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日本IBM、2007年のWebSphere事業戦略を発表

「Application Serverの強化」と「BPMの本格展開」に注力

山下昌夫WebSphere事業部長

WebSphere Application Serverの強化策
 日本アイ・ビー・エム株式会社は3月29日、2007年のWebSphere事業戦略を明らかにし、1)主力製品WebSphere Application Serverの強化、2)ビジネスプロセス管理(BPM)の本格展開、という2点にフォーカスして事業展開していく方針を掲げた。

 まず、WebSphere Application Serverの強化について、山下昌夫WebSphere事業部長は、「2007年は、主力製品であるWebSphere Application Serverに再び注力することが事業の大きな柱となる。世界的な見方では、Javaの環境はコモディティ化が進み、今後の成長は緩やかになるといわれているが、日本市場に関してはJavaを使って本格的にトランザクションする環境は、まだまだ成長の余地があると考えている。企業の投資意欲の高まりも背景に、今後、日本でのアプリケーションサーバーの本格利用には、大きなニーズが期待できる」と述べた。

 具体的なWebSphere Application Serverの強化策としては、3月13日から新たなサポート・ポリシーを適用し、IBMプラットフォームのユーザーについては基本サポート期間を従来の「3年以上(ソフトウェアメンテナンス)+2年(延長サポート)」から「5年以上+3年」に延長した。これにより、ユーザーのIT総投資コストを保護する。

 また、WebSphere Application Serverの機能拡張を継続的に行い、SOA、Webサービス(ベータ)、EJB3(アルファ)といった機能を、アドイン形式の「フィーチャーパック」として第2四半期から順次市場に投入していく予定。さらに、オープンソースベースの小規模向けアプリケーションサーバー「WebSphere Application Server Community Edition」(無償版)を4月から日本市場にも正式投入し、オープンソースによるJava環境拡大への取り組みを本格化する。技術サポートについては、すでに3月5日に野村総合研究所から有償での提供が始まっているという。


WebSphere Business Modeler v6.0.2.1の特徴
 2007年戦略の2つ目の柱である「BPMの本格展開」の推進に向けては、戦略製品としてBPMソフトウェアの新バージョン「IBM WebSphere Business Modeler V6.0.2.1」を3月30日より出荷開始することを発表した。「IBM WebSphere Business Modeler」は、企業の業務活動の定義、計測、分析、改善を支援するツール。業務プロセスを始め、成果物、組織、リソース、説明、期間/コストなどまで、企業活動を図式化するための包括的な機能を備えている。

 今回の新バージョンの大きな特徴は、IBMの要件管理ツール「Rational Requisite Pro」との連携を新たに実現した点。「これによって、ビジネス要求とビジネスモデリングの属性を関連づけることができ、業界で初めて、企業の業務プロセスにおけるライフサイクル全体を管理することが可能となった」(WebSphere事業部の渡辺隆マーケティング・マネージャ)としている。

 通常、BPMは、ビジネスゴール設定→ビジネスモデル(プロセスに必要な資源の利用量など)設定→プロセスの実装→実行→監視というライフサイクルで展開されるが、そのうち「ビジネスゴール設定→ビジネスモデル設定」の部分については、これまでの製品では対応できていなかったという。新バージョンでは、この部分をカバーすることで、業務プロセスにおけるライフサイクル全体を通してのデータ連携を実現。業務プロセス管理の効率アップを図ることが可能となる。IBMの実績としては、新バージョンを始めとするBPM製品の導入によって、受注業務のプロセスに要する時間と費用を約25%削減できたとしている。

 さらに、新バージョンでは利用者の使い勝手の向上も図っており、新たに粗利益率の向上や新規取引数の増加といった業務プロセスの達成目標値を、あらかじめ設定できるようにした。これにより、ライフサイクル全体のコストや時間を必要に応じてコントロールすることが可能となった。

 「IBM WebSphere Business Modeler V6.0.2.1」の価格は、シミュレーション機能無しの「Basic版」が17万8800円から、シミュレーション機能付きの「Advanced版」が142万3000円から。

 なお、今回のBPMソフトウェア新バージョンの発表を受け、5月10日からは、企業のプロセス改善プロジェクトを推進する新サービスとして、BPMソフトウェア導入前のワークショップと導入後のクイックスタートサービスを提供開始する予定。

 導入前の「WebSphereプロセス改善ワークショップ」では、顧客の実業務プロセスの一部を「WebSphere Business Modeler」を使用して、無償でシミュレーション・分析する。一方、導入後の「WebSphere Business Modelerクイックスタート・サービス」は、「WebSphere Business Modeler」を導入した企業に対して、より効率的な業務プロセス改善の実現を有償で支援するもの。4日間のコースで、費用は約420万円からとなっている。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/20070329001.html


( 唐沢 正和 )
2007/03/29 16:20

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