。



URL
  株式会社日立システムアンドサービス
  http://www.hitachi-system.co.jp/

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( 川島 弘之 )
2007/02/27 17:18

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