Enterprise Watch
最新ニュース

日本IBM、GTS事業戦略を発表-3つの事業分野でビジネス強化に向け新施策


GTS事業担当・橋本孝之専務執行役員

アウトソーシング・サービス(SO事業)の概要
 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は3月20日、2007年のGTS(グローバル・テクノロジー・サービス)事業の戦略と施策に関してプレス向け説明会を開催した。同社が2007年の重要テーマとして掲げている“イノベーション”と“グローバリゼーション”というキーワードのもと、GTS事業が展開する3つの事業分野「アウトソーシング・サービス(SO事業)」、「インフラストラクチャー構築支援サービス(ITS事業)」、「保守サービス(MA&TS事業)」について、それぞれ今後のビジネス強化に向けた具体策を明らかにした。

 まず、「アウトソーシング・サービス(SO事業)」の現状について、GTS事業担当・橋本孝之専務執行役員は、「売上高、利益とも好調に推移しており、新たなアウトソーシング事業のモデルが見えてきた段階」と述べ、今年は、1)ITによるイノベーション、2)サービス価値の可視化、3)卓越したサービス、という3つの方向で顧客への支援を強化していく方針。

 ITによるイノベーションでは、単なるコスト削減だけではなく、経営に貢献するITの実現を支援する各種プログラムを提供する。特にコンサルタントとの連携プログラムを強化し、昨年は10社程度だったところを、今年は50社強まで増やすことで、アウトソーシング先の顧客企業に対してITとビジネスの関係強化をさらに支援していく計画。また、新しい施策として4月からIT組織改革と人材育成プログラムの提供を開始する予定で、「IT戦略とIT企画の策定」、「アプリケーション開発・保守」、「ITインフラと運用」の3つの分野において教育プログラムを展開していく。

 サービス価値の可視化については、アウトソーシング先顧客企業の環境変化に、より柔軟に対応できるよう、顧客の期待を反映した共同目標を設定し、その設定目標の定量化を支援するため、現場レベルとマネジメントレベルそれぞれに向けて効果的なコミュニケーションプログラムを提供する予定。

 卓越したサービスでは、高品質・低コスト・安定サービスを継続して提供していくための施策として、1)子会社6社の統合によるスケールメリット、2)コンピテンシーモデルによる標準化、3)分散系システムのミッドレンジSOへの技術導入、4)IGSDF(IBM Global Solution Delivery Framework)、Global Delivery、への取り組みを推進していく。


インフラストラクチャー構築支援サービス(ITS事業)の概要
 次に「インフラストラクチャー構築支援サービス(ITS事業)」に関して橋本専務執行役員は、「昨年から事業をスタートしたが、1月1日付で組織的に再統合されたことで、ようやくアセットベースのビジネスができる体制が整った。今年の大きな戦略としては、いままでのような手作りの一品一様でのサービス提供ではなく、カテゴリー分けされたサービス製品ライン(SPL)をベースにしたサービスの工業化を徹底的に推進していく」考えを示した。

 具体的には、各種サービスを10個のカテゴリーに分類し、それをさらに3つのサービスプロダクトグループに振り分けて、「内部統制」「サーバー統合」「災害対策」「運用効率化」「インターネットソリューション」という、顧客視点による5つのフォーカスソリューションに対応したサービス製品に組み上げていく。このサービス・プロダクト戦略により、顧客企業にとって最適かつ低価格・高品質なソリューションを提供することが可能になるという。

 なお、サービス・プロダクト戦略に基づいた新サービスとして、データセンターの電力消費および発熱の問題を解決するソリューション「サーマル・シミュレーション・サービス」を同日より提供開始したこともあわせて発表された。このサービスでは、現状のサーバー環境や空調環境を調査し、コンピュータ・シミュレーションにより温度や気流の分布を可視化。そして、サーバーの安定稼働の観点から、空調環境などの問題点や対策を提案する。導入期間は最短で2週間、費用は約270万円から。同社では、今後も「サービス・プロダクト」戦略に基づくサービス製品を拡充していく予定。


保守サービス(MA&TS事業)の概要
 最後の事業分野「保守サービス(MA&TS事業)」については、1月1日付の組織再編によってソフトウェア、ハードウェアの保守窓口を一本化し、顧客のシステム障害に迅速に対応できる体制を整えた。「保守窓口が一本化されたことで、顧客にとっては、IBMへの問題対応処理に対する信頼度が向上するとともに、社内的にも営業担当者の問題対応処理にかかる工数を削減でき、生産性向上につなげることができる」(橋本専務執行役員)としている。

 さらに今年は、ソフトウェア保守の有償化にも積極的に取り組んでいく方針。同社では、これに向けて、ソフトウェア保守の窓口となる専門組織「PSSO(Post Sales Support Office)」を新たに設置しており、24時間365日、ハードウェアやソフトウェアを問わず、あらゆる障害対応をすべて保守部隊で完結できる体制を目指す考え。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/20070320001.html


( 唐沢 正和 )
2007/03/20 15:33

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.