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CMOカウンシル、セキュリティ脅威が企業ブランドに与える影響を説明


米Symantec、CMO兼エグゼクティブバイスプレジデントのジャニス・チャフィン氏

日本人が信頼できない企業に対して取る行動
 グローバルにビジネス展開する企業のCMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)で構成されるCMOカウンシルは3月22日、同団体の主要メンバーである米Symantecらと共同で実施した「Secure the Trust of Your Brand(企業ブランドへの信用を脅かすリスクとは)調査」に関する記者向け発表会を開催。米SymantecからCMO兼エグゼクティブバイスプレジデントのジャニス・チャフィン氏が登壇し、同調査の概要および結果などが報告された。

 チャフィン氏は今日の脅威の傾向として、「情報漏えい情報漏えいや盗難が増加している」と説明。その背景としては、「特定の企業や個人を狙ったスピア型攻撃が増加しているとともに、犯罪行為がグローバルネットワークを介して共謀されるようになった」点が挙げられるとした。

 特にアジア・パシフィック/ジャパン(APJ)においては、「機密情報漏えいの割合が、ワールドワイドと比較して高い。このような状況では、セキュリティ脅威が企業ブランドに与える影響は非常に大きいと考えられる。今回の調査は、こうした観点から2000社以上の企業のトップおよびマーケティング担当を対象に実施されたものだ」と調査概要について説明した。

 チャフィン氏によれば、「セキュリティ関連の問題による企業ブランドへのダメージは大きい。その証拠に同調査から、情報漏えいが発覚した企業はその日にうちに、株式時価総額にして約2%もの価値を失っていることが判明した」という。特に日本においては、「情報漏えいをした企業の製品やサービスを利用しないというものが81%、その企業に投資しないというものが63%におよぶ」(チャフィン氏)と、信頼できない企業に対する風当たりが非常に強いことを指摘した。

 また、セキュリティ脅威が企業ブランドに与えるダメージの大きさを裏付けるように、「セキュリティがビジネス上の問題として重要性を増しているかという問いに対して、81.5%の経営者やマーケティング担当者がイエスと回答している」(チャフィン氏)点に言及。

 しかし一方で、セキュリティ対策をきちんと施すことは他社との差別化にもつながるとチャフィン氏は話す。「53%以上がセキュリティ対策によって企業ブランドの競争優位性が生み出されていると回答している。セキュリティと企業ブランドの関連性をうまく戦略に取り入れることができれば、企業にとって大きなメリットとすることも可能だ」(チャフィン氏)。

 そのためには、「インフラ」「情報」「顧客とのやり取り」の3点を包括的に堅牢化することが重要であるとチャフィン氏は話す。また、企業においてはCMOおよびCIOの存在が必要不可欠と説明。「日本ではこうした役職は不在なため、そマーケティング活動や企業ブランドが各部署ごとなどで別個に管理されている。管理の一貫性という点において、日本は諸外国から大きく後れを取ってしまっている。この状況を改善するためには、CMOやCIOの採用を義務づける法整備が何よりも重要だ」とした。



URL
  CMOカウンシル(英語)
  http://www.cmocouncil.org/
  米Symantec
  http://www.symantec.com/


( 川島 弘之 )
2007/03/22 17:53

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