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「McDATA買収でソリューションベンダへ脱皮する」-米BrocadeクレイコーCEO


米BrocadeのCEO、マイケル・クレイコー氏
 ブロケード・コミュニケーションズ・システムズ株式会社は3月6日、プライベートイベント「Brocade Conference 2007」を開催。その中で、米BrocadeのCEO、マイケル・クレイコー氏や、ソリューショニアのAJ・カサメント氏らが、同社の戦略に関する説明を行った。

 クレイコー氏は、Brocadeが重点を置いているのは、「コスト削減」「複雑さの解消」「コンプライアンス」の3つだと述べ、「製品、ソリューション開発時にはこの3つの基準を満たしている必要がある」と述べた。さらに、常に技術革新を行っているとし、「例えば、4Gbps FCの技術を他社に2年先駆けて提供した。それはこれからも止まることはない。新しい分野の技術で顧客の問題を解決する」とした。

 また注目している分野としては、コスト効率に優れたファイルアクセスと、高度なファイル管理環境を実現するための「FAN(File Area Network)」を挙げる。15年前に95%がアナログであったデータは、現状では90%がデジタルデータに置き換わり、さらに日々増え続けている。そうした状況の中、ファイル管理のための技術を体系化したFANによって「データの管理性を高めていける」とクレイコー氏はいうのである。


 クレイコー氏は、買収が完了したばかりの米McDATAとの統合についても言及した。同社は買収完了に伴って、製品ブランドをすべて「Brocade」ブランドに統合。旧Brocade製品も旧McDATA製品も、単一のブランドで再展開を始めている。今回は、「両社の製品には似通ったものがある。そこで冗長部分を排除し、余剰分を新しい製品開発を迅速に行うために再投資する」(クレイコー氏)ことを表明。また、製品ラインが重なる部分については統合を進めることを明らかにした。

 例えば大型ダイレクタ製品では、Brocade系の「Brocade 48000」(旧Silkworm 48000)と、McDATA系の「Mi10K」(旧Intrepid i10K)などが重複する。カサメント氏は、新しい8Gbps FC世代の新ダイレクタを2008年に発売するとした上で、それまでは各製品を継続的に提供するとした。またOEMパートナー向けには、「最後の製品を顧客に販売してから5年はサポートを継続すると約束している」(カサメント氏)と述べて、すでに投資をしている既存顧客が不利にならないよう、製品、メンテナンスは中断しないことをコミットしている。「既存インフラとの相互互換性も重視し、顧客の既存の投資にさらなる価値を与えられるようにしていく」(クレイコー氏)。

 またSANルータでは、McDATA系の「Brocade M1620」など(旧Eclipseシリーズ)とBrocade系の「Brocade 7500」(旧Silkworm 7500)が重複するが、ここではBrocade 7500へ統合。一方で、「統合後の製品は、競争優位性が高い、ベストのものでなくてはいけない」(クレイコー氏)との立場から、Brocade系にこだわらず、McDATA系管理ツールの「Brocade EFCM」(旧McDATA EFCM)を、すべての新Brocade SAN製品用の統一管理アプリケーションに採用する。Brocade系のFabric Managerの主要機能はEFCMへ統合するが、2008年初旬に予定されている最初の統合版提供までは、継続して提供・機能拡張を行うとのことだ。

 クレイコー氏はまた、「McDATA買収によって、単なるSANベンダからソリューションベンダへの変革を可能にした」と話す。「データそのものが非常に増えており、管理性、接続性の確保が需要になっている。新しいビジネス展開を進めるチャンスで、そこにも投資を進めていく。顧客は専門技術を求めており、その分野のビジネスは年率100%で伸びている」(同氏)。



URL
  ブロケード・コミュニケーションズ・システムズ株式会社
  http://www.brocadejapan.com/


( 石井 一志 )
2007/03/06 16:46

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