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インテル、次期「vPro」の構成要素を明らかに

クアッドコアの普及を加速、45nm製品も後半から投入

次世代vProテクノロジーの構成要素

マーケティング本部デジタル・エンタープライズ・グループの平野浩介統括部長

vProのロードマップ
 インテル株式会社は3月19日、エンタープライズビジネスの取り組みについて、報道関係者向け説明会を開催した。

 そのなかで、同社のマーケティング本部デジタル・エンタープライズ・グループの平野浩介統括部長は、次期インテルvProテクノロジーである「Weybridge(開発コードネーム)」の内容を明らかにした。

 Weybridgeは、プロセッサにインテルCore 2 Duoプロセッサ E6x50を採用。また、ネットワーク環境としては、インテル82566DM Gigabitネットワーキングを採用するといった点では、現行vProを継承するものの、チップセットには、インテルQ35 Expressチップセットw/ICH9-DOを採用。さらに、現行のvProで採用しているAMT 2.0(アクティブ・マネジメント・テクノロジー)を、AMT 3.0へと機能強化。バーチャライゼーションテクノロジーに関しても、I/O系の仮想化をハードウェアでサポートするなどの進化を図る。加えて、インテル・トラステッド・エグゼキューション・テクノロジー(TXT)と呼ばれるセキュリティ機能を搭載。同時に、トラステッド・プラットフォーム・モジュールを搭載するほか、次世代の標準管理技術と位置づけるWS-MANおよびDMWGもサポートする。

 「新たなvProでは、IT管理者にとって大きな問題となっていた運用管理およびセキュリティをさらに強化することになる。PCのセキュリティ対策を抜本的にどう解決すべきか、また、増大する運用管理コストにどう対応していくか、といったことに対するひとつの解がvProである」とした。

 さらに、「現行のvProでは、対応するハードウェアが出揃い、ソフトウェアも日本独自の製品を含めて対応が図られた。また、ユーザーも導入したいという声が多く聞かれる。しかし、あえて課題をあげるとすれば、システムインテグレータの経験が少なく、vPro対応の製品を取り揃えて導入しても、vProならではの機能を、すぐに稼働できないといったことも見受けられる。システムインテグレータをバックアップするスキームが必要であり、日本のインテルとして予算を計上して、支援するフレームワークを春から立ち上げたい」とした。

 なお、ビジネスノートPC向けのプラットフォームとして、春にも、「Santa Rosa(開発コードネーム)」が発表されることになる。


 また、平野統括部長は、「2006年はデュアルコア化からクアッドコア化へ飛躍した年。だが、2007年は、早期にクアッドコアへの移行を進める年になる」とし、これまで5製品だったクアッドコアXeonプロセッサに、先ごろ、低電圧版の2製品を加えたほか、後半には次世代45nmプロセスの製品投入や、3GHz版の投入なども予定していることを明らかにした。

 これまで投入してきた5製品のうち、メインストリームとなる4製品は、従来のデュアルコアプロセッサとの価格差がない戦略的価格を設定しており、「価格がほぼ同等でありながら、マルチタスクおよびマルチスレッド環境では、1.5倍の性能を発揮するなど、クアッドコアに移行しやすい環境を作っている。ダイへの搭載に関しては、すでに確立した技術を採用していることから、クアッドコアへの早期移行は、十分なROI(投資対効果)をもって、進むことになる」とした。

 また、13日に発表したばかりのTDPで50Wを実現した低電圧版についても、「ブレードサーバーにもクアッドコアを採用することが可能になり、ソケット2個で8コアのサーバーが構築できる。19インチ7Uのラックでは、最低で80コア以上の環境が実現、100コアを入れるのも問題はない」として、今後、ブレードサーバーへのクアッドコア採用が加速するとの見通しを示した。

 説明では、AMDのデュアルコアOpteronプロセッサとの性能比較を示し、性能面で勝っていることを示して見せながら、「今後、AMDがクアッドコアのBarcelona(バルセロナ:開発コードネーム)を投入してきたとしても、性能面では勝っていると考えている。その後も、新たなマイクロアーキテクチャの採用や32nmプロセスの採用というように発展を続け、インテルにとって、明るい未来に通じるものになると信じている」とした。


出荷済みクアッドコアXeonプロセッサのラインアップ クアッドコアXeonとデュアルコアOpteronとの性能比較 サーバー向けプロセッサのロードマップ

 45nmプロセスに関しては、インテルのマーケティング本部・阿部剛士本部長が説明。「今年1月に、世界で初めてとなる45nmプロセス技術による動作サンプルを発表したのに加え、45nmプロセス技術対応の製造施設を4拠点持つことになる。現在、米オレゴン州のD1Dおよび米アリゾナ州のファブ32が2007年後半の稼働に向けて準備が進んでいるほか、イスラエルのファブ28が2008年前半の稼働、ファブ11xと呼ばれる製造拠点が2008年後半の稼働を目指して2拠点が新たに建設中」としている。


マーケティング本部・阿部剛士本部長 45nm対応の製造施設

完成したレポートを掲げる情報システム部・海老澤正男部長
 一方、インテル社内の情報システムの活用事例などを公開する「IT@Intel」の2006年の実績がまとまったとして、同社情報システム部・海老澤正男部長が説明。「2006年度においては、13億ドルのビジネス価値の創造、7億4800万ドルのサプライチェーンの改善効果、3200万ドルのITイノベーションによるビジネス価値を創出し、インテルの収益性向上に貢献した」とし、「2007年は、SAPによるERPシステムの再構築や、主要なPCの買い換えにより、vProを含むクライアントプラットフォームの導入を図る」などとした。

 なお、詳細については、別途会見を開催する予定で、本誌でも、その際にレポートする予定である。



URL
  インテル株式会社
  http://www.intel.co.jp/


( 大河原 克行 )
2007/03/19 17:54

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