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サービスビジネス本部 主席部長の清水裕子氏
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BPOサービスメニュー
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富士通株式会社は3月1日、汎用業務の受託を行う「BPO(Business Process Outsourcing)サービス」の中核センターとして、東京都大田区の富士通ソリューションスクエア内に、BPOセンターを開設したと発表。それに伴い、同センターの記者向け見学会を開催した。
BPOサービスとは、「グループの持つIT技術、製品、センター、ネットワークなどのファシリティを活用して、あくまでITソリューションを前提とした業務運用サービス」(サービスビジネス本部 主席部長の清水裕子氏)。「業務のベーシックとなるサービスをモジュール化し、さまざまな業務改善ソリューションにこうしたモジュールを“組み込む”という考え方」なのが特徴で、「顧客のニーズに合うように柔軟に提案内容が変わるもので、形がこれと決まったものを“組み合わせる”のではない」ことを清水氏は強調した。
ベーシックサービスメニューとしては、「コンタクトセンター」、スキャナやOCRなどのデータエントリシステムによって入力業務を行う「エントリサービス」、帳票設計から仕分け、出力、製本などを行う「プリンティングサービス」、RFIDを利用したセキュアな媒体保管を行う「トランクルーム」、製品出荷や全国への配送などを行う「デリバリサービス」の5種類のモジュールを用意する。
清水氏は、こうしたモジュールをソリューションに組み込むことで、顧客独自のニーズに即したサービスを提供できる」とし、受注入力、伝票作成を自動化し、商品包装や配送まで行った事例を紹介。「配送業務の代行などは全国にセンターを持っているからこそ可能」と言及し、全国19カ所に拠点を持つ利点をアピールした。
今回新設されたBPOセンターは、ほかのセンターと同様、サービスを提供するための設備を有するとともに、各センターを統括する役割も持っている。業務コントロール室と呼ばれる部屋には、各拠点の業務進ちょくを厳密に監視するための大型モニターなどが設置され、「各拠点をコントロールして、現場志向の改善や管理の仕組み作りを行っていく」(清水氏)という。運営にあたっては、富士通エフ・アイ・ピーが中心となるが、コンタクトセンター業務に強い富士通コミュニケーションサービスなど、必要に応じてグループ全体で協力していくとした。
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全国のBPOサービス拠点
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東京都大田区のBPOセンターの位置づけ
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コンタクトセンターの様子
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見学会では、コンタクトセンターやヘルプデスクのオペレーション室を公開、業務をスムーズに進めるための設備などが紹介された。特にヘルプデスクでは、業務の中の非常に細かい疑問にも答えるために、富士通独自の「音声認識システム」が導入されている。ユーザーとヘルパーの会話を自動で記録し、さらにキーワードを自動でポップアップ。問い合わせの内容をFAQ化したり、社内教育の内容にフィードバックする機能も備えるという。
セキュリティ設備としては、手のひら認証や金属探知ゲート、物品の不正持ち出しや権限以上の部屋への入室をアラートする、RFIDによる媒体移動管理システムなどを紹介。「このほか、各拠点間で顧客情報を送受信する際には、内容を特定できないように複数に分割してやり取りするなど、業務上でもセキュリティを強く意識して取り組んでいる」(清水氏)とした。
富士通では、アウトソーシング市場の広がりに追随するため、従来のデータセンター型のサービスだけでなく、オンサイト型の「LCMサービス」や「サポートデスク」、「ネットワーク」などのアウトソーシング事業を進めている。売上としては2ケタ成長を継続しているとのことで、「今回のBPOサービスを含めたアウトソーシングビジネス全体で2008年度には6000億円の売上げを目指す」(清水氏)とした。
■ URL
富士通株式会社
http://jp.fujitsu.com/
プレスリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2007/03/1.html
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・ 富士通、BPOサービスを強化-汎用業務メニューを刷新(2006/06/19)
( 川島 弘之 )
2007/03/01 17:09
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